水の漢字館②(漢字に見る「水」の文化)   

    さんずい漢字の解字解体辞典(330字) その2

【清】
 会意兼形声。青セイは「生(芽ばえ)+井戸の中に清水のある姿」からなり、きよくすんだことを示す。清は「水+音符青」で、きよらかにすんだ水のこと。▽呉音のショウは、六根清浄ショウジョウや清水ショウズのような特殊な場合にしか用いない。
【淅】
 会意兼形声。「水+音符析(分析の析、ばらばらにする)」。水を流して、ばらばらに離して、さらさらと洗うこと。
【淙】
 会意兼形声。「水+音符宗ソウ(縦につらなる)」。
【淡】
 形声。右側の炎はもと、火を三つあわせた会意文字。淡は、水にそれを単なる音符としてそえた字で、火が盛んにもえるという原義には関係がない。澹と同じく、静かに安定して、刺激のないこと。
【添】
 会意兼形声。忝テンは「心+音符天」の形声文字。天で忝の音をあらわしたのは、厳密でない。忝は紙のように薄い心のことで、平気ではいられない「かたじけない」気持ちのこと。薄く平らな意を含む。添は「水+音符忝」で、薄く紙をはりつけるように、上に水の層を加えること。
【淀】
 会意兼形声。「水+音符定(とまる、たまる)」。
【淘】
 会意兼形声。右側の字(音トウ)は「勹(つつむ)+缶(ほとぎ、つぼ型の土器)」の会意文字で、土器をつくるとき、外わくで包んで、その中でねん土をこねること。搗トウ(まんべんなくこねる)と同系のことばで、容器の中に手を入れ、すくうようにこねまわすこと。淘はそれを音符とし、水を加えた字で、水にはいった容器に手を入れ、こねまわして中の米や砂金だけをすくいあげること。掏(こねる、すくい出
す)と最も近い。
【涼】
 会意。京は、高い丘の上に家のあるさまを描いた象形文字。集落のある高い丘のことで岡コウと同系のことば。涼は「水+京」で、風通しのよい丘の上のように、水がひんやりしていること。
【淪】
 会意兼形声。侖リンは「集めるしるし+冊(並べた竹札)」の会意文字で、短冊タンザクをきちんと並べること。淪は「水+音符侖」で、きちんと並んだ波紋。
【淋】
 会意兼形声。林は、木立の続くはやし。絶え間なく続く意を含む。淋は「水+音符林」で、あとからあとから絶えずに汁がしたたること
【淮】
 会意兼形声。「水+音符隹」。隹の原字はタイという音をあらわすとともに、塊の原字でもあって、ク イということばをあらわす。後者のク イ系統のことばは、堆積やかたまり、つまり、「まるい、めぐる、とり巻く」などの意味をあらわす。たとえば、帷(まわりをとり巻く幕) 匯(うずまき) 塊(大きい土のかたまり)などである。淮はこの系統のことばで、華南の地を大きくとりまくように流れる河のこ
と。「釈名」に「淮は囲なり」とある
【渥】
 
会意兼形声。「水+音符屋(上からかぶさる)」。水をぴったりかこんで、外にもらさぬこと。その水は深くあつくしみわたるから、うるおう意となる。
【渭】
 形声。「水+音符胃」。
【湮】
 会意兼形声。右側の字は堙・煙などの原字で、かくす、見えなくするの意を含む。湮はそれを音符とし、水を加えたもの。
【湲】
 形声。「水+音符爰エン」。
【温】
 会意兼形声。右側は、ふたをうつぶせて皿の中に物を入れたさまを描いた象形文字(音オン・ウン)。熱が発散せぬよう、中に熱気をこもらせること。温はそれを音符とし、水を加えた字で、水気が中にこもって、むっとあたたかいこと。
【渦】
