水のコンテンツ⑤ 『水』をとりまく諸問題 その5

森林の問題についての現況 森林破壊

途上国における森林の現状
  森林は、世界の陸地の約3分の1を占めており、1993年現在で約42億haの森林が存在すると見積もられています。
 近年、熱帯地域の開発途上国における急激な森林の減少に対して関心が高まっています。熱帯林減少の原因は、非伝統的な焼畑耕作、過度の薪炭材採取、不適切な商業伐採、過放牧などと指摘されていますが、こうした直接の原因の背景には開発途上国における貧困、人口増加、土地制度等の社会的経済的な要因があげられています。
 熱帯林は、二酸化炭素の吸収源や地球の放射及び水バランスの調整に重要な役割を果たし、生物多様性の保全のためにも重要な機能を有しています。近年における熱帯林の急速な減少は森林資源の枯渇のみではなく、そこに生息する生物種の減少をまねき、回復不可能な段階にあると危惧されています。熱帯林に生息する生物は地球上に生存している生物の50〜80%になるといわれ、種の維持が困難なほどに生息域が狭められていることが懸念されています。

 こうした熱帯林の減少による影響は、大面積の消失により多くの野生生物種が絶滅の危機にあることに加え、森林消失による大量の二酸化炭素の放出が地球温暖化を加速させることが懸念されています。森林は、木材・燃料・飼料等の多様な産物の供給源となっている森林バイオマス(地上有機物の現存量)が存在する陸上生物群系であり、木部繊維や樹冠の葉の中に炭素を固定する最大の能力を有しているのです。

熱帯林が消えるとどうなるのか?  熱帯林が減少することの影響は4つあります。
食料・燃料が失われる
 熱帯林は熱帯地方の人々の大切な食料・燃料の供給源であると同時に、木材の世界的な供給地です。
「地球の肺」が失われる
 特にアフリカ中央部、東南アジア、南米の3地域の熱帯林は、多量の二酸化炭素を吸収し、酸素として送り出す役割を果たしています。
 熱帯林が減少する一方で、産業活動によって出される二酸化炭素が急激に増えたため、二酸化炭素が空中に大量に取り残されました。これが地球の温暖化に拍車をかけています。
洪水が起きやすくなる
 木が少なくなると雨を地中にとどめておく力が低下し、雨が地表を滑ってすべて川に流れ込むため、洪水が起きやすくなります。
 例えばここ数年、インドやバングラデシュでは頻繁に大洪水が起きています。これは川の上流にある森林を伐採したためです。
野生動物の住みかを奪われる
 熱帯林がなくなれば、そこで生活していた生物が住みかを失います。熱帯林とともにたくさんの動植物が地球上から姿を消しています。
 以上のように熱帯の原生林は強固で豊かな生態系を持ち、豊かな土を作り、保水能力が優れています。また、大きな大気浄化力を保持しています。
 これらは原生林だからこその特徴です。人工林では生態系としては弱く、大気浄化力・保水能力も弱く、人工林は本当の意味では森林とは言うことができません。

世界有数の“森林破壊大国”日本
 日本は江戸時代から国策として植林をし、無断で木を切ると罰せられるほど管理が厳しいものでした。その結果、国土の66%が緑で世界第2位の森林国です。
 ところが、高度成長以来、人手が都会へ流入して人手不足、人件費の高騰などで林業が実質的には破綻しました。人工林は人手を入れないと貧弱になり、枯れたり台風で倒れたりして全滅してしまいます。
 一方、途上国の人件費、物価は日本と比べて数十倍も安く、国内の物価が高くて貧弱な木よりも、途上国の安くて立派な木の方がいいことから、世界有数の森林国である日本は、手当たり次第に木材を輸入する森林破壊国になりました。木材輸入はゼロだった日本は、わずか40年で木材需要が数倍膨らみ、その70%を輸入に頼るという国になってしまいました。

 乱開発や乱伐採ですでに世界の原生林の76%が失われてしまいました。緑豊かに見えるヨーロッパでは原生林はすべて全滅しており、今あるのは人工林です。またアメリカでも原生林は15%しか残っていません。
 この20年間で日本の面積の10倍もの森林が失われ、その半分が砂漠化しています。そして、このことによりインド全土の耕地に相当する5000億トンの表土が流出し、その一方で世界の人口が1.5倍増えました。
 森林は、成長量の数倍の速さで失われているのです。
 国連FAOの報告では「このままでは100年以内に世界の主要な森林が全滅する」と警告しています。
まとめ
世界人口の4分の3は、エネルギーを木材に依存している
エチオピアでは、毎年10万〜20万haの森林が切り倒されている。 しかし、それでもなお2億人以上が調理用の木材に不足している。
森林破壊は数多くの環境破壊をもたらす。例えば、地域の降雨パターンを変え、土壌侵食を加速し、河川の氾濫の原因となり、何百万種もの植物、動物、昆虫を絶滅の危機にさらす

