水のコンテンツ⑭ 『水』をとりまく諸問題 その14
  21世紀の『緊急課題』-⑦


《水》膜ろ過、じわり浸透中 欧米が先行、横浜も検討
大型浄水場に相次ぎ

 超微細な繊維の膜で水の汚れをこし取る膜処理技術が、欧米で大型浄水場に相次いで導入されている。河川の水から農薬や病原性原虫を除き、塩素消毒が少なくても飲める水をつくる「巨大な浄水器」としてだ。米国では100万トン規模の構想が浮上し、日本でも横浜市が20万トン規模の検討を始めた。

 膜メーカーの団体の膜分離技術振興協会の調べでは、膜処理の浄水場は世界で計411万トン分が稼働・建設中。日本人の水使用量換算で約1600万人分にあたる。協会は「世界中で水源汚染が深刻化する中で、さらに普及する」という。薬品で汚れを固めて砂でろ過する従来の処理方法よりも、化学物質を取り除きやすいとされる。

 日量1万トンを超すプラントは米国42、欧州33、オセアニア6。フランスで世界最大の14万トン級が稼働し、イギリスで近く16万トン級が動き出す。

 米国では、塩素消毒で死なない病原性原虫クリプトスポリジウムが水道水に紛れ込んだ93年のミルウォーキー事故を機に導入が進んだ。約40万人が集団下痢に感染し、エイズ患者を中心に死者も出たからだ。
 日本で稼働中の膜施設は山間部の小型水道が原虫対策で導入した数百トン規模が大半。栃木県今市市が5月に稼働させた1万トン級が最大だ。

 世界で使われている膜は、東レ、三菱レイヨンなど日本のメーカーが中心。

 ◆膜処理  海水の淡水化や純水もできる逆浸透膜(RO)、ミネラル分が半分残るナノろ過膜(NF)、固体と液体を分離する限外ろ過膜(UF)、原虫や雑菌類をとる精密ろ過膜(MF)と、目の細かい順に4種類ある。膜の開発は60年代の米国のRO膜から始まった。RO膜の淡水化はサウジアラビアや日本などで稼働中。

(2001/6/17 朝日)
水回り
おじさん


雄叫び

毒舌・戯言
 今後、必ず進み、大きく発展して行く技術だ。

 しかし、そこから生まれる「水」はどのくらいのコスト高になるのか、ちょっと心配だ。

 健康でいるために支払わなければならない「お金」は、環境の悪化に比例して際限なく上昇する。
 生きて行くための代償としては、あまりにも大きい。


雨降らぬブラジル、経済成長鈍化の懸念

 ブラジルで電力の供給不足が続き、経済活動への影響を懸念する声が広がっている。99年の通貨危機から立ち直って回復基調にあったが、01年の成長率見通しを当初の4%程度から2.2%に下げた銀行もある。

 ブラジルは電力の8割以上を水力に頼る。今年初めからの降雨不足のために発電量が低下。特に生産拠点が集まるサンパウロ周辺が深刻だ。ブラジルは送電設備が不十分で、電力の余剰地域から不足地域へ簡単には回せないことも大きい。

 カルドーゾ大統領は5月に節電計画を発表。家庭や企業に電力使用量を20%前後、減らすよう要請した。銀行の営業時間は2時間短縮。休みを増やしたり、社員を解雇したりする企業もあり、工場の操業を月曜日に止める案も出ている。

 自動車業界は15%の削減を求められた。ホンダ・ブラジル工場はエアコンなどを止めて稼働しているが、昨年の設備増強で電気を多く使う射出成形機を導入しており、節電計画の達成のために月曜日の生産を止める可能性もあるという。

 サンパウロ中心部では停電が起きており、消費の低迷も避けられないとの見方が強い。(2001/6/17 朝日)
水回り
おじさん


雄叫び

毒舌・戯言
異常気象による経済悪化。
毎年、必ず繰り返される地球のメカニック。
それは歴史的にみても、数多くの悲劇を生んできた。
困った、困ったとばかり言っていないで、「受忍と忍耐」が強く求められる。

そして、何をするべきか。「自然との共生」の精神で暮らすことが肝要。


ペットボトル飲料、「家のお茶より日持ち」は誤解
 「開けたら早めに」

 手軽さで人気を呼ぶ大型ペットボトルのお茶について、栓をあけても「日持ちする」との誤解が少なくないことが全国清涼飲料工業会(全清飲)の意識調査でわかった。実際には家で沸かすお茶と変わらない。需要が増える夏を前に、全清飲は「開栓後は早めに飲んで」と呼びかけている。