 会意兼形声。「水+音符咼カ」。咼は、まるい穴にはまる関節骨のことで、まるい意味を含む。渦は、まるい水のうずまき。
【渙】
 会意兼形声。「水+音符奐(ゆとりをあけて出る)」。
【渠】
 会意兼形声。「水+木+音符巨(両側の間があいている)」。
【減】
 会意兼形声。咸カンとは「戌(ほこをもつ)+口」の会意文字で、人々の口を封じこめること。緘カン(封じこめる)の原字。減は「水+音符咸」で、水源を押さえ封じて、流れの量をへらすこと。のちもっぱら減少の意に用いる。
【湖】
 会意兼形声。「水+音符胡(牛のあごをおおってたれる皮)」。上からカバーするという基本義を含む。湖は、大地をカバーする大きな水、つまり、湖水のこと。
【港】
 会意兼形声。巷は「人の伏せた字+音符共」の会意兼形声文字で、村里の通路。工(つらぬく) 攻(つらぬく) 孔コウ(つきぬいたあな)などと同系で、つきぬけて通る意を含む。港は「水+音符巷」で、水上の通路のこと。のち舟の出入りする水路のあるみなとの意となった。
【渾】
 会意兼形声。軍は「勹(とりかこむ)+車」の会意文字で、戦車を円陣を成すように並べてまるくまとめること。郡や群と同系で、全体がまとまっている意を含む。渾は「水+音符軍」で、全体がまるくまとまり、とけあっていること。混ときわめて近い。
【渣】
 会意兼形声。「水+音符査(ぎざぎざした)」で、ぎざぎざとつかえて残る水中のかす
【滋】
 会意兼形声。「水+音符茲」。茲ジは「説文解字」に「艸木の多益なり。艸+音符絲の略体」とある。転じて、「ますます」の意の副詞となる。滋は、もと川の名であるが、茲ジが此(これ)に当てられるため、ふつうは茲ジの原意をあらわして、「ますます」「ふえる」などの意に用いる。
【湿】
 会意。もとの字は「水+絲+土」で、生糸をやわらかくするため、深く水面下に沈めてぬらすさまをあらわす。濕は、その上に日印を加え、下の土印をはぶいた字。
【湫】
 会意兼形声。「水+音符秋(ちぢこまる)」。
【湘】
 形声。「水+音符相」。
【渫】
 形声。右側の字が音をあらわす。泄セツが本字で、だらだらと横に押して出すこと。転じて、さらえること。
【湊】
 会意兼形声。奏ソウは「お供えの獣の体+両手」の会意文字で、供え物をあつめて神前に向けて進めるさま。ある方向にあつまる意を含む。湊は「水+音符奏」で、水路がそこへ向けてあつまるみなと。
【測】
 会意兼形声。則は「鼎(かなえ)+刀」からなり、食器のそばにナイフをくっつけて置いたさま。側と同系で、そばにくっつける意を含む。また、そのそばにくっついて離れえない基準や法則の意となる。測は「水+音符則」で、物さしや基準をそばにつけて、水の深さをはかること。
【湛】
 会意兼形声。「水+音符甚(ふか入り)」。水がふかくたまることや、ものが水中ふかく沈むこと。
【湍】
 会意兼形声。「水+音符端タン(短いきれはし)の略体」。一段ずつ短くくびれる水の流れのこと。
【渟】
 会意兼形声。「水+音符亭(じっとひと所にたつあずまや)」。
【渡】
 会意兼形声。度ドは「又(手)+音符庶の略体」の形声文字で、手尺でひと手・ふた手と―・―・型にわたって長さをはかること。渡は「水+音符度」で、川をひと足ずつ―・―・型にわたること。
【湯】
 会意兼形声。昜ヨウは「日+T印(上へとあがる)」の会意文字で、太陽が勢いよくあがること。陽や揚(あがる)の原字。湯は「水+音符昜」で、ゆが勢いよく蒸気をあげてわきたつことを示す。