地球上の陸地の23%は熱帯林である。しかし、それは毎年460万haの割合で失われている。アジアでは、毎年220万haが失われており、ラテンアメリカ・カリブ海地域では、毎年190万ha、アフリカでは毎年47万haが失われている。
湿潤性落葉樹林については、毎年約610万haが失われている。最も広範囲に失われているのは、毎年320万haが失われているラテンアメリカ・カリブ海地域である。
乾燥性落葉樹林については、毎年180万ha以上が失われている。 そのうち、40%をスーダン、パラグアイ、ブラジル、インドが占める。

高乾燥性樹林については、毎年34.1万haが失われている。最も著しいのがスーダンで毎年8.1万ha、次いでボツワナの5.8万haである。
世界の砂漠林のうち、毎年8.2万haが失われており、メキシコとパキスタンでその60%を占める。
丘陵・山地林については、毎年250万haが失われており、そのうち 64万haはブラジル、37万haはメキシコ、15万haはインドネシアで失われている。


農業と土地利用の問題についての現況 

毎年9千万人以上の人口が増加する一方で、毎年2百億トンの表面土壌が失われつつある。
2050年までに世界の食糧需要は、現在の3倍になるであろうと予想される。
世界中で毎年25億kg以上の殺虫剤が使用されている。開発途上国ではその15%が使われ、それらの国々では、毎年約375,000件(全世界の半数以上)の中毒事件が発生している。

開発途上国に輸出されている殺虫剤の多く--DDT、クロルデン、ヘプタクロルなど--は、生産国では健康上、環境上の理由により使用が禁止されている。
エチオピアでは、土壌侵食により、毎年150万トンの穀物生産能力が失われている。これは、1985年の飢饉の時に、同国に援助された食糧に相当する量である。
インドでは、毎年60億トンの貴重な土壌が失われており、以前ソビエト 連邦であった東ヨーロッパと中央アジアでは25億トンの土壌が失われている。

アフリカでは1984〜1985年の旱ばつの際、1千万人の農民が土地劣化を 直接原因として環境難民になった。
地球的規模でみると、1961年以降単位面積あたりの小麦、米、トウモロコシの生産量は着実に増加している。しかし、この増加は、おそらく人口の増加には追いつけないであろう。
開発途上国の都市は、すでに限度間近まで膨張しているにもかかわらず、 毎年、さらに8千万人以上を受け入れなければならない。その多くは故郷の環境劣化を理由に都市に移動する人たちである。


砂漠化の問題についての現況  

砂漠化とは?  砂漠化とは、土の中に含まれている栄養分が失われて植物などが育たない不毛の土地になってしまう、つまり砂漠と同じ状態にってしまうことです。主に途上国の放牧地や農耕地で起こっています。
 食べ物を生み出すはずの土地が砂漠になってしまうわけですから、食糧不足と密接な関係があります。その意味で、砂漠化は多くの人の生き方にかかわる大きな問題なのです。
 砂漠化の原因は、「たくさんの家畜を放牧したために、草はおろか生えかけの芽までもが食べ尽くされてしまい植物が育たなくなる」「農業のために土地が切り開かれて風雨に浸食され土地の栄養分が失われる」など、各地で様々です。なかには1つの原因が別の原因を生み出し、砂漠化をスピードアップされている例もあります。  国連環境計画(UNEP)によれば、全地球で年間6万ha、九州と四国とあわせた面積とほぼ同じ土地が砂漠化しています。
 とくに農地の砂漠化が進んでおり、全耕地面積4400万haのうちの79%が砂漠化の危機に面していると言われています。

砂漠化のメカニズム  砂漠化のメカニズムは、土地の人口が増えると、その人口を養うのに必要な家畜が増加します。家畜が増加すると牧草が食べ尽くされ、草のなくなった土地が日光にさらされて乾燥して砂漠化します。このサイクルが繰り返されるのです。また、それだけではなく、牧草が食べ尽くされると土地の水分を蓄える力が減り、上空には雲ができなくなり、この結果、雨が降りにくくなることにより草の成長が鈍り、乾燥して砂漠化に拍車をかけます。
 この悪循環は放牧だけではなく、農地を確保するために森林を切り開くような場合も同様です。切り開かれた大地は、風や雨の浸食を受けて土の栄養分を失っていき、痩せて砂漠化が進みます。
 人々は砂漠化した土地を捨てて新しい農地を確保しようとさらに奥へと森林を切り開き、悪循環が繰り返されます。

