水のコンテンツ⑮ 『水』をとりまく諸問題 その15
  21世紀の『緊急課題』-⑧


滋賀の名水から大腸菌、県は注意喚起怠る

 環境省の「名水百選」のひとつ、滋賀県伊吹町、泉神社の湧水(ゆうすい)から大腸菌が検出され、県長浜保健所が今年3月、「生水の飲用は不適」と指摘していたのに、県はこれを放置して利用者への注意など対応を怠っていたことが29日、わかった。
 「おいしい水」として、年間約5万人が持ち帰っている湧水で、いまのところO(オー)157などの病原性大腸菌は検出されていないが、腹痛などの食中毒症状を伴う恐れがあり、県は「認識が甘かった」としている。

 泉神社は伊吹山ろくにあり、湧水は「まろやかでおいしい」と古くから地元の人たちに親しまれてきた。

 山ろくの地下水を使った麦茶が原因とみられる集団食中毒が1996年夏から97年春にかけて伊吹町内で2件発生。長浜保健所が97年9月から2年間、同神社を含む近辺6か所の湧水などについて毎月1回、水質調査を実施。
 水道法では飲用水から見つかってはならない大腸菌群が24回中17回で検出され、うち98、99年の8月には食中毒を起こす可能性もある大腸菌があった。

 名水百選には水質基準がなく、飲用に適していなくても構わないが、保健所は今年3月、水質検査の結果を伝えて生水の飲用を避けるよう県に求めた。
 だが、県側は「被害報告がなく、緊急性もない」と、利用者へ注意していなかった。近く立て看板などで周知するという。
 環境省水環境部は選定から除外はしない方針だが、「大腸菌などが含まれていれば注意は必要」としている。

(2001/09/30 読売)

水道通じるまで“夜はお預け”
 トルコ南部のシルト村の女性グループが、夫たちに水道管を設置させようと、1カ月以上にわたり「ベッドを共にしない」運動を続けている。
 水道管が故障したため、何カ月にもわたり、数キロ先の泉まで徒歩で水をくみに行き続けた女性陣の怒りが爆発、とうとう実力行使に踏み切った。
 村のトラブル解消に向け、政府は水道管用のパイプ約8キロを供与する方針を示したが、設置は男性の役目。
 女性たちは「水道管が完成するまで運動は続ける」構えで、男性に本当の平和が訪れる日は不明。(AP) (2001/08/17 スポニチ)



猛暑に冷夏、多雨、少雨列島奇妙気象


 ことしの夏は、猛暑と冷夏、少雨と多雨が日本列島に同居したり、同じ地域が真夏から一転、秋のような涼しさになったりと奇妙な天気が続いている。
気象庁によると、今夏は
 (1)6月末、太平洋高気圧が東に片寄って平年以上に勢力を増し梅雨前線を北に押し上げた
 (2)7月は太平洋高気圧の影響で東日本は記録的猛暑
 (3)7月末以降、通常は梅雨時期によく現れるオホーツク海高気圧が勢力を増し東日本以北で気温低下――という経緯をたどった。

 関東以西は深刻な水不足の一方で、北日本の7月の降水量は平年の1.3倍を超え、北海道の網走は平年の約2.2倍の174ミリで観測史上2番目の多さ。
 関東地方では、11日にようやくまとまった降雨があった。
 7月24日に7月としては過去最高の38.1度を記録した東京都心は、8月7日には最高気温が25.8度にしか上がらなかった。

(2001/08/12 スポニチ)



利根川水系の取水制限、14日から一時解除


 国土交通省関東地方整備局は13日、今月10日から行っていた利根川水系の10%の取水制限を、14日午前9時から一時的に解除すると発表した。

 週末からの雨で、貯水量が取水制限開始時の1億7486万トン(貯水率51%)から、1億8697万トン(同54%)に増えたため。

(2001/08/13 読売)



利根川水系、10日から10%の取水制限・・5年ぶり


 国土交通省などの関係省庁や東京都などの自治体で構成する利根川水系渇水対策連絡協議会が7日開かれ、10日午前10時から10%の取水制限をすることを決めた。首都圏最大の水がめになっている同水系での夏の取水制限は5年ぶり。直ちに水道水に影響が出るわけではないが、今後も少雨が続くようならば、早ければ来週後半にも制限が強化される見込みだ。

 利根川から水をとっているのは東京都のほか千葉、埼玉、群馬、栃木、茨城の各県。
 国土交通省によると、利根川上流の8月の降水量は7日までに13ミリしかなく、平年の6%にとどまっている。上流部にある八つのダムの貯水量は同日現在で計1億9500万トンで、貯水率は57%まで落ち込んだ。