【湃】
 会意兼形声。「水+音符拜(左右に開く)」。
【渺】
 会意兼形声。「水+音符眇(見えにくい)」。
【湎】
 会意兼形声。「水+音符面(とりまく、いちめんにおおう)」。
【渤】
 会意兼形声。「水+音符勃(ふき出る、わきたつ)」。
【満】
 会意兼形声。滿の右側の字(音マン)は、蔓マン(おおう)と同系のことばで、全体をいっぱいにおおうこと。滿はそれを音符とし、水を加えた字で、わくいっぱいに水をみたして、その面をおおうこと。
【渝】
 
会意兼形声。「水+音符兪(中身がぬける、くりぬく)」。
【游】
 会意兼形声。原字に二つあり、一つは「 +子」の会意文字で、水上に子どもの浮かぶさま。もう一つはその略体を音符とし、旗のかたちを加えた字で、吹き流しの旗がゆらゆらと浮くようにゆれること。游はそれを音符とし、水を加えたもの。水上にゆらゆらと浮かび固定せぬことで、ひと所に定着しない意を含む。遊と通じて用いる。
【湧】
 《音読み》 ユウ /ヨウ 〈y ng〉
《訓読み》 わく
 会意兼形声。「水+音符勇(下から上へとびあがる)」。もと涌と書いた。涌は、つき通して水がわき出ること。
【湾】
 会意兼形声。「水+音符彎ワン(弓なりにまるくまがる)」。
【溢】
 《音読み》 イツ /イチ 〈y 〉
《訓読み》 あふれる(あふる)/みちる(みつ)
 会意兼形声。「水+音符益(いっぱい)」。
【滑】
 会意兼形声。骨の月を除いた部分は、骨の端が関節の穴にはまりこんで、骨が自在に動くさま。骨はそれに肉づきを加え、自在に動く関節骨を示す。滑は「水+音符骨」で、水気があってなめらかに自由にすべること。
【漢】
 会意兼形声。右側の字(音カン)、動物のあぶらを火でもやすさま。かわくことを示す。漢はそれを音符とし、水を加えた字で、元来、水のない銀河をいったが、古くから、湖北省漢水の名となった。
【源】
 会意兼形声。泉は、いずみから水の流れ出るさまを描いた象形文字原は「厂(がけ)+泉」の会意文字で、がけ下の泉から水の流れ出るさま。水源のこと。源は「水+音符原」で、原のもとの意味をあらわす。まるい穴がほげて水のうずまく水源で、まるくうずまいてまわる意を含む。
【溘】
 会意兼形声。「水+音符盍コウ(ぱっとふたをかぶせる)」。ぱっと、流れが止まるさま。
【滉】
 会意兼形声。「水+音符晃コウ(ひろがる)」。
【溝】
 会意兼形声。「水+音符冓コウ」。冓は、両側を同じ形に組みたてること。
【溷】
 会意兼形声。右側の字(音コン)は「囗印(かこい)+豕(ぶた)」の会意文字で、きたないぶた小屋のこと。転じて、便所をいう。溷はそれを音符とし、水を加えた字で、ごたまぜになったきたない汚水を示す。
【滓】
 形声。「水+音符宰」。せき止めて水が流れず、沈殿すること。また、たまった黒い泥やあかを意味する。
【準】
 会意兼形声。隹スイとは、ずんぐりと下体の太った鳥を描いた象形文字。淮ジュンは「水+音符隹」の会意兼形声文字で、水がずっしりと下にたまること。準は「十印(そろえる)+音符淮」で、下にたまって落ち着いた水の水面を基準として高低をそろえることを示す。
【溽】
 会意兼形声。「水+音符辱(ねっとり)」。
【溯】
 会意兼形声。「水+音符朔サク(ついたち→もとに戻る)」。遡・泝と同じ。
【滄】
 形声。「水+音符倉」。青緑の清水の色から、つめたいという感じを連想させる。
【溲】