砂漠化の防止 
 地球の人口がこのまま増え続けていけば21世紀には食糧不足が起こると考えられます。放牧・農業ができる土地が砂漠化して不毛の地となれば、食糧不足はさらに深刻なものになります。
 この砂漠化を少しでもくい止めるべく、各地で様々な試みが行われています。  例えばアメリカでは86年、政府が農家に援助金を支給して、全農地の10%にあたる土地での耕作を中止させました。酷使された農地を休ませて、大地に新たな栄養を蓄えようとしたのです。
 また農林複合経営といって、農地に木を植えることで砂漠化を防ごうとしている地域もあります。植林した木が防風林の役割を果たして、土地を風雨の浸食から守りながら栄養分を維持するのです。
 ただ、これらの方法は経済的に余裕のある国だからできることです。アメリカ以上に砂漠化に悩むインド、中国、アフリカなどでは慢性的に食べ物が足りません。たとえ土地を一時休ませほうが後々のためによいとわかっていても、栄養分の失われた土地で耕作を続けざるを得ないのです。酷使された土地は砂漠化し、その地域の食糧不足をさらに悪化させることになるのです。
まとめ
乾燥地域、半乾燥地域、準湿潤地域において、土地が劣化し、砂漠化が進行している。その要因は、気候変動や人間活動など様々である。
砂漠化は、普通考えられているような、既にある砂漠の拡大ではない。
砂漠化は、約10億人--世界人口の約6分の1に影響を与えている。

砂漠化は、すべての乾燥地域の70%--全陸地の4分の1で生じている。
砂漠化は、広域的貧困をもたらし、開発途上国における人口移動の主要因となっている。
砂漠化により、世界中の放牧地の73%が劣化しつつある。

毎年、地球上の240億トンの表面土壌が失われている。過去20年間において米 国の全農地に相当する量が失われた。
砂漠化は、アフリカにおいて特に著しい。アフリカ大陸の3分の2は砂漠または乾燥地であり、農業用乾燥地の73%がすでにひどく、あるいはかなり劣化している。
アジアは、砂漠化の影響を受けている土地面積が、どの大陸よりも広い。 --それは14億ha弱である。