 首都圏の今夏の水不足は、史上最悪の渇水被害となった94年夏や、96年夏に匹敵するペースだ。
 96年の場合、4日後には20%、さらに3日後に30%まで取水制限が引き上げられている。制限が30%程度になると、高台で水が出にくくなったり、一部で一時的に断水したりする心配がある。

 気象庁もこの日、関東甲信地方の少雨に関する情報を出し、水や農作物の管理などに十分注意するよう呼びかけた。
 同庁によると、今後少なくとも1週間は大きな天気の崩れは予想されず、局地的なにわか雨や雷雨はあるものの、少雨を解消するほどの降水量は見込めないという。

 西日本では、中部地方の木曽川、豊川、矢作川の各水系、四国地方の吉野川水系などでも水不足が深刻で、既に取水制限が始まっている。

(2001/8/08 朝日)



渇水対策・・地道な節水の努力を続けたい」


 各地で雨がほとんど降らない「少雨」が続き、ダムからの取水を制限する動きが広がってきた。今後まとまった雨が降らないと、深刻な水不足に見舞われる心配もある。
 渇水になってから対策を考えるのでは遅い。厳しさを増す水事情に目を向け、普段の節水を今から心掛けたい。

 気象庁によると、記録的な高温少雨となった7月の降水量は関東、北陸、東海、近畿などで平年の40%以下となった。木曽川や吉野川など中部、四国地方のダムに続き、関東の利根川水系でも7日から一部で取水制限が始まった。
 取水制限は水道用水で30%、工業用水で50%に達したところもあり、このままだと給水制限が避けられない情勢だ。

 戦後最大の渇水として知られるのが1994年の「列島渇水」だ。西日本を中心に水不足が七月末から深刻化し、福岡市では給水制限が八月初めから翌年五月まで295日間に達した。
 最長で1日19時間に及んだ給水制限で市民は苦渋の生活を強いられた。操業短縮に追い込まれた企業も多く、農作物にも大きな被害が出た。

 水不足への備えで最も有効な対策は、やはり日常生活における節水だ。
 出勤や登校前に洗髪する「朝シャン」は、シャワーを10分間使用することで120リットルの水が使われる。家庭で1回の洗濯に使う量とほぼ同じだ。一人ひとりが工夫を凝らし、心掛けることで節約される水の量は相当な量になるはずだ。

 今年の水資源白書が紹介している国民意識調査結果によると、「昼間しか水が出ない給水制限が数日続く」ことに対して、40%が「一回も経験したくない」と答え、10%が「一生に1回ならがまんできる」と回答している。
 一方、日常生活で「節水していない」「特に気にとめていない」という回答が三分の一を占めた。これではあまりに身勝手ということになるだろう。
 自治体や企業でも徐々にではあるが、雑用水の有効利用が進んでいる。産業排水を循環させて再利用したり、雨水を水洗トイレや冷却用水として使う公共施設やオフィスビルも増えてきた。地道だがさらに拡大させたい取り組みだ。

 日本はほぼ10年に1回の割合で大きな渇水に見舞われてきた。過去20年とその前の20年を比べると、少雨傾向は年を追って強まっている。世界的な異常気象が一因との指摘もある。
 かといって、さらにダムを造り続けることが必要ということでもない。
 節水に勝る水不足対策はないということを、いま一度心に留めたい。

(2001/8/08 読売社説 一部修正)



2001年8月1日の産経新聞の記事です)
水が危ない 週明けにも取水制限
水ガメの底見えた/都も節水呼びかけ 育たぬ野菜、高騰も

 連日の猛暑に見舞われた関東地方では7月、最高気温35度を超えた日数が千葉を除く6都県で過去最高に上った。降水量も例年より大幅に少なく、関東地方の水がめ・利根川水系八ダムの貯水率が67%と梅雨明け以降最低水準のままで、来週早々にも取水制限が実施される可能性が出てきた。国土交通省も渇水対策本部を設置し、都水道局も節水を呼びかけるなど、“渇水”に関係者は危機感を強めている。

 気象庁によると、35度以上に達した日数が最も多かったのは埼玉県の熊谷で、月の半分以上の16回と過去最高。前橋も14回、宇都宮12回で、東京も12、13、14日の三日連続を含む7回で、昭和36年の4回を塗り替えた。
 降水量も少なく、東京・大手町の7月の降水量は41ミリで平年(161ミリ)のわずか四分の一。利根川上流域では7月累計が109ミリと平年(192ミリ)の57%。