 会意兼形声。「水+音符叟(細長い、やせた)」で、細長くたれる水。転じて、細長い線を描いて出る尿ニョウのこと。
【滞】
 会意兼形声。帶タイ(=帯)は「おびに佩玉ハイギョクのついた形+布かざりの垂れた形」の会意文字で、腰につけておくおび。滯は「水+音符帶」で、帯が長くのびて腰にまといついているように、水が定着して動かないこと。
【溺】
 会意兼形声。「水+音符弱」。弱の字は、弓を二つ並べたさまで、なよなよと曲がった意を含む。水でぬれて、柔らかくぐったりとなること。また、尿に当てる。
【滔】
 会意兼形声。右側の字は「爪(手)+臼(うす)」の会意文字で、うすの中を手でこね回すこと。搗トウと同じ。滔はそれを音符とし、水を加えた字で、水がいちめんにこねかえすようにいきりたつこと。
【漠】
 会意兼形声。「水+音符莫(かくれて見えない)」で、水がないこと。
【溥】
 会意兼形声。「水+音符博(ひろい)の略体」。水が一面にひろがる意。のち「ひろい、ひろがる」の意となる。
《単語家族》
【滂】
 会意兼形声。「水+音符旁ボウ(上下左右にはり出る)」。溥ホ(水が広がる)の語尾がのびたことばで、水が四方にひろがる意である
【溟】
 「水+音符冥メイ(くらい)」。
【滅】
 会意兼形声。右側は「戉(ほこ)+火」の会意文字で、刃物で火だねを切って火をけすことを示す。滅はそれを音符とし、水を加えた字で、水をかけて火をけし、または見えなくすること。
【溶】
 会意兼形声。谷は、口(あな)があいて、水の八型に流れ出るたに間をあらわす会意文字。容は「宀(やね)+谷」から成り、穴があいていて中に物を入れこむ家や入れもの。溶は「水+音符容」で、水の中に物を入れてまぜこむこと。
【溜】
 会意兼形声。「水+音符留(つるつるしたものがしばしとまる)」。古典では軒下の水たまりの意(霤とも)に用いる。
【滝】
 会意兼形声。「水+音符龍(太い筒型をなす、りゅう)」。
【演】
 会意兼形声。「水+音符寅イン(まっすぐのびる)」。「倉頡篇」に「演とは引なり」とあるのがよい。
【漑】
 会意兼形声。旡キ・カイは、人が胸をいっぱいにつまらせ、口をあけたさま。既は「ごちそう+音符旡」からなり、人がごちそうを腹いっぱい食べ終わったさま。漑は「水+音符既」で、水をわくいっぱいにみたすこと。
【漁】
 会意兼形声。「水+音符魚」で、魚(さかな)から派生した動詞。雨(あめ)をあめが降るという動詞に用いるのと似た用法。リョウは、日本で猟(レフ→リョウ)と混同した通俗の音。
【滬】
 形声。「水+音符扈」。
【滸】
 会意兼形声。「水+音符許(ぎりぎりに迫る、狭い所を通す)」。水に迫った岸辺。
【滾】
 会意兼形声。「水+音符袞エン・コン(まるい)」。
【漬】
 会意兼形声。朿シ・セキは、ぎざぎざにとがった針やいばらのとげを描いた象形文字。責は「貝(財貨)+音符朿シ・セキ」の会意兼形声文字で、財貨を積み、とげで刺すように相手をせめること。債サイ(積んだ借財でせめる)の原字。漬は「水+音符責」で、野菜を積みかさねて塩汁につけたり、布地を積みかさねて染液につけたりすること。
【漆】
 会意兼形声。右側の字は、木汁が一滴ずつしたたるさま。漆はそれをさらに水をそえたもの。うるしをシツと称するのは、おそらく、津(したたる汁)の語尾が転じたもの。あるいは、密切の切(ぴったり)と同系で、物をぴったりとくっつける役割に着目した命名であろう。
【滲】
 形声。「水+音符參」。
【漸】
 《常用音訓》ゼン