 首都圏の20〜50代の主婦300人を対象に、今春、900ミリリットル以上の大型ペットボトルについて尋ねた。
 過去1年に買ったのは、ウーロン茶や麦茶、緑茶などのお茶が83.7%、次いで果汁入り飲料61%、ミネラルウオーター、スポーツドリンクが56.7%で並んだ。1位のお茶は「作る手間がかからない」(58.2%)などが人気の理由。

 表示では「賞味期限」「原材料名」を気にするなど、品質への関心は高かった。ただ、ほぼ2人に1人は「家で作るより日持ちする」と思い込んでいた。その理由は「保存料が入っている」「殺菌されている」。飲み終えるのは開栓後2〜3日が6割だが、2週間以上と答えた人もいた。

 ところが実際には、お茶など清涼飲料の多くに保存料は入っていない。
 全清飲の西村保親・企画部長は「賞味期限は栓を開けなければおいしく飲める期限。いったん開ければ家で作ったのと同じです」と話している。

(朝日 2001/6/17)
水回り
おじさん


雄叫び

毒舌・戯言
小生も一度、大変ビックリしたことがある。
飲みかけのペットボトルが2ヶ月ほどたったら、水の中に「青カビ」がビッシリと発生したのだ。
早速、「保険所」に報告しようと思ったが、やめました。
ペットボトルには完全殺菌と表示されていないのだ。
ただ湧水を入れただけのものなのだということに気が付きました。
我々は、食品・飲料は完全殺菌されていると自然のうちに思い込んでしまう癖がついてしまっているようだ。


地球温暖化、ヒートアイランドが災害を多発 防災白書

 2001年版の「防災白書」が15日の閣議で決定された。白書は、地球温暖化や都市部が高温になるヒートアイランド現象によって21世紀には風水害が多発する、と警鐘を鳴らした。

 白書によると、地球全体の気温は今世紀中に1.4度から5.8度上昇し、台風や豪雨が頻発、洪水や地滑り、泥流などの自然災害が増加すると予想した。

 国内では東京、名古屋、大阪など大都市圏で、海抜1メートルまでの低い場所に居住する人口が475万人にのぼり、集中豪雨による洪水や海面上昇の影響を受ける可能性が高い、と指摘した。
 大都市では、ヒートアイランド現象によって、雷や集中豪雨、ひょうなど都市特有の気象パターンが現れると指摘。現在の都市構造では対応できないとして対策を求めている。

 21世紀中の地震については「阪神・淡路大震災以降、西日本が地震の活動期に入ったという学説もある」との表現を盛り込んだ。政府として初めて西日本の活動期を認め、南側の海底を走る南海トラフ(溝)沿いの巨大地震への警戒を促した。

(2001/06/15  朝日)
水回り
おじさん


雄叫び

毒舌・戯言
「警告」くらいは、誰でもできる。
官公庁みずから、「防災とはなんぞや?」の範を示すことが必要。
会議や議論だけの防災など笑止千万。
予行演習防災と本番は、雲泥の差。
実際の大災害は、「地獄絵図」、「阿鼻叫喚」。
そうならぬための、施策 望むや切!。



未処理の下水、海を汚染 まず東京湾調査
 雨で放流構造に難 

 大都市の下水の一部が雨天時、未処理のまま海に流れ込んでいることが明らかになった。高度成長期につくられた下水道に構造上の問題があるからだ。赤潮などを引き起こす原因になっているとして、海上保安庁が今月中に、まず東京都と合同で東京湾の汚染の実態調査に初めて乗り出す。国土交通省は18日に検討委員会を設け、12指定市を含めた大都市の下水道対策の検討に入る。

 下水道には、し尿を含めた汚水と雨水を同じ管で流す合流式と、汚水管と雨水管が別にある分流式がある。いずれも下水処理場を経た処理水が川や海に流される。ところが、合流式は雨天時に大量の雨水と汚水が流入すると、未処理のまま一部が川や海に放流される。