ラテンアメリカの乾燥地の約3分の2は、かなりあるいはひどく砂漠化している。
砂漠化で失われた生産量は、世界全体で毎年400億ドル以上に相当する。



遺伝子組み換え食品問題

遺伝子組み換え食品とは?  遺伝子組み換え技術とは、改良目的の遺伝子を他の農作物の細胞に組み込んで、目的の性質をもつ農作物を作ることです。従来の人工交配では入れたくない性質も入ってしまったりしましたが、遺伝子組み換えは目的の性質を発現できる遺伝子のみを細胞に入れるため、効率よく短期間で目的の作物をつくることができます。また、遺伝子を構成するDNAは植物も動物も微生物も同じです。そのため理論的には種の壁を越え、従来の交配技術ではできなかった画期的な品種改良(例えば乾燥地帯でも育つ穀物など)ができる、とも考えられています。
 遺伝子組み換え農作物は1994年ころからアメリカ・カナダで商品化されました。これらは主に害虫や除草剤に強い作物で、生産効率や農薬使用量の削減の期待から一部の農家で生産が行われるようになり、その規模は拡大しつつあります。これをきっかけに食料の大半を輸入に頼る日本もおのずと遺伝子組み換え作物にかかわることになり、厚生省は1996年秋、大豆、なたね、じゃがいも、コーンなど4作物7品種の安全性を確認したとして輸入を許可しました。
 遺伝子組み換え作物の安全性については日本では、科学技術庁、農林水産省、厚生省でチェックをし、問題がないとされています。しかし、消費者の間では、遺伝子操作という新しい技術に対する不安や安全性の検証についての不安から、商品を選べるようにしてほしいという表示を求める声が強まっています。
遺伝子組み換え原料使用の可能性がある食品
 アメリカ産一般大豆の14〜18%(97年度作付け)が遺伝子組み換え大豆です。
 この大豆は日本国内では次のような食品の主原料として使用されています。
油類(大豆油、ブレンド油)
その油を使用している商品(マヨネーズ、ドレッシング、マーガリン)
醤油、その醤油を使用している商品(つゆ、たれ)
豆腐、その豆腐を使用している商品(油揚げ類、高野豆腐、ゆば、豆乳)
その他(きな粉、植物蛋白)
大豆
 国産、中国産、カナダ産などアメリカ以外の大豆では
今のところ遺伝子組み換えはありません。
 アメリカ産でも認定有機大豆等栽培方法が異なる場合は遺伝子組み換えはありません。
 納豆、味噌に使用されている大豆は遺伝子組み換え対象品種ではありません。
なたね
 カナダ産なたねの約23%(97年度作付け)が遺伝子組換なたねです。
 このなたねは日本国内で主に次のような食品に使用されています。
油類(なたね油、ブレンド油)
 アメリカ産コーンの約13%(97年度作付け)が遺伝子組み換えコーンです。
 このコーンは日本国内では次のような食品の主原料として使用されています。
油類(コーン油、ブレンド油)
その油を使用している商品(マーガリン)
菓子類(コーンフレーク、コーンスナック等)
コーン
 遺伝子組み換えはデント種のみで、
冷凍食品に使用されているスイート種で遺伝子組み換えはありません。
 アメリカ産じゃがいも約4%(97年度作付け)が遺伝子組み換えじゃがいもです。
 このじゃがいもは日本国内で主に次のような食品に使用されています。
冷凍食品(フライドポテト)
菓子類(成形ポテトチップス)
その他(マッシュポテト、馬鈴薯デンプン)
じゃが
 いも
 遺伝子組み換えはラセットバーバンク種、スーペリオア種、アトランティック種です。
国内産、ヨーロッパ産は対象ではありません。
綿  アメリカ産の約25%(97年度作付け)が遺伝子組み換え綿です。
 この綿は日本国内で主に次のような食品に使用されています。
油類(綿実油)

ヒトは子孫を残せるか 

ホルモン攪乱物質と環境汚染 
 ワシの一種やカモメ、ワニ、魚などある種の動物の内分泌(ホルモン)作用が攪乱され、子孫を残せなくなる現象がみられているとして、生物学者が警告しています。
 98年2月1日の朝日新聞の社説は、地球人の世紀へ、「ヒトは子孫を残せるか」と題してホルモン攪乱(らんかく)物質と環境汚染について述べ、PCB、DDT、ダイオキシンなどの残留性が強い化学物質が、環境から生物の体内に摂取されて、地球規模で生殖の現象に異変が生じ野生動物を脅かしているとして、人間にまったく無関係とは思えないという論説です。

 いま、人間の精子を作る造精機能もダメージを受けて、精子が減少している現象がみられているのではないかという議論があります。男性の精子数が昔に比べて半減しているという報告があり、それを契機としてホルモン攪乱物質に関する医学者の国際的なプロジェクトが発足しました。
 男性の精子数は7千万〜1億/mlで、精液量は2〜5mlといわれてきましたが、最近の報告は5千万/ml前後に減少したとの報告が出ています。同じように人間の血液中の白血球も、昔は5千〜8千/mlといわれてきましたが、現在では3千〜6千ほどに減少しています。
 しかし、これらの生理的数値の変動は簡単に議論できる問題ではありません。まず昔と今との測定方法の技術的やサンプリングの問題があり、もし減少していたとして、その原因の解析は様々な要因が関与しているので、必ずしも容易ではなく、軽々に判断はできません。