《音読み》  ゼン(ゼム) /セン(セム) 〈ji n〉/ ゼン /セン(セム)  〈ji n〉
《訓読み》 ようやく(やうやく)/ひたす/しみる(しむ)
 会意兼形声。斬ザンは「車+斤(おの)」の会意文字で、車におのの刃をくいこませて切ること。割れめにくいこむ意を含む。漸は「水+音符斬」で、水分がじわじわとさけめにしみこむこと。▽訓の「やうやく」は、「やや+く」の変化したもの。
【漕】
 会意兼形声。曹ソウは「東(ふくろ)二つ+曰」の会意文字で、東印二つで物を並べたことを示す。曹偶(何人もの仲間)のこと。たくさん仲間のいる属吏の意。漕は「水+音符曹」で、何人かがいっしょに舟をこぐことで、複数の物をよせ集めた意を含む。
【漱】
 会意兼形声。右側の字(音ソク・ソウ)は、せかせかと動かす意。漱はそれを音符とし、水を加えた字で、せかせかと口を動かす動作から、水でうがいをする意となる。
【漲】
 会意兼形声。「水+音符張(いっぱいにはる)」。▽今は上声に読む。
【滴】 
 会意兼形声。右側は、啻(一つにまとまる)の変形した字。滴はもと「水+音符啻テキ」。しずくはひと所に水が集まり、まとまったときにぽとりと垂れる。ひと所にまとまるの意を含んだことばである。
【滌】
 会意兼形声。攸ユウは「人の背に細く長く水を注ぎかけるさま+攴(動詞の記号)」の会意文字。條ジョウ(=条)は細く長い木の枝。滌は「水+音符條」で、細く長いの意味を含み、攸の原義をあらわす。
【漂】
 会意兼形声。票は「要(ほそい腰)の略体+火」の会意文字で、火が細く軽く舞いあがること。漂は「水+音符票」で、水の表面に軽くあがって浮かぶこと。軽く上にあがるの意を含む。
【漫】
 会意兼形声。曼マンは「冒の字の上部(かぶせるおおい)+目+又」の会意文字で、ながいベールを目にかぶせたさま。ながい、一面におおうなどの意を含む。漫は「水+音符曼」で、水がながながと続く、また、水が一面におおうなどの意。
【漾】
 形声。右側の字が音をあらわす。
【漓】
 形声。「水+音符離の略体」。
【漣】
 会意兼形声。「水+音符連(つらなる)」。
【漏】
 会意兼形声。右側は「尸(やね)+雨」からなり、屋根から雨がもることを示す会意文字。漏はさらに水をそえたもの。
【漉】
 会意兼形声。「水+音符鹿(列をなすしか)」で、つぎつぎにつらなってたれる意を含む。
【潁】
 形声。「水+音符頃」。
【潰】
 形声。「水+音符貴キ」で、穴があいてくずれおちること。
【澗】
 会意兼形声。「水+音符間(あいだ)」。山の間を流れる川。
【澆】
 会意兼形声。 ギョウの原字は、人が高く荷をかついださま。のち土印三つをそえて、高いことを示した会意文字。澆は「水+音符 」で、高いところから水をふりかけること。
【潔】
 会意兼形声。右側の字(音ケツ)は、ぐっと引き締める意を含む。潔はそれを音符とし、水をそえた字。
【潸】
 会意兼形声。散の左側は、もとこの字の右側と同じ。潸はそれを音符とし、水を加えた字。
【潤】
 会意兼形声。閏ジュンは「門+王」の会意文字で、暦からはみ出た「うるう」のとき、王が門内にとじこもって静養するさまを示す。じわじわと暦の計算の外にはみ出てきた日や月のこと。潤は「水+音符閏」で、じわじわとしみ出て、余分にはみ出る水分のこと。
【漿】
 会意兼形声。「水+音符將(細長い中指)」
【潯】
