水の排水館②      


キッチン排水のお手入れの仕方
 排水設備と生活術
 生活排水は、排水管から浄化槽や下水に流れていきます。浄化槽での汚水の処理は、微生物を利用した生物処理で有機物の除去を行うものです。微生物に有害な物質が流入すれば処理機能が失われます。また、川や海の汚染の原因の一番は家庭のキッチンや洗濯機などから流れでる生活排水といわれています。
 楽しい生活が送れるように「飲む水」と同様に「流す水」にも関心をもち、一人一人が十分に注意して大切な下水道を使用するようにしましょう。

ポイント1・・・・汚水を排出しないちょっと一工夫を!
●ぼろ布で食器に付いた汚れを拭き取ってから洗う
不要になったTシャツなどの綿製品を小さく切って台所に置いておきましょう。油やマヨネーズ、ソース類がついた皿やフライパン、鍋などを拭くのに便利です。

●和布、タワシで食器や鍋を洗う
綿の太い糸を昔ながらの手法で織ったものを和布と言います。食器や鍋の汚れは、初めにタワシでさっと洗ってから、和布を使うと、洗剤を使わなくても落ちます。

●洗濯する時は、まず水洗いを
洗剤を入れて洗濯機を回す前に、水洗いをしてみましょう。水だけでも、汚れはけっこう落ちるものです。

ポイント2・・・・食用廃油や汚れのひどい排水等をそのまま流さない!
 排水管は、勾配がゆるく排水の流れが遅いので油脂やゼラチン質が管内で冷えて固まったり、排水中の有機物が腐敗し膜状に付着して、管の詰まりの原因となります。排水管や排水ますが詰まったり壊れたりすると、汚物があふれたり、悪臭がします。

●台所では、野菜くずやご飯の残り、てんぷら油やサラダ油などを流さないようにしましょう。また、ディスポーザー(食品くず処理装置)も管の詰まりの原因となります。

●水洗便所ではトイレットペーパー以外の紙、異物を流さないようにしましょう。

●ガソリン、シンナー、石油、アルコール類など揮発性の高い危険物は、爆発を起こす原因になりますので流さないようにしましょう。

ポイント3・・・・排水管や排水ますは定期的に点検し、洗浄、清掃する!
排水管や排水ますの漏水、排水不良がないかときどき確認し、問題があれば適切に改善しましょう。また、共同住宅などでは年に1回、業者に依頼し定期的に排水管の清掃を行いましょう。

ポイント4・・・・「排水トラップ」を管理する!
排水管には、途中に水が溜まる部分があります。これを「排水トラップ」といい、溜められている水を封水(ふうすい)といいます。封水がなくなると下水道管などから悪臭や害虫などが室内に侵入してきます。また、この部分にゴミ等が溜まると排水が流れにくくなります。
家庭内の主な排水トラップ

ワン(ベル)トラップ

pトラップ

Sトラップ
(斜線部分が封水)

■トラップは1カ月に1回程度掃除しましょう。

●ワン(ベル)トラップでは〜浴室、流し台、洗濯機パンなどのトラップの「わん」の外れや破損、また封水がなくなっていると、トラップの機能がなくなりますので、清掃時に確認しましょう。

【封水の確認方法】 目皿、カゴ、「わん」を外し確認します。見えにくい場合は、懐中電灯などで照らせば水面が光るので分かります。

●Sトラップでは〜トラップの下にバケツなどを置き、トラップ部分を取り外します(ネジ式になっているものが多い)。管内は、柄の曲がりやすいブラシでこすります。

■髪の毛、糸くず、ヘアピン、油ものなどは流さないようにしましょう。
排水菅のつまりや封水がなくなる原因になります。



キッチン 「シンクのお手入れ」
「排水トラップ」はいつも清潔に!
シンクの排水口は、お米の研ぎ汁・フライパンに残った油汚れ・鍋に残った煮汁・食後の食器洗いのための洗剤など、実に様々な汚水が流されます。そのため、ちょっと油断をすると、あっと言う間にカビがはえたり、悪臭の原因になるので、毎日、炊事の後には「排水トラップ」を洗うように心がけましょう。

※「封水」とは……
 ●下水からの虫や臭いの侵入を防ぐ役目を担当。
 ●長期の外出時などによりこの封水が蒸発すると、悪臭の原因になるので、ご注意を。
 エコロジーの観点からも油汚れや煮汁は新聞紙などで拭き取ってから、洗剤洗いをしたいもの。なかでも「配水管」が特に嫌いなのが油膜の付着。天ぷら油などの残油は絶対に流さないでください。
そんな心づかいをしても、汚水の出口である「排水トラップ」は汚れやすいものです。炊事の後には必ずお手入れを……。まずは、菊型目皿を外して「ゴミ受けカゴ」を取り出して洗いましょう。<写真1>
 次は、ゴミ受けカゴの下にあって、お椀を逆さまにしたような形の「椀型トラップ」の出番です。不快なヌルヌル汚れがひどくならないうちに、これも定期的に取り外して洗うようにしましょう。
洗剤をつけた歯ブラシなどで丁寧に洗った後は、ツメに引っかけてきちんと固定をしないと、ガタついたり、排水のゴボゴボ音の原因になるので、元に戻す際には注意するように心がけてください。<写真2>
 最後に、菊型目皿・ゴミ受けカゴ・椀形トラップなどの付属品すべてを外して、手が届く範囲で結構ですから、排水トラップの筒状の内部を入念に洗いましょう。また、排水の流れをスムーズにするためには、2週間に1回程度の割合で、排水パイプ専用洗剤で掃除をしたいものです。なお、排水パイプ専用洗剤を使う際には、事前に取扱説明書をよく読んで、注意事項を守ってお使いください。
<写真3>
 最以上で「排水トラップ」の掃除完了
掃除を先伸ばしにすると、ガンコな汚れになったり、悪臭で不快な思いをしたり、健康の大敵でもあるカビや雑菌の増殖にもつながります。面倒でも、日課にすれば、サッと簡単に洗えて、いつも快適なキッチン・ライフが楽しめます。<写真4>
(※なお、水道の「シングルレバーの水栓」がグラつく時は注意信号。水洩れにならないうちに早めに専門業者に連絡を。)



