水の給水館③ 

「ない。出ない。」 既往の主な渇水 深刻な水不足 水不足が年中行事に 北京市:節水1号令を発布 節水実験1人1日100L 水を備蓄 飲料水を海上輸送 「地下水税」の導入検討・・熊本県 高知県が全国初の「水源税」導入へ

「ない。出ない。」   ない。川やダム湖に水が・・・ない。
 私たちが毎日使用する大部分は、川の水に頼っていますが、川の水はいつも一定に流れているわけではなく、梅雨や台風などの季節には増え、冬季などには少なくなる傾向です。
 そして雨や雪の量が極端に少なくなると、深刻な水不足により暮らしが大きなダメージを受けることにもなりかねません。
常に渇水の危機にある首都圏
 人口や都市機能の集中した首都圏では、2〜3年に一度の割合で渇水騒ぎが起きています。
 最大50%の給水制限が実施された昭和39年をはじめ、最近では48年、53年、62年、そして平成2年にもかなり深刻な渇水でした。
出ない。水道をひねっても水が・・・出ない。

 昭和40年以降、人口が集中し都市化が著しくなるにつれ、渇水被害が毎年のようにくり返されています。とくに東京を中心とした首都圏ではそれが顕著になっています。

昭和39年東京
 小河内ダムに依存していた東京の水は、昭和36年から慢性的な渇水が続いていました。
 そして東京オリンピックが開催される昭和39年の夏には、小河内ダムが底をつき、給水制限率が50%に達し、炊事の水さえも確保できないほどの異常な状態に陥りました。
昭和53年福岡
 福岡では、昭和53年5月から翌年の3月まで287日間の長期にわたって渇水が続きました。
 1日5時間給水という一番厳しい時期には、高台の住宅地など4万5千世帯で一滴の水も出ない状況となり、他の土地に一時期移転する人も多く「渇水疎開」という言葉も生まれました。
それじゃあ渇水になるとどう困るの!?
 渇水になるとよく“給水制限”ということばを耳にしませんか?
 この時、水道水を送り出す圧力を減らす減圧給水、一定時間だけ給水を行う時間給水などが実施され、下のような影響があらわれる場合があります。
給水制限20%
・給水時間帯意外は断水。 赤い水も出るようになる。
・高台に住む家庭では水の出が悪くなる。
・プール、公園の給水停止。
・瞬間湯沸器の着火が不良
・地盤沈下の増大。

給水制限30%
・水洗トイレ、手洗栓の一部閉鎖。
・家事をする時間が大幅に制限される。
・全体に水の出が悪くなり、断水する地域が出る。
・消防活動への影響。

渇水「アメリカ」の事例
 アメリカ・カリフォルニア州では、1991年現在5年越しの渇水が続き次のような影響が出ています。
・渇水時に水道料金を引き上げて、節水率25%を目標に使用水量を減らしている。
・果物・野菜の主要産地であり、レタス、ぶどう、レモンなどは全米の80%以上を生産しているところから水不足による被害で値上がりが心配されている。
・渇水時、庭の散水を禁止し、違反すると罰金100ドルを課している。