 会意兼形声。尋は、左右の腕をいっぱいに伸ばして長さを計る、また、そのときの長さの単位。潯は「水+音符尋」。長さがわからないときに一尋二尋とはかるように、事情がわからない場合に奥深く探りを入れること。尋(ひろ)を単位としてはかるような深いふち。
【潟】
 形声。右側の字が音をあらわす。
【潜】
 会意兼形声。潛の右上は、かんざしを二つ描いた象形文字で、髪の毛のすきまに深くはいりこむ簪シン(かんざし)の原字。簪の下部は「かんざし二つ+日」からなり、すきまにわりこんで人を悪くいうこと。譖(そしる)の原字。潛はそれを音符とし、水を加えた字で、水の中に深くわりこんでもぐること。すきまから中にもぐりこむの意を含む。
【潺】
 会意兼形声。「水+音符孱(小さく弱い)」。
【潭】
 会意兼形声。覃は「西(ざる)+高の逆形」の会意文字で、底の深いざる。潭は「水+音符覃(ふかい)」で、水を深くたたえたふちのこ
と。深く下に垂れたのを「沈々」と形容するが、その沈や深に近く、ずっしりとぶ厚い意をあらわす。
【澄】
 会意兼形声。登は「両足+豆(たかつき)+両手」の会意文字で、たかつきを手で高くあげたり、足で上にあがったりすること。騰(のぼる)と同系のことば。澄は「水+音符登」で、うわずみが水の上方にのぼってくること。
【潮】
 会意兼形声。朝は「屮(くさ)の間から日が出るさま+音符舟」の形声文字。潮はもと「草の間から日が出るさま+水」の会意文字であったが、楷書カイショは「水+音符朝」で、あさしおのこと。
【滕】
 会意兼形声。「水+音符朕(上に出る、あがる)」。
【潼】
 形声。「水+音符童トウ」。
【溌】
 会意兼形声。「水+音符發ハツ(=発。ぱっとひらく)」。
【潘】
 
会意兼形声。「水+音符番ハン(まるく広がる)」。
【澎】
 会意兼形声。「水+音符彭ホウ(ふくれる、ぼんと音を出す)」。
【潦】
 会意兼形声。右側の字(音ロウ・リョウ)は、長くつづく意を含む。潦はそれを音符とし、水を加えた字で、長くふりつづく雨。
【澳】
 会意兼形声。「水+音符奧オウ・イク」で、水が奥ふかくはいりこんだ所。
【澣】
 会意。「水+幹(=乾)」で、衣をあらってかわかすことをあらわす。
【激】
 会意兼形声。右側は「白+放」の会意文字で、水が当たって白いしぶきを放つこと。激はそれを音符とし、水印を加えてその原義を明示したもの。
【澡】
 会意兼形声。右側の字(音ソウ)は、口ぐちにさわぐ、こまめに動作する意をあらわす。澡はそれを音符とし、水を加えた字。
【濁】
 会意兼形声。蜀ショクは、目の大きい桑虫を描いた象形文字で、くっついて離れないの意を含む。觸(=触。くっつく) 屬(=属。くっつく)などと同系のことば。濁は「水+音符蜀」で、どろがくっついてにごっている水のこと。黷トク(きたない)とも縁が近い。
【澹】
 会意兼形声。右側の字(音セン・タン)は、ずっしりと下がる、重い、落ち着くなどの意をあらわす。澹はそれを音符とし、水を加えた字。穏やかで、起伏がないことから、淡(あわい)と同じ意にも用いる。
【澱】
 会意兼形声。「水+音符殿テン(ずっしりと下にさがる)」。
【濃】
 会意兼形声。農の古い字は「林+辰(かい)」の会意文字で、ブッシュを焼き、蜃(かい)のからでその土を柔らかくねっとりとさせること。膿は、「頭+両手+皿」の会意文字で、頭の膿(うみ)、またはねばっこい脳みそを皿にしぼり出すこと。現在の農の字は、この両者をあわせたもので、「うみをしぼる姿+辰(かい)」からなる。いずれにせよ、ねっとりしたの意を含む。濃は「水+音符農」で、水分があってねっとりとしてこいこと。
