水回りの材料館① ステンレス その2 


(詳細解説)
『プロの目』から見たステンレスとは?

◎ステンレス鋼一覧
ステンレスにはその成分によって大きく2つの種類に分かれ 組織的には3つに分かれてています。
    Cr系       13Cr  マルテンサイト系      SUS4xx    431,403,410,420,440.......
 18Cr  フェライト系    SUS4xx     430,405........
Cr-Ni系  18-8  オーステナイト系     SUS3xx      SUS2xx   304, 304L,316.316L.....  
「ねじ」などにもっとも多く利用されるのはオーステナイト系 のSUSのあと、頭が 3 で始まる鋼種で小ねじは線材SUS304相当の冷間圧造用鋼種線材 XM 7 が多く利用されます。タッピングなどには硬いSUS410が利用されます。
ステンレスの鋼種はアメリカのAISIの記号ナンバーにあわせて3桁の数字で表すことになっています。日本独特の鋼種にはj1、j2などの連番がつきます。この他析出硬化系SUS6xx(PHタイプ)、耐熱鋼板(SUH)、5%Cr系 SUS5xx などがあります。

●オーステナイト系ステンレス

 一般には18−8ステンレスとも呼ばれます。冷間加工だけで硬化し、熱処理では軟化します。(オーステナイト組織)冷間加工で微弱な磁性を有し、熱処理状態で非磁性です。

鋼種 概略組織 性質 用途、(他) 引張
強さ
堅さ
HB
WS WP CP W
SUS201 17Cr-4.5Ni-6Mn-N 301の代替鋼 Ni節約鋼種 鉄道車両          
SUS202 18Cr-5Ni-8Mn-N   料理道具          
SUS301 17Cr-7Ni 冷間加工により高強度を得る   77 85      
SUS301J1 17Cr-7.5Ni-0.1C              
SUS302 18Cr-8Ni-2.5Si-0.1C            
SUS302B 18Cr-8Ni-2.5Si-0.1C              
SUS303 18Cr-8Ni-高S 被削性、耐焼付性向上  (自動旋盤で加工に)          
SUS303Se 18Cr-8Ni-Se 被削性、耐焼付性向上            
SUS304 18Cr-8Ni ステンレス鋼耐熱鋼として
もっとも広く使用される
家庭用品、建設材料、
食品設備、一般化学
設備、原子力
59 80
SUS304L 18Cr-9Ni-低C     57 79    
SUS304N1 18Cr-8Ni-N            
SUS304N2 18Cr-8Ni-N-Nb              
SUS304LN 18Cr-8Ni-N-低C              
SUS305 18Cr-13Ni-0.1C          
SUS305J1 18Cr-13Ni-0.1C            
SUS309S 22Cr-12Ni     63 85    
SUS310S 25Cr-20Ni     67 85    
SUS316 18Cr-12Ni-2.5Mo 海水他各種媒質に304より
優れた耐食性をもつ
耐孔食材料 59 79        
SUS316L 18Cr-12Ni-2.5Mo-低C 316の極低炭素鋼   57 79        
SUS316N 18Cr-12Ni-2.5Mo-N                
SUS316LN 18Cr-12Ni-2.5Mo-N-低C                
SUS316J1 18Cr-12Ni-2Mo-2Cu                
SUS316J1L 18Cr-12Ni-2Mo-2Cu-低C                
SUS317 18Cr-12Ni-3.5Mo                
SUS317L 18Cr-12Ni-3.5Mo-低C                
SUS317J1 18Cr-16Ni-5Mo                
SUS321 18Cr-9Ni-Ti     63 80        
SUS347 18Cr-9Ni-Nb     67 85        
SUS384 16Cr-18Ni                
SUSXM7 18Cr-9Ni-3.5Cu 304にCuを添加して冷間
加工性向上をはかった
冷間圧造用            
SUSXM15J1 18Cr-13Ni-4Si                

WS=JIS G 4315 冷間圧造用ステンレス鋼線、 W=JIS G 4309 ステンレス鋼線(303など切削向け)
WP=JIS G 4314 ばね用ステンレス鋼線   、 CP=JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板
☆ SUS304は広く知られていますが 「ねじ」材料用の相当鋼種SUSXM7の名前の認知度は薄い。 このXM7は開発コードで、1977年にJISに認められたときにはすでに業界で名前が通っていたので、そのままXM7となってしまった。SUS304cuというような名前にしていればわかりやすかったのに。 耐食性、強度は304と同等で、成型のための冷間圧造加工性の向上をはかったもので この材料のおかげで品質が良くて コストの安いステンレス「ねじ」が生産できるようになりました。

マルテンサイト系ステンレス

 普通の鋼と同様に、焼入れによってマルテンサイト組織を生じて硬化します。強く、硬いので410はタッピングなどに利用されています。反面もろく、耐食性では他の系列のステンレスに劣ります。 常温で磁性を持っています。