 渇水が深刻化し、給水がさらに制限された場合
   私たちの暮らしばかりか、正常な社会活動自体が脅かされます。
   東京(昭和39年)福岡(昭和53年)の場合などは、その顕著な例といえ、大きな影響をこうむりました。
東京や福岡で実際にみられた事例
 東京は15〜50%、福岡は37〜47%の給水制限が実施された。
・家庭ではパン主体の食事に。入浴、洗濯に制限。
・給水車の出動。
・病院への影響(手術ができない)
・水のある他の地域への疎開。
・日本赤十字によるミネラルウォーターの空輸。
・共用栓の設置。
・洗濯物を小包で親戚に輸送。
既往の主な渇水 
発生年
都市名(地域名)
取水制限期間等
最大取水制限率等
主な
河川名
上水 工水 農水
昭和39年 東京都 7/10〜10/1  84日間 -% −% −% 多摩川
昭和42年 北九州 6/19〜10/26  130日間 50% 60% −% 遠賀川
筑紫野市 9/5〜9/26  22日間 4h給水 −% −% 筑後川
長崎市 9/25〜12/5  72日間 2日間で
6h給水
−% −% 鹿尾川
昭和47年 東京都 6/24〜7/15  22日間 15% 15% −% 利根川
昭和48年 東京都 8/16〜9/6  22日間 20% 20% −% 利根川
東海市他(愛知用水地域) 3/26〜4/16
6/16〜9/10  109日間
20% 30% 30% 木曽川
蒲郡市他(愛知用水地域) 7/18〜8/27  41日間 10% 20% 50% 豊川
大阪市、神戸市他 7/31〜11/5  98日間 10% 15% −% 淀川
松江市 6/20〜11/1  135日間 22h断水 供給停止 −% 飯梨川
高松市他 7/13〜9/14  64日間 64% −% −% 香東川
大竹市他 7/27〜9/13  49日間 5% 40% −% 小瀬川
那覇市他 11/21〜翌9/24  239日間
隔日24h給水
−% 福地川
昭和50年 福岡市 10/17〜翌1/30  106日間 20% 20% −% 筑後川
昭和52年 東海市他(愛知用水地域) 7/19〜8/18 
11/5〜11/18  45日間
10% 20% 20% 木曽川
蒲郡市他(豊川用水地域) 9/9〜翌7/12  307日間 15% 15% 40% 豊川
大阪市、神戸市他 8/26〜翌1/7  135日間 10% 15% −% 淀川
那覇市他 4/27〜翌4/7  176日間
隔日24h給水
−% 福地川
昭和53年 東京都他 8/10〜9/5
9/10〜9/12  28日間
20% 20% 20% 利根川
東海市他(愛知用水地域) 6/6〜6/22
9/1〜9/18  35日間
10% 20% 15% 木曽川
蒲郡市他(豊川用水地域) 9/1〜S56.9/8  1,104日間 15% 15% 40% 豊川
大阪市、神戸市他 9/1〜翌2/8  161日間 10% 15% −% 淀川
福岡市 5/20〜翌3/24  287日間 70% 70% 100% 筑後川
北九州市 6/8〜12/11  173日間 20% 28% −% 遠賀川
昭和54年 東京都他 7/9〜7/17,7/21〜7/25,
7/31〜8/4,8/11〜8/18 27日間
10% 10% 10% 利根川
昭和55年 東京都他 7/5〜7/8  4日間 10% 10% 10% 利根川
昭和56年 那覇市 7/10〜翌6/6  326日間
隔日20h給水
−% 福地川
昭和57年 東京都他 7/20〜7/26  7日間 10% 10% 10% 利根川
東海市他(愛知用水地域) 7/6〜7/31  26日間 20% 40% 40% 木曽川
昭和58年 高松市他 8/5〜9/28  55日間 徳島32%
香川40%
32%
40%
32%
40%
吉野川
昭和59年 所沢市 5/15〜6/20
8/20〜9/16  65日間
100% −% −% 荒川
東海市(愛知用水地域) 2/21〜4/2,6/1〜6/27,
8/13〜翌3/13  282日間
15% 30% 30% 木曽川
蒲郡市他(豊川用水地域) 1/24〜6/30,8/11〜8/22,
10/12〜翌3/13  324日間
22% 27% 44% 豊川
大阪市、神戸市他 10/8〜翌3/12  156日間 20% 22% −% 淀川
高松市他 10/30〜翌3/12  102日間 徳島22%
香川30%
22%
30%
−%
30%
吉野川
福岡市 8/13〜9/30  49日間 35% 35% 50% 筑後川
平成6年 東海市他(愛知用水地域) 6/1〜11/13  166日間 35% 65% 65% 木曽川
蒲郡市他(豊川用水地域) 6/16〜10/24  131日間 35% 60% 60% 豊川
豊田市他 5/30〜9/19  113日間 33% 65% 65% 矢作川