【濆】
 会意兼形声。「水+音符賁フン(ぱっとひらく)」。
【澪】
 
会意兼形声。「水+音符零(やせ細る)」。
【濂】
 会意兼形声。「水+音符廉レン(かど、すみ)」。
【濠】
 会意兼形声。「水+音符豪(大きい、ぶ厚い)」。大きく土を掘りおこしたほり。
【濡】
 会意兼形声。需ジュは「雨+而(柔らかいひげ)」の会意文字で、雨つゆにぬれて垂れたひげのように柔らかいこと。のち須(ねばって待つ)に当て、需用(待ち求める)の意に用いる。濡は「水+音符需」で、需の原義(ぬれて柔らかい)を示す。
【濬】
 会意兼形声。睿の原字は「うつろな穴+谷」からなり、ふかい谷やふかくするの意をあらわす。濬は「水+音符睿」。
【濯】
 会意兼形声。右側の字(音テキ)は「羽+隹(とり)」の会意文字で、キジが尾羽を高く抜きたてたさま。濯はそれを音符とし、水を加えた字で、水中につけた物をさっと抜きあげてあらうこと。
【濤】
 会意兼形声。「水+音符壽シュウ・トウ(うねうねと長い)」。
【濘】
 会意兼形声。「水+音符寧ネイ(ねっとり落ち着く)」。
【濮】
 形声。「水+音符僕ホク」。
【濛】
 会意兼形声。「水+音符蒙ボウ・モウ(かぶさる、おおってくらい)」。
【瀉】
 会意兼形声。寫の下部の字(音シャク・セキ)は鵲セキと同じく、大きな口をあけて声をはき出すかささぎを描いた象形文字。寫は、それを音符とする形声文字で、こちらの物をそちらへうつすこと。その原義には関係がない。瀉は「水+音符寫」で、液体を外へまたは低い方へうつすこと。
【瀋】
 形声。「水+音符審」。
【濺】
 会意兼形声。戔サンは、戈(ほこ)を重ねて、小さく切ることを示した会意文字。賤センは、それに貝印をそえ、財貨の小さく少ないことをあらわす会意兼形声文字。すべて小さいの意を含む。濺は「水+音符賤セン」で、小さな水しぶき。
【涜】
 会意兼形声。右側は本来續(=続)の右側と同じ(音トク・イク)で、「貝(財貨)+睦ボク(目をよせ合う)の略体」からなり、衆目をごまかして財物をぬきとること。賣(=売)とは別字。涜は本来それを音符とし、水を加えた字で、水をぬきとる通水溝。
【瀑】
 会意兼形声。「水+音符暴ボウ・バク(急に外にあらわれる、にわか)」。
【瀁】
 形声。「水+音符養」。
【濫】
 会意兼形声。監は「うつ向いた目+人+水をはった皿サラ」の会意文字で、人がうつむいて水鏡に顔をうつすさま。そのわくの中に収まるようにして、よく見るの意を含む。鑑(かがみ)の原字。檻カン(わくをはめて出ぬようにするおり)と同系のことば。濫は「水+音符監」で、外に出ないように押さえたわくを越えて、水がはみ出ること。
【瀏】
 会意兼形声。「水+音符劉リュウ(切れ味がよい、さえている)」。
【濾】
 会意兼形声。「水+音符慮ロ(細かい)」。▽瀘(川の名)は、別字。
【濛】
 会意兼形声。「水+音符翰(ひろい)」。
【瀚】
 会意兼形声。「水+音符翰(ひろい)」。
【瀞】
 会意兼形声。「水+音符静」。
【瀦】
 会意兼形声。「水+音符豬(からだが充実したぶた、肉が集まる)」で、水がひと所に集中する所。
【瀕】
 会意兼形声。歩は、右足と左足であるくことをあらわす会意文字。頻ヒンは「歩+水+頁(かお)」の会意文字で、歩いて水ぎわすれすれまで行くことを示す。頁印を加えて、顔のしわをすれすれにくっつけてしかめること(頻蹙ヒンシュクの頻)をも示す。瀕は「水+音符頻ヒン」で、水ぎわすれすれに接すること