 このため、利根川水系八ダムの合計貯水量は2億3千122万トンと平年の約8割に落ち込んでいる。
 国土交通省関東地方整備局によると、利根川水系の八ダムからの一日の取水量は平均6百万トンから1千万トンで、同局河川調整課では「このまま雨が降らないと40日以内に枯渇してしまう」と話す。

 同省の小幡政人事務次官も、今後まとまった雨が降らない場合、「来週早々にも利根川水系についても(取水制限など)考えなくてはいけない」との考えを明らかにした。取水・給水制限となれば都内では平成8年以来で、このときは一般家庭などは15%、工場など大口事業所は20%の給水制限措置が取られた。

 水の使用量の増加も、渇水危機に拍車をかけている。
 国土交通省が31日発表した「水資源白書」によると、平成10年度に都内の家庭で一日に使われた1人当たりの水の量は249リットルで、二年度より11.1リットル増えた。「ふろ」が7.6リットル増の64.7リットル、「トイレ」が9.8リットル増の59.8リットルとなっている。

 また、すでに農業関係者から「ナスやキュウリなどの露地ものが育たない」との声も上がり、東京・大田市場では枝豆が前年より1割以上高と、野菜高騰も心配される。

 ただ、気象庁によると、七月の少雨をもたらした強い太平洋高気圧が先週からやや勢いを弱めているため八月には降水量は持ち直す見込みで、関東地方など東日本で平年並みとなっている。

(2001/08/01 産経  一部修正)
水回り
おじさん


雄叫び

毒舌・戯言
 「水」対策は、いつも「泥縄」だ。
 泥棒が入ってから、縄を編むように、ダムの水位がかなり下がってから大騒ぎ。

 水道局は、水を沢山売ってなんぼの世界。その水道局が節水運動に腰を入れても腰砕けが当然。
 電力会社が節電を呼びかけるのと一緒。本音は、水や電気を沢山売りたいのだから。

 みんなで本当に、大節水や大節電をしたら、ダムならぬ「水道局」や「電力会社」が干しあがる。



102万世帯に有害鉛の水道管 東京都水道局調査
 人体に有害な鉛が水に溶け出す鉛製水道管が、都内の約102万世帯で使われていることが都水道局の調べで分かった。このうちの3割では、朝一番に蛇口から流した水の鉛濃度が、国の将来基準を超えていた。
 都水道局は102万世帯のすべてに「朝一番の水は飲料以外に使って」と注意を促す異例の戸別通知を送る。

 鉛管が使われている可能性がある356万世帯について都水道局が調べた。同局によると、昭和30年代半ばまでに建てられ、その後、水道管の工事をしていない家では鉛管が使われている可能性が高いという。

 その結果、水道メーターから蛇口までの間に鉛管が使われていたのは102万世帯あった。都水道局の水を使っている全世帯の17%にあたる。

 鉛管を使っている世帯で、朝一番の水の水質を調べたところ、2%の世帯では、いまの国の基準(1gあたり0・05_グラム以下)を超えた。基準は2、3年後をめどに1gあたり0・01_グラムに厳しくなる予定だが、29%の世帯では、これを超えていた。

 ただしバケツ1杯分(約10g)を流すと、将来基準を超えた世帯は8%に減った。鉛が溶けだした夜間の滞留水がなくなったためとみられる。

 都水道局は07年度までに配水管から水道メーターまでの鉛管をステンレス管などに替える計画だが、メーターから先の取り換えは、各世帯に任せられている。
(2001/7/19 朝日・都内版)
水回り
おじさん


雄叫び

毒舌・戯言
水道局は、「お客さん」に毒を飲ませていて平気でいるのか?。

「水」行政の大きな矛盾点。

片方では「節水」を呼びかけながら、もう一方では、朝にバケツ1杯分(約10g)を流すと、
有害鉛がほぼ安全だとのたまう。
公道までは水道局が交換するが、一般の私有地は個人の責任において勝手にやりなさいとのたまう。

もう少し、気のきいた行政はできぬのか。
「私有地内の工事は水道局で代行しますが、いくらの負担金がかかりますよ」位、言ったらいかが!。



深層水使い人工漁場――03年度から  相模湾でくみ上げ実験


 栄養分が豊富な海洋深層水をくみ上げて、魚が多くいる水深20〜30メートルに放水して「人工漁場」をつくる世界で初めての実験を、農水省の外郭団体「マリノフォーラム21」が03年度から相模湾で始める。軌道に乗れば、各所に人工漁場をつくる予定で、漁船の操業費用の削減や漁獲量の安定確保につなげたい考えだ。