京都市、大阪市、神戸市他 8/22〜10/4  44日間 20% 20% 20% 淀川
広島市他 7/19〜10/24  98日間 27% 60% 60% 太田川
福山市他 7/7〜翌5/2  300日間 30% 68% 90% 芦田川
倉敷市他 7/26〜11/30  138日間 50% 70% 90% 高梁川
高松市他 6/29〜8/19
8/31〜11/14  128日間
徳島26%
香川75%
26%
75%
26%
75%
吉野川
松山市 6/25〜翌5/2  312日間 42% −% 67% 重信川
福岡市他 7/7〜翌6/1  330日間 54% 82% 79% 筑後川
平成7年 蒲郡市他(豊川用水地域) 2/10〜4/24  74日間
8/11〜翌4/1  235日間
20%
30%
40%
50%
40%
50%
豊川
名古屋市他(木曽川用水地域) 8/25〜翌3/18  207日間 25% 50% 50% 木曽川
東海市(愛知用水地域) 8/22〜翌3/18  210日間 22% 44% 44% 木曽川
豊田市他 8/29〜9/18  21日間 15% 30% 30% 矢作川
浜松市他 8/30〜9/18  20日間 5% 10% 10% 天竜川
福山市他 8/11〜翌3/19  222日間 10% 60% 50% 芦田川
高松市他 3/10〜4/28  50日間
9/6〜10/23  48日間
12/8〜翌5/21  166日間
徳島26%
香川50%
26%
50%
26%
50%
吉野川
松山市他、北条市 9/1〜4/26  239日間 17% −% 78% 重信川
平成8年 東京都他 1/12〜3/27  76日間
8/16〜9/25  41日間
10%
30%
10%
30%
10%
30%
利根川
※:利根川水系の渡良瀬川では
上水40%、農水60%を実施
横浜市 2/26〜4/24  59日間
7/5〜7/23  19日間
10%
10%
10%
10%
10%
10%
相模川
蒲郡市他(豊川用水地域) 5/8〜7/9  63日間
8/9〜12/5  119日間
25%
15%
45%
30%
45%
30%
豊川
名古屋市他(木曽川用水地域) 5/31〜6/26  27日間
8/14〜8/29  16日間
10%
5%
15%
10%
15%
10%
木曽川
東海市他(愛知用水地域) 5/31〜6/25  26日間
8/14〜8/16  3日間
20%
10%
20%
10%
20%
10%
木曽川
豊田市他 5/27〜6/28  33日間
8/15〜8/16  2日間
20% 40%
30%
50%
20%
矢作川
浜松市他 6/7〜6/25  19日間 10% 20% 20% 天竜川
福山市他 8/3〜9/10  39日間 5% 50% 50% 芦田川
高松市他 9/30〜12/5  67日間 徳島20%
香川20%
20%
20%
20%
20%
吉野川
平成9年 東京都他 2/1〜3/25  53日間 10% 10% 10% 利根川
蒲郡市他(豊川用水地域) 3/28〜5/17  61日間 5% 10% 10% 豊川
東海市他(愛知用水地域) 6/24〜6/30  7日間 5% 10% 10% 木曽川
平成10年 蒲郡市他(豊川用水地域) 8/21〜8/31  11日間 5% 10% 10% 豊川
高松市他 8/30〜9/21  21日間
(一時解除2日間)
徳島24.7%
香川50%
24.7%
50%
24.7%
50%
吉野川
松山市 9/4〜10/6  32日間 5% 50% 重信川
高知市他 9/10〜9/22  13日間 51.6% 物部川
9/4〜9/21  18日間 60% 60% 仁淀川
阿南市 9/6〜9/19  13日間 20% 20% 那賀川
伊予三島市 9/17〜9/22  6日間 0% 26.7% 0% 銅山川
中津市他 9/8〜9/29  22日間 30% 40% 40% 山国川
平成11年 島田市他 2/2〜3/16 20% 30% 30% 大井川
東海市他(愛知用水地域) 6/17〜6/24 5% 10% 10% 木曽川
高松市他 2/7〜4/12  43日間
(一時解除21日間)
徳島20%
香川20%
20%
20%
20%
20%
吉野川
伊予三島市 1/27〜3/26  58日間 3.3% 46.9% 0% 銅山川
阿南市 1/16〜3/15  58日間 0% 30% 0% 那賀川
高知市他 12/18〜3/15  88日間 57% 87% 67% 鏡川
平成12年 島田市他 3/18〜3/30 15% 20% 20% 大井川
阿南市 2/25〜3/23  28日間 0% 20% 0% 那賀川
(注)平成6年の高知市他、福岡市他の取水制限率は、同時に上下、工水、農水が最大になったものではなく、期間中それぞれ最大の取水制限率をとったものを掲載している。