【瀬】
 形声。瀬は「水+音符頼ライ」で、頼は音符としてのみ用い、その原義(他人になすりつける)とは関係がない。はげしく水のくだける急流のこと。
【瀝】
 会意兼形声。歴の上部はもと「厂(やね)+禾(いね)二つ」の会意文字で、稲をつらねて納屋に並べたさま。歴は、それに止(足)を加
え、つぎつぎと続いて各地を歩くこと。いずれもじゅずつなぎに続くの意を含む。瀝は「水+音符歴」で、水のしずくがじゅずつなぎに続いてたれること。
【瀘】
 形声。「水+音符盧」。▽濾(こす)は、別字。
【瀛】
 会意兼形声。右側の字はゆったりした、柔らかくて大きいの意を含む。瀛はそれを音符とし、水を加えた字。
【瀟】
 会意兼形声。「水+音符蕭ショウ(細い)」。
【瀰】
 会意兼形声。「水+音符彌ミ(のびる、広がる)」
【瀾】
 会意兼形声。闌は、出入り口の左右を横につないで出入りをとめること。瀾は「水+音符闌」で横に波頭をつらねたなみ。ずるずるとつながる意味を含む。
【瀲】
 会意兼形声。「水+音符斂レン(つらねる、多くのものをまとめる)」。
【灌】
 会意兼形声。右側の字は、まるい形をしたふくろうに似た鳥の名。灌はそれを音符とし、水を加えた字で、水がどくどくとまるい固まりをなしてそそぐこと。
【灑】
 
会意。麗レイは、鹿の角ツノが二本並んで美しいさま。灑は「水+麗(きれいさっぱり)」で、水を流してさっぱりさせること。洒サイ・シャと全く同じ。
【灘】
 会意兼形声。「水+音符難」で、水のいきなやんで流れにくい浅瀬。「なだ」の意に用いるのは坦タン(平らな地) 壇(平らな土もり)などと同系で、平坦な浅瀬のこと。
【闊】
 会意兼形声。活は、水が勢いよく流れること。ゆとりがあって、つかえない意を含む。闊は「門+音符活」。寛(ゆとりがある)の語尾がちぢまった形
【汢】
 《訓読み》 ぬた
《意味》 ぬた。地名に使われる。
【沺】
 《音読み》 テン /デン 
《意味》 水が大きく広がっているようす。沺沺デンデン。
【淦】
 《音読み》 カン /コン/ゴン 
《意味》 あか。船底にたまる水。 どろ。 中国の川の名。

【淌】
 《音読み》 ショウ/トウ  
《意味》 大きい波。 水の流れるようす。 流れに従って下る。 したたる。
【淕】
 《音読み》 リク /ロク 
《意味》 みぞれのうるおい。 中国の地名に使われる。
【渮】
 《音読み》 カ  
《意味》 中国の川の名に使われる
【湟】
 《音読み》 コウ /オウ 
《意味》 ほり。城のほりわり。隍コウと同じ。 中国の川の名。
【溂】
 《音読み》 ラツ  
《意味》 「溌溂ハツラツ」は「溌剌ハツラツ」と同じ。元気のよいようす。
【溏】
 《音読み》 トウ /ドウ 
《意味》 いけ。 どろ。
【滷】
 《音読み》 ロ /ル 
《意味》 アルカリ性の土地。 塩づけにする。 こした汁。濃い汁につけた食品。 こす。瀘と同じ。
【濔】
 《音読み》 デイ/ビ/ベイ /ナイ/ミ/マイ 
《意味》 水が満ちる。 物のようす。 瀰の異体字。 平らかに連なるようす。
【浤】
《音読み》 コウ /オウ 
《意味》 「浤浤コウコウ」とは水が勢いよく広がるようす。
《解字》
会意兼形声。「水+音符宏」。

合計330件

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