人工の化学物質の氾濫とホルモン攪乱作用  石油産業から作り出される様々の製品、プラスティク類をはじめ、農薬、殺虫剤その他の化学薬品などを私たちは日常のように便利に使っています。そのような中で、毎年千種の単位で、未知の新しい化学物質が国境を越えて作り出され、それらは世界に拡散していると言われています。
 先に述べたDDT(*1)、PCB(*2)、ダイオキシンなどはいずれも有機塩素系の化合物で、天然には存在しない人間が工業的に作りだした人工の化学物質です。
 これらの化学物質の問題点は、人工の化学物質であり、汚染の被害に暴露されて初めて製造禁止などの措置がとられていて、測定方法をはじめその詳細は解明されていないままに作り出されています。
 また、分解されにくく残留性が強く、次第に自然界に蓄積されていくことが確認されていて、土壌または河川、海水の微生物、プランクトンなどから、魚介類、植物、動物、そして人へと、食物連鎖などで著名な濃縮が起こり、人体への蓄積でやがて人類にとって重大な事態が発生する可能性が指摘されています。
 さらに、毒性が強いことは分かっていても、人体の何処の臓器に如何なる障害を与えるかについても、その詳しくて正確な生理・病理はまだ一部しか解明されていません。しかし、人類が被爆した過去の経験から、発ガン性、催奇性、さらに生殖の障害があるなど極めて不気味な物質なのです。
(*1)
DDT
効果の持続性が極めて長く、強い殺虫剤として大量に使用され、私たちの周辺から蚊や蚤を駆逐することができました。しかし、残留性、毒性が強く、食物連鎖の代表的有害化学物質として製造禁止となっています。
(*2)
PCB
ポリ塩化ビフェニール。化学的安定性が利用されました。すでに1887年にドイツで発見された化学物質で、その後1929年以来米国、欧州で、54年に日本で製造、かねみ油事件で製造禁止。人体に入ると強い皮膚症状と全身の臓器を障害を起こします。
ホルモン攪乱作用とは
 環境中に生殖に関するホルモンの作用を混乱させる化学物質が存在することは、昔から知られていました。これらは「環境ホルモン」、「ホルモン様化学物質」、「ホルモン阻害化学物質」などと呼ばれていますが、現在ホルモン攪乱化学物質として、ぼほ認定されているものとしてはPCB、DDT、ダイオキシンなどの20種で、多分そうであろうという疑いがあるなどをくるめると100種近くになっています。
 ある種の化学物質が男性の女性化、女性の男性化を起こすことが報告されているが、しかし、その詳細は分かっていません。

 性ホルモンは大きく分けて男性ホルモン(アンドロゲン)、女性ホルモン(エストロゲン)、妊娠ホルモン(プロゲストロン)に分けることができますが、これらのホルモンは化学的に、シクロ・ペンタノ・フェナントレン核という水素炭素骨格を持つ環状化合物で、その置換基のわずかの差で男性ホルモンの、そして女性ホルモンの作用を発揮します。したがって理論的にはそれらの作用基は何らかの刺激により、比較的容易に変換することも考えられます。
 また良く知られている女性が飲む避妊薬「ピル」も、妊娠ホルモンのような作用をもつシクロ・ペンタノ・フェナントレン核をもつ合成化学物質で、これらは作用基を少し変えると男性ホルモン作用を示し、また女性ホルモン作用となる。様々な合成化学物質「ピル」の主薬自身は、妊娠ホルモン作用だけでなく男性ホルモン作用、また女性ホルモン作用を兼ね備えることも多いのです。
 このことからも「環境ホルモン」、「ホルモン様化学物質」、「ホルモン阻害化学物質」という考えが、ある種の化学物質が体内残留性が強く、蓄積をして有害作用を呈するようになり、生体の性機能を攪乱することは想定できます。

 また元来、下等動物は雌雄がなく、雌単体であることなどで、染色体からみても雄性は生物として進化のための後発の発生で、デリケートの上虚弱ではないかと考えられていて、卵子一個の細胞に対し精子は億を越える細胞として作り出さなければなりません。多分そもそもが造精能力や受精させる能力自身も、受胎の能力より自然の中では低いのかもしれません。
 さらに文明の副作用で人類が受精能力を喪失すれば、人類はいずれクローン人間だけが受け継いでいくような宿命を帯びるのではないかという笑えぬ小話も提唱できます。



  電磁波の恐怖  

















放射線 ガンマ線  
X線  
紫外線   日光浴
可視光線   カメラ
赤外線   暖房
極超短波 ミリ波 レーダー・衛星通信
マイクロ波 電子レンジ・携帯電話
超短波   テレビ
短波   ラジオ
中波   ラジオ
長波    
超長波   電磁調理器
極超長波   電灯線・送電線
電磁波とは  電磁波が急増しています。電磁波とは、電場(電気)と磁場(磁気)が同時に振動しながら真空または物質中を伝搬することです。
 極低周波から中波、短波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線まで含まれ、電波については「300万MHz以下の周波数の電磁波」と電波法によって決められています。
 電磁波は、波長の長短、あるいは周波数の高低によってその性質は変化し、波長が短くなるほどより波、さらには粒子としての性質が際立ってきます。
 携帯電話に使われているマイクロ波が生体へ与える影響、また、高圧送電線の電磁場の影響についても調査研究が数多く行われていますが、その因果関係についてはまだ解明されていません。
 なお、電場および磁場は物理学上の用語で、電気電子工学上では電界、磁界という用語が用いられています。