深刻な水不足     
 最近、旱魃(かんばつ)や異常渇水のニュースがよく聞かれます。アフリカのサヘル地方では30年も雨期に雨が降らず、最悪の年には20万人以上が餓死しました。日本でも1956年以降の20年間には10年に1回発生した規模の渇水が、最近の20年間では4年に1回発生しています。
 しかし水不足の大きな原因は、旱魃などの自然現象ではなく、人間の水消費量の急増なのです。
 1950年以来、世界の年間水使用量は3倍以上に(ひとり当たりの水使用量は1.5倍)増えています。農業、産業、都市での際限ない水需要の増加によって、地下水位が低下し、湖沼が縮小し、湿地が姿を消しつつあります。
 さらに生活水準の向上に伴って、世界の水需要が人口増加率を上回るペースで増加しており、水不足に拍車をかけています。

   破綻は間近
 水は再生可能な資源ですが、別の見方をすれば、有限で偏在している(有る所と無い所の差が激しい)資源です。有限であるということは、人口が増加すると、ひとり当たりの供給量が減少することになります。実際に、1970年以来、世界人口が18億人増加したため、世界のひとり当たりの水供給量が3割以上減少しました。
 現在、26カ国(合計人口2億3200万人)が極端な水不足に悩んでおり、水逼迫国と呼ばれています。また80カ国で水の供給が不十分で、世界の人口の約40パーセントが日々の水の確保に苦しんでいます。
 多くの水逼迫国があるアフリカでは、深刻な水不足に見舞われる人口が2010年までに4億人に達すると予想されています。これは予想されているアフリカ大陸の総人口の37パーセントに相当します。
 また、アフリカ諸国をはじめ、中近東、中国、中央アジアなどでは、むこう25年間で人口が倍増するため、水の供給が困難になるのは避けられないとみられています。
 国連人間居住委員会のワリ・ヌダウ人間居住センター事務局長は、「今世紀の戦争は主に石油が原因だったが、21世紀の政治的、社会的戦いは水をめぐるものになるだろう」と述べています。

このままでは水資源は30年で枯渇する
 現在、至る所で地下水位が低下してきています。雨や雪解けの水が自然に地下水となる量よりも、くみ上げる量が多くなったことが原因です。このままでは、やがて枯渇してしまうことは必至の状況です。
 今日、中国の一部地域、インド、メキシコ、タイ、アメリカ合衆国西部、北アフリカ、中東で地下水の過剰なくみ上げが目立っています。
 アメリカのスタンフォード大学によると、人間が水資源を今のペースで使っていると、30年後には枯渇し、世界全体の生態系が重大な危機に直面する、ということです。
 これまで通りの経済成長至上主義と発展途上国の急激な人口爆発(これも先進国の経済至上主義の影響が大)が続けば、枯渇の時期はもっと速まることでしょう。いえ、枯渇する前に、放射能や有害物質で汚染されて使用不能になるかもしれません。


水不足年中行事に  

 水は私たちの生活に不可欠な資源であり、世界的には衛生的な飲料水が入手できていない人口は総人口の40%と見られており、現在においても世界の基本的な課題とされている。

 わが国は年降水量が世界平均の973mmに達し1.749mmと恵まれていることもあり、水不足で苦しんでいる地域・時期を除くと、水を資源としてその使い方を考える機会は少ないようにに思われる。

 しかし、人口一人当たりの年降水総量でみると、世界平均の26.9m3に対し5.5m3と5分の1程度であり、その上、急峻な国土条件を考えると、水資源についても厳しい状況にあるといえる。
生活水準の向上、生産活動の拡大を反映して、水需要は増加しているが、水資源開発施設の整備が追いつかないことと、近年降水量が少ないという気象状況もあり、水需給の逼迫している地域を中心に水不足が頻繁に生じている。
平成6年には、全国的に渇水であり、水道の減圧給水あるいは断水などの影響を受けた人は全国で1、583万人に達したと報告されている。
 水資源開発のためダム計画等については議論の多いところである。生活や産業を支える水を有効活用を前提として確保することは社会基盤の整備として必要であるが、有効活用の徹底と、渇水時の対応策について、なお検討すべき課題は多く、私たちの水の使い方にも改善の余地がありそうである。
 生活用水で一度使った水を雑用水として再利用する施設は平成5年時点で全国で1,963施設整備され、使用水量は22.7万m3、生活用水の0.7%を占めるが、今後さらに普及することが期待されている。