鋼種 概略組織 性質 用途 引張り強さ
Kg/mm2
SUS403 13Cr−低Si 高応力、耐熱 タービンブレード 76
SUS410 13Cr 良好な耐食性、機械加工性 一般用途、刃物類  
SUS410S 13Cr−0.08C 410の耐食性、成形性を向上    
SUS410J1 13Cr−Mo 410の耐食性を向上させた高力鋼種 タービンブレード、高温用部品  
SUS416 13Cr−高S 被削性がステンレス鋼中最良 自動旋盤加工品  
SUS420J1 13Cr−0.2C 焼き入れ状態での硬さが高い13Crより
耐食性良好
タービンブレード 82
SUS420J2 13Cr−0.3C 420J1より焼き入れ後の硬さが高い 刃物、ノズル、弁座、
バルブ、直尺
94
SUS420F 13Cr−高S 420J2の被削性改良    
SUS429J1 17Cr−0.3C 耐摩耗性、耐食性 オートバイブレーキディスク  
SUS431 16Cr−2Ni ,熱処理で高い機械的特性 410,430より
耐食性良好
  107
SUS440A 18Cr−0.7C 硬化形 440B,Cよりじん性大きい 刃物、ゲージ、ベアリング  
SUS440B 18Cr−0.8C 440Aより硬く440Cよりじん性が大きい 刃物、弁  
SUS440C 18Cr−1C すべてのステンレス、耐熱鋼中最高の硬さ ノズル、ベアリング  
SUS440F 18Cr−1C−高S 440Cの被削性を向上    


フェライト系ステンレス

 冷間加工で若干硬化しますが、熱処理して急冷しても硬化しません。常温で磁性を有します。

鋼種 引張り強さ
SUS405 46
SUS410L、SUS429  
SUS430 53
SUS430F、SUS430LX  
SUS434 54
SUS436L、SUS444、SUS447J1、SUSXM27    

析出硬化系ステンレス

鋼種 SUS630、SUS631、SUS631J1

二相合金、オーステナイト・フェライト系ステンレス

鋼種 SUS329J1、SUS329J2L

◎ステンレスの特性 性質
耐酸性 (参考  抜粋)
酸の種類 濃度% 温度℃ 炭素鋼 18-8 

(SUS304)

18-12Mo

 (SUS316)

塩酸   0.1  20-50  △  △  ○
  1  20  X  X  ○
  2  20  X  X  △
 10  20-35  X  X  X 
硫酸   0.5  20  X   ○   ○
  0.5 100  X  X  △
  5  20  X  X  ○
 10  20-35  X  X  X
 50  20-30  X  X  X
 98  30  △  ○  ○
硝酸   1  20-50  X  ○  ○ 
  5  80-沸点  X  ○  ○
 50  沸点  X  ○  △
 65  沸点  X  △  △
酢酸   1    X  ○  ○
 10  20  △  ○  ○
 50  20-50  X  ○  ○
 80  20  X  ○  ○
100  沸点  X  X   ○
○ 0.1mm/年で十分な耐食性を有する。
X 0.1〜1.0mm/年以上で耐食性なし  
△ 1.0mm/年で場合により使用可能

  耐食性   ステンレスには、広範囲の環境条件下において不動態という基質に比べて科学的にきわめて安定な薄い皮膜が形成される能力があり腐食を防いでいます。鉄は鉄鉱石をコークスから得られる一酸化炭素COで還元してつくられます。そして、大気中の水分や酸素と反応して錆びます。
   2Fe+3HO+3/2O →2Fe(OH)[FeO(赤錆)]
 ステンレス鋼は同じ鋼の仲間ですがクロムやニッケルなどを含むことにより不動態を形成して錆を防いでいます。ただし、強い酸やアルカリ液で温度が高いときは腐食します。ステンレスだから絶対に錆びない というわけではありません特に日常の中では海水などの塩分による錆びの発生が多いようです。
 髪止めの鉄のピンなどをステンレスの洗面台などに置きっぱなしにすると錆びたピンから「もらいサビ」することがあります。水により不動態の皮膜が遮蔽されるのも原因のひとつです。ステンレス製品は塩分や汚れを除いて表面を綺麗にしておくことが長持ちの基本です。
 対候性はステンレスの大きな魅力のひとつです。 一般には18-8(304)が利用されますが海の近くや工業地帯などの汚染大気には18-12Mo (316)が利用されます。チタンなどを配合してより対候性の良い鋼種も開発されているようです。

42%塩化マグネシウム腐食試験例
破断時間 抜粋
 鋼種/応力kgf/mm2 20  25  35 
 SUS304  1.3 1.0   
  SUS 316  7  6  5 