電磁波の発生源と生体への影響  テレビ・冷蔵庫・エアコン・電子レンジといった家庭電化製品は電磁波の発生源ですが人間が快適な生活をする上で、こうした家電製品は欠くことができないものになっています。
 また、パソコンもWindows95の発売やインターネット・ブームにより家庭へものすごい速さで浸透し続けています。更に、携帯電話の普及もめざましく、携帯電話・PHSは国民4人に1人が持ち、今も増え続けています。
 こうした電子情報機器・家電製品は科学技術が利便性を追求してきた成果といえますが、その便利さの裏側には落とし穴が隠されているのです。
 目には見ることのできない電磁波の問題です。電磁波は携帯電話・VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)・通信用鉄塔・高圧送電線などから発生しています。その電磁波は人体を蝕む可能性を秘めており、他の電子機器を誤動作させるという危険も持っています。
 「刺激作用」と「熱作用」という電磁波の2つの働きは、従来よりよく知られていました。感電するとピリッとするのが「刺激作用」で「熱作用」は電子レンジなどで使われている生体の温度を上げるというものです。
 ところが、電磁波と生体には、もう1つ、「非熱効果」と呼ばれる作用があります。これは電磁波が細胞レベルでのカルシウム漏洩現象を引き起こしたり、メラトニン・セロトニン・ドーパミンなどといった脳内ホルモンに悪影響を及ぼしたり、ガンの発生率を高めるというもので、非熱効果の人体への影響が重視され始めています。
 また、電磁波の影響であるという確証はありませんが、携帯電話のマイクロ波が原因と見られているものとしては、白血病、脳腫瘍、リンパ腺腫瘍、流産、染色体異常などが挙げられています。

高圧送電線の磁場とガン  高圧送電線の近くに住む人々についての磁場とガンの研究報告によって、電磁波の生体への影響について世界的に注目を集めるようになりました。
 この研究は、高圧送電線から発生する磁場がガンの発生率を増加させるという仮説を実証するためのものでした。その調査は1960年から26年間に22万Vと40万Vの送電線から300m以内に住んだことのある43万人を対象に実施されました。
 その結果、磁場の強さが2mG(ミリガウス)以上の家で小児白血病は通常の2.7倍、3mG以上で3.8倍の発病率であると推測されました。
 また、職業人を対象にした極低周波と高周波の被曝に関する調査は世界各国で実施され、白血病のほか肺ガン、アルツハイマー、骨髄炎などの発病率増加が報告されています。
 しかし、世界的に大規模な調査が行われていますが、「何故、ガンになるのか」という因果関係はまだ明確に解明されていません。つまり、どのくらいの被曝なら大丈夫だとか、なぜ白血病になりやすいのかということは研究段階です。このため労働省は97年から生体への具体的影響の有無を調べる本格的な研究に着手し、防護指針づくりなどに乗り出すことになりました。
  他の電子機器を誤動作させる  電磁波の生体へ与える医学的な影響は、まだ判然としませんが、他の精密機器への悪影響については因果関係を特定しやすいだけに、いくつかの具体例が出ています。
 これまで、原因が突き止められなかった航空機の墜落事故についても、携帯電話などの精密電子機器に容疑がかかっています。
 96年に起きたブラジル機墜落事故の事故原因は乗客の携帯電話との見方が出たためブラジルでは、航空機に悪影響を及ぼす電磁波を防ぐため、携帯電話や小型パソコン、電子手帳などを機内持ち込み禁止としました。
 航空各社の多くはすでにCDプレーヤーや携帯電話などの使用を禁止しています。このほかにも、携帯パソコン、デジタルカメラ、ビデオカメラをはじめ航空機の自動操縦装置など計器類に影響を与える恐れのある電子機器が対象になっています。
 また、入院患者に電子制御で投薬調整していた輸液ポンプが停止してしまった事故では、携帯電話の電磁波が原因としてみられました。その後の郵政省の調査では、携帯電話からの電磁波によって医療機器の60%以上が誤動作などが起こることが明らかになりました。
 心臓ペースメーカーの場合は更に深刻です。現在、全国で約20万人が利用している心臓ペースメーカーは、使用者の心電を測りながら心臓を動かす信号を送っています。携帯電話から出る電磁波が心臓からの信号に影響した時のことを考えると恐ろしくなります。
 まだまだ解明されない問題が山積していますが、「クロに近いもの」「疑わしきもの」は減らしていくべきなのでしょう。
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