水の再利用館① -2  


ある家庭の雨水利用術 
雨水の貯め方
 貯めるタンクの水漏れにだけ気をつければ、雨水を貯めるのは比較的簡単です。とにかく、雨樋から雨水を何か容器に導いて貯めればいいわけです。我が家では、縦樋に切り込みを入れてプラスチック板を差し込み、そのプラスチック板にさらに塩ビパイプを差し込んで、縦樋の横に導出しています。タンクには、プラスチック製ゴミバケツを2個使っています。

ここで注意が必要なのは、タンクにいかにゴミを入れないかです。降り始めの雨水は大気中の汚れを含んでいるし、屋根など集水面の汚れを洗い流してくるので、最初いくらかの雨水を排除する工夫が必要になります。雨樋から直接タンクで受けるようなことをすると、タンク内が細かい土ぼこり等でみるみる真っ黒になってしまいます。我が家のタンクではそういう工夫をしていないため、底に土ぼこりが真っ黒に沈殿してしまっています。

また、タンクには光が透過しない材質のものを使わないと藻が発生するでしょうし、当然ふたをしておかないとボウフラなどの原因になります。我が家でタンクに使っているのは普通の蓋付きゴミバケツですが、このような問題は発生していません。

また、水は非常に重いですから、タンクはできれば円筒形のほうがいいでしょう。我が家で使っている四角いゴミバケツは、貯まった水の量によっては歪んでしまいます。これは、水漏れの原因になります。

市販の雨水タンクとしては、「天水尊」(雨水リサイクル研究所)や「レインオアシス」(東洋化学㈱)といったものがあります。

雨水の利用方法
一番手近なのが、植木などへの散水と洗車でしょうか。

タンクに貯めた雨水を利用するときに問題になるのが、「どうやって水を汲み出すか」です。庭に散水しようとするとホースを使いたくなりますが、それにはポンプをつなぐなど大掛かりなことをしなければなりません(その都度、フロ水用のバスポンプを投げ込むなどであれば、多少手間はかかりますが、簡単かもしれません)。建物の強度が許すならば、ベランダなど高いところに雨水タンクを設置すれば、落差でホースを使った散水ができるでしょう。我が家の場合はタンクと庭の高低差がないので、じょうろやひしゃくで汲み出して使っています。

庭への散水に使うときには、使用量と降雨量の関係も問題になります。雨が多いときにはタンクに水がよく貯まりますが、当然、庭への散水はいらなくなります。雨が降らなければ散水に使う量が増えますが、雨が降らないのでタンクはすぐ空になってしまいます。小規模のタンクでは、この辺が難しいところではないでしょうか。大規模なタンクを設置し、トイレの水にも使うなどでなければ、恒常的な雨水利用は難しいかもしれません。


雨水利用にあたっての注意点

上水道との関係
  タンク内で上水道配管開口部と雨水を接近させるときには、必ずある程度の間隔(吐水口間隔)をとり、上水道に雨水が絶対混入しないようにしなければなりません。

下水道との関係
  自治体によっては、雨水を下水道に接続することが禁止されていると思います(私が住んでいる栃木県宇都宮市では禁止されています)。余った雨水は地下に浸透させるなどすべきです。



(参考)
雨水の再利用
▼雨水の再利用が叫ばれています。畑や山林が宅地やアスファルト舗装に変わり、流出係数が高くなった都市部において発生している水害を少しでも軽減する、また失った水循環を取り戻そうとする動きです。
▼すでに、一部の市民団体及び自治体では各家庭レベルで雨水の貯留及び再利用を実践しています。元来地表に降った雨は、地下に浸透し地下水となり、湧き水を出し、川となり、海へ流れ、蒸発して雲になり、また雨が降る。という自然のサイクルを繰り返してきました。
▼近年の都市化によりそれが崩された今、改めてそのサイクルのあり方が見直されています。ちなみに東京で使われる水の量は、年間を通じて東京に降る雨とほぼ同量だといわれているそうです。(最近教えてもらったんですが。)そのような雨を今後上手に再利用していくことは、下水に携わる身として非常に意義のあることだ、と喜んでいます。
▼しかし、極端ですが降った雨をあますことなく利用し尽くしてしまうのは「?」と考えます。なぜなら、自然のサイクルがあってこその雨ですから、降った雨を利用することによってどこかのサイクルをショートカットしたのでは今現在と根本的な変化はないと判断するからです。とするとその利用方法にもおのずと制限が生まれてくることでしょう。
▼たとえば、降った雨を貯留しトイレの水洗に利用したとします。
その時の利点は、

1.水道水を利用せずにすむので節水につながる。
2.水道料金が課金されないので経済的。
3.流出抑制になるので水害軽減に貢献する。

などがあげられると思われます。逆に欠点としては、

1.地下に浸透する雨が現状よりもさらに少なくなる。
2.自然サイクルで考える地下水の生成につながらない。

などではないか、と思います。
▼上記の例は極端で、実際は得られる利点のほうが大きいようにおもえます。ただ、どちらか一方だけの利得に偏りすぎると抜本的な解決にならないような気がするのです。ようするにバランスの良い活用方法を見出す必要があるな、と感じている今日このごろです。

下水道の多目的利用

▼最近下水道施設及び処理後資源の有効活用が各地で盛んに行われはじめています。(といってもすでにだいぶ経ってますが。)
▼その中でも東京都の再構築事業における通信事業への資源提供は新しい境地であると思います。
▼これは下水道管の中に光ファイバーケーブルを設置し、様々な通信業界にその施設を利用してもらおうというものです。
▼すでに実用化をめざし通信事業に関わる方々と会議を開いたりしているようです。
▼善し悪しの論議はあるとしても、そのように新しい発想を取り込もうという姿勢は評価できると思います。
▼このほかにもいろいろ有りますが、面白いのは皆さんの体内から排出されたモノは下水処理場内で微生物により浄化されます。
▼その後きれいな上澄みは公共水域に放流されますが、不要になった汚泥は熱処理などを加え、建設資材として利用されたりします。
▼ひょっとしたら自分の身の回りにあるタイル状のものは自分の体内からでたものかもしれませんね。


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