 いまは分流式が主流だが、戦後早く下水道整備をした大都市を中心に約200市町が合流式を採用している。東京都区部では8割が合流式。都は「東京五輪に間に合わせようと工期が短く、費用が安い合流式を選んだ」と説明する。指定市の合流式の割合は大阪90%、名古屋65%、札幌63%、京都40%と高い。
 東京都の場合は年約80回の降雨のうち約40回あふれ出している。99年ごろから白い油のかたまりが東京湾岸に漂着するのが目立ち始め、海保が調べたところ、東京都の下水道から出た汚物だとわかった。

 海保の東京海上保安部は都に働きかけ、5月に合同調査を決めた。6月中の雨天時、東京湾岸の下水の吐き出し口近くなど数カ所で海水をくみ、生物化学的酸素要求量(BOD)や化学的酸素要求量(COD)、大腸菌群数などを調べる。
 ほかの指定市も梅雨の時期に地元の海上保安部などと合同で同じ調査をする。放流先は東京湾のほか、大阪湾、伊勢湾、博多湾などいずれも閉鎖性水域で、未処理の下水による環境への影響が大きいと予想される。
 一方、国土交通省下水道部は今月18日、全国の合流式下水道の対策を探るため、自治体や海保の担当者、学者らによる検討委員会を設ける。
 施設面の対策では、雨天時に下水をためる貯留施設の建設や管の取りかえなどがある。ただ、膨大な費用がかかり、東京都だけでも数兆円にのぼる、とされる。

 未処理の放流は人口増など急激な都市化に合流式の処理能力が追いつかなくなったため起きる。下水管は降った雨の半分の流入を前提に設計されているが、雨水を吸収する土壌が舗装の拡大で減ったため、「約8割が下水に流れ込んでくる」(都下水道局)のが実態だ。

(2001/06/14朝日)
水回り
おじさん


雄叫び

毒舌・戯言
 ようやく、そして、やっぱり問題になったかが実感。 社会一般はあまりにも、下水関係に対し無関心すぎる。
 給水関係は、ほどほどの関心を持つのに、排水に対しては「水に流しっぱなし」の状態。
 このままでは、東京湾はおろか、世界中の海が汚染されてしまう。
 大海の中に少しの猛毒を入れても薄められてしまって、ほとんど解らぬ。
 しかし、これを人間の社会にあてはめてみると、「猛毒」を持った凶悪犯罪人が大勢の人の中で「薄まって」見えた
としても何も解決していない。それが今、巷で氾濫している犯罪の数々です。
 「臭いものにフタ」をしたり、「猛毒を薄める」のは最悪の解決法。「もとをたたなきゃ、駄目!」。



「水道民営化」にらみ外資系含む有力6グループが名乗り


 水道事業の業務委託の受け皿をめざす民間企業が国内で相次いで設立され、外資系を含めて有力6グループが名乗りを上げている。26日成立予定の改正水道法で業務委託の範囲が広がり、浄水場の現業部門の一括委託が認められるからだ。年間3兆〜4兆円にのぼる日本の水道事業が将来、フランスや英国のようにコスト削減のために民営化されるとの期待感もある。

 フランス企業では、水道のほか電力、通信でも世界的なビベンディが99年暮れに丸紅と合弁会社を設立したほか、リヨネーズ・デゾーから社名変更したオンデオも子会社が東京に駐在事務所を構えている。英国のテームズウォーターが三井物産と設立した合弁会社で約2年前から水道事業の受け皿づくりに乗り出した。

 日本企業では、上下水道処理施設の運転管理を手がける日本ヘルス工業と三菱商事が昨夏、ジャパンウォーターをつくったほか、今月1日には水道管メーカーのクボタと水道コンサルタント最大手の日水コンがトップスウォーターを設立した。

 大手コンサルタントの日本上下水道設計と荏原も今年初め、子会社同士が委託の受け皿となる合同の「J・TEAM(ジェイチーム)」を発足させた。

 日本の水道事業はダム開発の負担や、河川の汚染に伴う浄水設備投資、老朽施設の更新などで支出が増え、不況で料金収入が伸び悩み、値上げが相次いでいる。約1900の水道事業体は中小規模ほど経営が苦しい。

 水道事業体はこれまでも検針や浄水場などの業務の一部を企業に委託してきたが、今回の法改正を機に浄水場の運転を企業に一括委託する例が増えるとみられている。
(2001/6/23 朝日)
水回り
おじさん