 水深200〜1000メートルにある深層水はリンや窒素などの栄養分を豊富に含んでいる。海底の地形や海流のかげんで、深層水が魚の多い海水面付近にまで自然にわき上がっている水域が、世界の海洋の0.1%あるが、ここでの漁獲量が全体の半分以上を占めているという。こうした水域を人工的に再現するのが実験のねらいだ。

 相模湾の実験では、水深200メートルから深層水をくみ上げる。これを日光が届く水深20〜30メートルの水域で放流して植物プランクトンを増殖させ、それを食べる動物プランクトンも増やす。それらを追うアジなどの小さな魚や、マグロといった大きな魚を集める計画だ。

 密度の高い深層水は放流してもすぐに沈んでしまう問題があったが、水面付近の海水を同時に取水し、深層水と混ぜて、密度を調整して放流することで解決した。

 この海洋肥よく化装置は幅約30メートル、長さ約200メートル。今年度中に詳細設計を終え、03年5月から相模湾中央部で実験を始める予定で、事業費は約6億円。1日当たり10万トンの深層水をくみ上げ、半径20キロ程度の漁場形成を見込んでいる。これで、年間500トンの漁獲量が期待できるという。

(2001/07/02 朝日)



水需要予測、抜本的見直しを
総務省、国交省に勧告へ
  総務省は5日、2000年度までの15年間に荒川、利根川など全国の主要河川で実際に使われた水量が事前の需要予測を大幅に下回っていたとして、需要予測の抜本的改善が必要とする行政評価・監視結果を発表した。6日に国土交通省に勧告する。国交省は重点的に開発が必要な全国の7水系について、供給目標などを定めた基本計画を策定、ダムや堰(せき)は同計画に基づいて整備している。

 同省の調査では、計画の需要予測(1986−2000年)に対する工業用水の利用実績は筑後川が3%だったのをはじめ、データのない1水系を除く6水系で50%以下にとどまった。水道用水も、利根川や木曽川など3河川で予測の約30−60%の水量しか使われていなかった。需要見通しの甘さは、必要性が薄いダムの建設につながりかねないため、勧告では計画の実施途中でも需要規模に合わせて随時計画を変更するほか、予測精度の向上を図るよう国交省に求める。同時に、ダムの開発や管理に当たる水資源開発公団について、需要規模の実態を踏まえて組織の簡素化や民間委託などの合理化策を実施する必要があると指摘する。

(2001/07/06 日経)



下水道と河川を一体整備 国交省
来年度予算概算要求 水害に強い都市へ
 国土交通省は十四日、豪雨などで下水道から雨水があふれ出る「都市型水害」を防止するため、都市部で下水道と河川を一体化した総合整備事業に乗り出す方針を固めた。下水道整備と河川改修を同時に実施する総合計画を策定し、豪雨に耐えられる都市づくりを目指す。近く省内に学識経験者らで組織する研究会を発足させるほか、平成十四年度予算の概算要求にも調査・研究費を盛り込む方針だ。

 下水道と河川整備は現在、下水道法と河川法に基づいて各自治体が別々に実施している。しかし、想定雨量について下水道法では五年に一回程度の一時間五〇ミリ規模の大雨を前提にしているのに対し、河川法では数十年に一度の豪雨に耐えられる改修を進めている。

 このため、最近では一定の豪雨になっても河川がはんらんする事例は減少傾向にあるが、人口の集中する都市部で、下水道の排水管や排水ポンプ所が機能せずに下水道から雨水があふれ出る「都市型水害」が発生。とくに都心では地下鉄や地下室などの地下利用が進んでいることもあり、被害が深刻化している。

 こうしたことから国土交通省では、下水道と河川を一体化した総合整備計画を策定する必要があると判断。河川の地形や降雨量の傾向、下水道の排水能力などを調査したうえで、河川のしゅんせつや改修、下水道の排水ポンプ設備の能力設定などを組み合わせ、流域全体で一定の豪雨に耐えられる都市基盤を整備する方針を固めた。

 専門家で構成する研究会を近く発足し、今後の総合計画のあり方などについて検討を進める。特定の都市を対象にしたモデル事業を選定し、その成果をみながら各地域の都市ごとに総合計画の策定を求める方針。来年度から省内で本格的な調査・研究事業に乗り出したい考えだ。

(2001/07/15産経)


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