北京市節水1号令を発布、罰金最高額1万元 

   このほど、市政府は「節水に関する若干の規定」を公布した。規定では、北京市は明日から旧式の蛇口と9リットル以上のトイレ用タンクの販売を厳禁し、違反者には1件につき100元の罰金が課される。このほか、都市の緑化には、乾燥に耐えうる樹木と草花を選ぶべきとし、新しい緑地は路面より低い位置に設け、水の再利用を実施している企業に対しては汚水処理費を減免するとしている。大量の水を使用し緑地の灌漑を行なっている団体には罰金を課す。これは北京市で初めて発布された政府令である。

  この規定は、北京市の洗車や公衆浴場などの業界、飲料メーカー、公園や緑化の灌漑形式に対し初めて節水を要求したもので、異業種の会社や組織にそれぞれ異なる水道料金の支払いを請求している。

  洗車業界で、未だ節水設備を利用していない、或いは節水施策を実行していない業者には、1万元以下の罰金が課される。水の循環設備を設置していない業者は、2万元以下の罰金となり、供水部門に供水の停止が通知される。

  公衆浴場業界で、節水施策を講じていない、或いは節水施策を実行していない業者は、1万元以下の罰金となる。

 人民日報 「人民網」2000年12月19日


そこで...やってみました!
  
節水実験 1人1日100L  
  通常の使用量の約半分、1人1日100Lの水で家庭の暮らしが維持できるのかどうか?生活を強いられた場合、どんな不便を感じるか?を調査し、今後の渇水対策に役立てるため、一般家庭68世帯の協力を得て1週間の節水実験を行いました。
期待以上の節水結果
 節水実験を通じて、各ご家庭では様々な苦労を経験されたようです。
 アンケートにより実験の内容等を調査した結果次のようなことが分かりました。
  また、この節水によって各用途とも家事に要する時間が増え、特に炊事、洗たくについては平常時より20〜30分も労働時間が多くなりました。
  これは、水を使わずに汚れを落とすために、紙や布などで食器を拭いたり、風呂の水を再利用するために、浴槽から洗たく機や水洗トイレに水をくんだりする手間が必要になったからです。さらに、節水のために、炊事や洗たくに50分以上余計な時間がかかったという人が1割近くもいました。
さて参加者の感想は?
 実験後のみなさんからは、さまざまな感想が寄せられましたが、やはり、暮らしと水との関わりについて認識を新たにできた、という声が多く聞かれました。

  また実験中に特につらかったこと、困ったこととして次のような感想があげられます。


 「水を備蓄」 を大切に  やっぱり、みんなで考えたい・・・

どうして渇水が起こるの?
 世界的にみてもかなり多い日本の降水量。

 私たちの暮らす日本はアジアモンスーン地帯に位置し、年平均降水量は約1,750mmにのぼります。
 これは世界平均の約970mmに対し約2倍とたいへん多くなっています。
でも、けっして多くはない 私たちの使える水。

 ところがこれに国土面積を掛けた降水の総容量を求めて人口で割ると、人口1人当たりの年平均降水総量としては約5,500m3となります。
 この数字は、世界平均均27,000の5分の1程度で必ずしも豊富とは言えません。
 利根川及び荒川に依存する首都圏では、1,360mmとやや雨が少ない上に、そこに多くの人々が生活するため、1人当たりの年平均降水総量は約1,100m3となり、世界平均の25分1程度ととても厳しい降水状況の中におかれているのがわかります。

渇水を乗り越えるために
「水の備蓄」はどうなっているの?
 水のある豊かな暮らしを実現させるためには、水を貯えることが大切です。
 そして、川の流量が豊かな時には取水できても、水量が少ない時には取水できない、といった不安定な状況をなくすことです。
 こうした状況を解消するためには、渇水でも困らないだけのダムや堰などの水資源施設の整備も必要です。

最も有効なのは今のところやはり節水。
  現在ダムなどの水資源施設は、水源地域の人々の協力をもとに、着実に整備されていますが、需要の急速な増加に村応することが難しいのが現状です。
 したがって、当面は渇水時において、限られた水源でやりくりしていかなければならず、節水の実施が最も有効な手段です。