「天板」のお手入れ
 調理の下ごしらえをしたり、まな板を置いて野菜や肉類などを切ったりと、キッチンの「天板」は、水気や油分で汚れやすい場所です。炊事後にすぐにお湯で拭くのが、汚れが最も落ちやすく簡単な方法ですが、ガンコな汚れの場合は、天板に使われている素材によって、手入れ方法が異なります。
 そこで、代表的な「ステンレス」と「人造大理石」の手入れ方法を紹介します。
●「ステンレス」の場合
 炊事後すぐにお湯拭きをしても汚れがとれない時は、左右に走るステンレスの目に沿って台所用洗剤で拭けば、大半の汚れが落ちます。ただし、ステンレスは酸に弱いので、酢や塩などの調味料をこぼしたままで放置したり、酸性洗剤を使うと、サビの原因になるので気をつけてください。また、濡れた包丁・缶切り・空き缶などに付着したわずかなサビから「もらいサビ」が発生する場合があるので、サビや腐食したものを長時間置かないようにしたいものです。
 ところで、ステンレスがいくら丈夫だからと言っても、800度くらいの温度のやかんや鍋などを置くと、その部分だけ黄色に変色することがあるので、その時は、洗剤付きのスチールウールで、ステンレスの目に沿って軽くこすり取るようにしましょう。
●「人造大理石」の場合
 見た目にも美しく、耐水性・耐火性・耐摩耗性などに優れた人造大理石は、人気の高い天板素材のひとつです。しかも、普段の手入れも簡単で、お湯拭きや住居用洗剤を付けた布で拭くだけできれいになります。でも、ガンコな汚れの場合は、800番くらいの目の細かい耐水性のサンドペーパーで擦り落としてください。
 ただし、ビンなどの硬いものを落としたり、熱い鍋などを直接置いたり、漂白剤を使ったりすると、深い傷が残ったり、変色・変質の原因になり、簡単には直らないので、普段から注意するように心がけてください。


「三角コーナー」のお手入れ
 どこのご家庭にもある三角コーナーは、便利な反面、生ゴミによる悪臭の発生源でもあります。生ゴミをこまめに捨て、汚れた三角コーナーを洗った後には、仕上げに、防カビ・消臭スプレーや消毒用アルコールなどを吹きかけましょう。
 なお、シュッと数回吹きかけるだけですが、念のために、換気と火気への注意を忘れないようにしてください。


浴室の排水口にいつも水がたまっていて、におうような気がします・・・。
 排水口で水がたまっている部分は、トラップといいます。たまった水は封水といって、排水管から直接臭気が入らないための大切な役割を果たしています。
  排水口は、どんなものにも必ずトラップが付いています。いろいろな形があり、複雑なしくみになっています。
 この部分にはどうしてもせっけんカスや髪の毛などが流れ込んで、汚れがたまりがちです。臭気を防止するためにも、目皿と封水筒を外し、トラップラウンジの溝はまめに掃除して汚れを取り除いておく必要があります。
  トラップにたまった封水は、排水管内から来る虫や臭気をシャットアウトしています。時々きれいな水を流して封水も入れ替えましょう。

■排水はいったんトラップラウンジへためて、流すしくみになっています


排水が悪い時には
●A1 浴室の洗い場の排水が悪い
 排水口の目皿を外し、中のトラップ(碗型や筒になっている)も外して髪の毛等を取り除く。
A2 洗濯機置場の排水が悪い

 洗濯機の排水ホースを外し、目皿も外す。次に封水筒を回して引き抜き、糸クズ等を取り除く。



水道の水漏れ修理や台所のシンク回りの修理について
水道の、いわゆる蛇口とハンドル周辺からの水漏れは、その大部分がパッキンの摩耗か、または水栓金具のどれかの緩みが原因。ほとんどの場合、パッキンを取り替えるか、水栓金具を締め直すかによって直る。
台所のシンク回りも、水漏れ修理の基本は同じで、その原因のひとつは、シンク下の流しトラップと排水ホースの接続部から水漏れする場合。これは接続部をつないでいるジョイントナットが緩んでいる場合がほとんどなので、プライヤー等で締め直す。それでも水漏れする場合は、ジョイントナットを外し、ジョイント部分にあるパッキンを取り替え、もう一度締め直す。
次に、シンクと流しトラップの接着面から水漏れする場合。この場合は、流しトラップ固定用のナットが緩んでいる場合があるので、締め直してみる。それでも水漏れする場合は、そのナットを緩めて、流しトラップを外し、シンクとの間にある排水パッキンを取り替えるかまたは接着面にシール材を注入するかして、流しトラップを元どおり取り付ける。
これらの原因以外に水漏れがする場合は、流しトラップ周辺のステンレスが錆びて穴が空いているなどの原因も考えられるので、あとは専門の業者に任せた方が無難だろう。
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