雄叫び

毒舌・戯言
ようやく、聖域といわれていた「水道事業」も民営化の動きがでてきた。
談合と癒着蔓延の水周辺の公共事業群は、もう、うんざり。

国民のための事業ですといいながら、実態は自分達のことしか考えぬ集団。
そのはざ間で、心ある人は泣いている。

この際、下水道事業も民営化にしたらいかがですか。



水道水、企業が「つくる」時代に
安全・安価・安定アピール

 水道水を企業がつくる時代になった。市町村など役所の仕事だった浄水場の運営が、水道法改正で正式に門戸開放されるからだ。安全な水を安く安定的に――。外資を含めた企業は将来の水道民営化をにらみ、しのぎを削り始めた。

 ●委託で料金据え置き――コスト削減

 福島県三春町は水道事業の一部を企業に委託している。幹部を除く10人のうち2人が町の職員、8人が企業の社員だ。
 約1万6000人分の水源となる川は上流に下水処理場があり、水質がよくないため、活性炭や微生物で汚れやにおいを取り除く「高度処理施設」も備える。
 浄水部門では施設の運営は専門知識を持つ日本ヘルス工業の社員6人に任せる。町職員は法律上必要な水道技術管理者をひとり置くほか、業務を統括する役割だ。
 料金徴収や経理などの事務部門は、別の日本上下水道設計の子会社と契約した。町の職員なら2350万円かかる人件費が半分以下の950万円で済んだ。
 これらの委託は現行法で可能な限度という。

 「役所は予算という既得権益にしばられるが、民間会社に競わせればぎりぎりまでコストを削れる」。担当する遠藤誠作企業局長は説明する。
 料金は4年に1度、恒例のように値上げしてきたのに、今年は節減のおかげで据え置けた。
 町は今秋、学識経験者も入れた公営企業経営委員会を設け、「企業感覚の水道」をめざす。改正水道法では水道技術管理者が委託先にいればよくなり、さらに委託を広げたい考えだ。

 約9万人に給水する長野県飯田市も3年前から浄水場の運営を一部委託している。
 「水道に限らず人減らしは急務。年間の経費節減はわずかでも、年金や退職金を計算に入れれば委託の方が合理的だ。水処理には専門的な知識が必要。役所内で異動する市の職員よりも、外部のプロに頼んだ方が安心だ」。長谷部進・水道課長は強調する。

 ●受け皿へ内外しのぎ――市場に活力

 日本に進出したフランスのビベンディ、オンデオ(旧リヨネーズ・デゾー)、英国のテームズウォーターは世界の5指に入る水道企業。かつての植民地経営で培った社会資本整備のノウハウがいまも英仏企業の武器になっている。
 3社がかかわる各国の水道事業を合わせると、2億人以上に飲み水を供給する計算になる。パリ、ロンドン、マニラ、ジャカルタ、ブエノスアイレス、ベルリン、豪シドニー、米アトランタなどは、3社が民営化の受け皿となった。

 水道の民営化はいまや世界の潮流。ほかにも米国やスペインなどの水道会社も名を連ねる。
 日本は水道普及率が96%と施設整備もほぼ終わり、漏水も少ないため、長期契約で安定的な運営が保証され、魅力的な市場とみられている。
 ただ、すぐ商売になるわけではない。外資系各社は「主な水道事業体には声をかけた」ものの、脈のある話は来ていないという。

 テームズウォータージャパンの三浦嘉倫技術部長は「モノを売るのではなく、経営をサポートするのが目的だから、すぐに委託の話が来るとは思わない。3〜5年先を見ないと」と冷静だ。
 日本ヘルス工業と三菱商事のジャパンウォーターなど日本企業が相次いで水道会社を設立したのは、外資の「黒船」に対抗する狙いも大きい。

 ●「地元重視」都は静観――「官官委託」

 給水人口1100万という世界でも最大規模の東京都水道局は、4月に調査課を発足させた。ほかの水道事業体から業務の一括委託を受けられるかどうかの検討も目的のひとつとされる。
 ただ、小山隆・水道局主計課長は「頼まれた場合は別として、ほかの自治体に進出するのは現状では難しい。地元住民へのサービスをおろそかにしていると思われてしまう」と語る。

(朝日 2001/06/23)
水回り
おじさん


雄叫び

毒舌・戯言
ペットボトルで水を買って飲んでいる時代。
その解決策となるか注視される行方である。

水道事業も障壁を無くせば、民間が参入することは当然だ。
今まで、あまりにも水道事業は民に対し垣根が高すぎた。

そして、「安全、安定的」ばかり強調していて、「安価」で供給するという視点が欠けていたことは否めない。


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