理想はうるおいのある豊かな暮らし。
 できれば節水はしたくないですね。
 そのためには水を浪費することなく、特に渇水時には水を有効に使うため、いろいろな工夫をこらすとともに、水資源施設の整備、水利用の合理化など渇水に強い水利用社会をつくる必要があります。
 渇水の心配のない暮らし、それを1日も早く実現することこそがすべてのみなさんの願いといえます。

   水の利用と環境

 水は太陽の熱をうけて海などから蒸発し、雨や雪となって地表に降り、ふたたび河川などとなって海へ戻るという循環を絶えず繰り返しています。
 そして川の水はかんがい用水、工業や生活用水に使われたり、公園の池や噴水などで私たちに潤いを与えてくれます。
 また、川の流れは魚などの自然の生態系を形づくり、潤いのある河川景観をかもしだしています。
 この貴重な水は、いつも同じ状態で循環しているわけではなく地域や季節によってかたよりがあります。
 このため、ダムに水をたくわえ、川の水が少なくなった時にこの水を使います。
 私たちはこうした水により豊かな生活を営んでおり、生活する上で欠かせない水資源の確保について心がけ、水を不便なしに次世代に引き継いでいく責任があります。



飲料水を海上輸送 
 日本郵船は、飲料水の国際海上輸送事業に進出する。ノルウェーの水輸送会社、ノルディック・ウォーター・サプライ社(オスロ)の株式の34%を取得、経営権を獲得した。21世紀は世界的に深刻な水不足に見舞われると判断しており、飲料水の国際海上輸送事業を展開することにした。
 21世紀は、地球温暖化と人口爆発でインド、中国、アフリカ、米国南部、英国を中心に世界的な水不足が懸念されている。解消策として現在、淡水化プラントの建設計画が目白押しだが、化石燃料を使うため将来の環境面からの制約が指摘されている。タンカーによる輸送はコストが高くつくとの難点がある。他の輸送手段よりコストが安いバッグによる輸送に需要が集中するとして、郵船はノルディック社の経営権を取得した。郵船は、インド、中国、米国などへ積極的に売り込んでいく。
 (ノルディック社は1991年に大容量バッグによる水輸送を目的に設立されたベンチャー企業。特殊なコーティングを施したポリエステルファブリックと呼ばれる特殊繊維型の大型バッグは同社の特許製品。)平成12年5月25日 日本経済新聞



「地下水税」の導入検討 熊本県、2001年にも具体化へ
 全国有数の豊富な地下水で知られる熊本県は、減少傾向にある地下水を守るため法定外目的税を導入する案の検討を始めた。来春新たに策定する県の環境基本計画に盛り込まれれば、課税対象や税率などの具体的な検討に入る。法定外目的税は、今年4月に施行された地方分権推進一括法で創設され、神奈川県などが環境保護目的の税の導入を検討しているが、対象を地下水に絞った目的税は全国初という。同県は熊本市や阿蘇山のカルデラ内に豊富な地下水源を持ち、水道水に地下水が占める割合は78%と全国1位を誇っている。しかし、ここ数年はわき水やくみ上げなどによる流出量が地下に浸透する水の量を上回り、地下水は減少傾向にあるという。(共同通信 2000.12.25)



高知県が全国初の「水源税」導入へ 2002年度目標

 高知県の橋本大二郎知事は、水源となる地域の森林整備費を広く県民に負担してもらう、いわゆる「水源税」を早ければ2002年度から導入したい、との方針を1日付の年頭所感で表明した。各地の自治体が自主財源の確保に向けて模索している新しい目的税のひとつで、「環境についての県民意識も喚起できる」としている。具体的な課税方法などは4月以降に決めるが、実現すれば全国で初めてという。

 同県が昨夏、県民720人を対象に実施したアンケートで、「水源税」への賛成が74%を占めた。1年に支払ってもよい金額は、「1000円程度」39%▽「500円程度」16%▽「3000円以上」11%――。橋本知事は「導入には県民への徹底的な説明が必要だが、ある程度理解を得られるのではないか」という。

 類似の制度として、神奈川県、愛知県豊田市、福岡市などが、水源保全基金などの名目で水道水1立方メートルあたり約1円を利用者から徴収しているが、税方式ではない。(朝日新聞 2001,1.1)


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