大気中の表面 耐用温度
鋼種SUS 概略組織  繰り返し酸化 ℃  連続酸化 ℃ 
 304  18Cr-8Ni       870       925 
 302B  18Cr-8Ni-2.5Si       970    1050
 309  22Cr-12Ni       980    1095
 310  25Cr-20Ni      1035    1150 
 XM15J1  18Cr-13Ni-4Si      1035    1150
 410S  13Cr-0.08C       815     705
 430  18Cr       870     815
 446  25Cr-N-0.2C      1175     1095
309 310 446は耐熱鋼(SUH)
 鉄鋼を大気中で長時間高温にさらすと、その表面がポロボロになってしまいます。これは高温酸化という現象です。ステンレスは高温酸化に対して 不動態皮膜とは異なる保護性の酸化皮膜を表面に形成しますので優れた耐酸性を示します。ただし、全体的な耐食性としては劣化するようです。
 この酸化物層の組織はクロム含有量によって変わり クロムの増加かとともに欠陥の少ない保護性の高いものとなります。 温度が高くなると機械的強度は落ちるので ネジでの使用は「表」のような高温には耐えられません。
 亜硫酸ガス雰囲気での耐食性は硫化により50〜100℃下がります。硫化水素ガス雰囲気中では実用で600℃以上に耐えられる合金はありません。
 一酸化酸素COやメタンCH4などの炭化水素、活性炭素は鋼の表面に吸着し内部に拡散して鋼を脆くする浸炭が起きます。ステンレスでは耐酸性も落ちます。浸炭に抵抗するにはクロム、ニッケル、けい素、アルミニウムなどが良いとされています。
  高温でアンモニアなどが分解して生じる活性の窒素ガスが鋼の表面から中へ拡散してじん性、延性を低下させ、耐酸性を劣化させる窒化を防ぐのに有効なのはニッケルです。  
 この他にも高温ハロゲンガスによる腐食や重油などの燃焼ガスに含まれるバナジウムにより酸化の進むバナジウムアタック(燃焼灰腐食)高温、高圧ガスによる水素脆性なども注意する必要があるようです。また、オーステナイト系は温度差による応力腐食割れにも注意が必要です。

物理的性質   常温
  密度 線熱膨張
係数
熱伝
導率
比熱 電気比
抵抗
ヤング率 剛性率
 18クロムステンレス  7.75      10.4       22   0.11   60  20400  
  SUS304  18-8  8.03     17.3     14  0.12  72  19700  7460
   SUS410   7.75       9.9      21   0.12   57   20400  
   SUS316   8.03      15.9      14   0.12   74   19700  
   SUS301 バネ    8.03      17.0      14   0.12   72   19700  
 鉄  7.87     11.7     68  0.10   9.8  21000  8440
 炭素鋼  7.87     11     50  0.12  16  21100  8440
  SCM435        11.2          
 アルミニウム  2.70     23    168   0.21   2.75   7170  
 銅  8.93     16.7    320  0.091   1.72  13200   
 チタン  4.51      8.9     15  0.126   55   11420  
 鋳鉄                9500  

・密度...g/cm3体積1立方センチメートルあたりの物質の質量
・比熱... ca3/g/  1グラムの物質を1度上昇させるのに必要な熱量。   FeにCが入るほど比重は小さくなります
・熱伝導率...Kcal/mhr℃。        オーステナイト系は伝導率が悪く焼きつきの原因でもありますが魔法瓶のように伝導率の悪さが良い方向に向いている商品もあります手入れの簡単なことで鍋にも利用されてきましたが、熱伝導率が悪い焦げができやすいという欠点がありましたが ステンレスの間に銅などを はさんだ便利な鍋も登場しました。               
・熱膨張...x10-6。       18-8は 鋼に比べて約1.5倍。アルミは更に大きく膨張します。 同じステンレスでも種類により大きく膨張率は異なるので、カシめた場合応力の違いによリ発生する 割れに注意する必要があります。
・電気抵抗...??ーcm  ステンレスは電気を通しにくい金属です。           
・磁性...オーステナイト系は基本的に非磁性ですが強い冷間加工を行うと磁性を有します。身のまわりに多い18−8系も非磁性です。フェライト系やマルテンサイト系は磁性があります。
・ヤング率(縦弾性係数)kgf/mm2
・剛性率(横弾性係数)


機械的特性
材料 引張り強さkgf/mm2 硬さHB
ステンレス鋼板SUS304     59  150
普通鋼板SPCC     33   70
アルミニウム板1100-O      9.5    25
純チタン     40  120 

1.引っ張り応力に対して どの程度強いかを示す引っ張り強さ、0.2%耐力
2.延性を示す伸び、絞り、曲げ
3.硬さ
4.じん性を示す衝撃値
5.高温での強さを評価する引っ張りクリープ強さ、破断強さで評価される機械的な性質はステンレスの種類と温度により違いがあります。

高温における機械的特性
高温による「引張り強さ」の推移
温度 18−8 炭素鋼
100度 約85% 約102% 
300  75   95
500  70   50
600  60   40
700  40   30
800  30   20
18−8はクリープ強さでも優れています。

 各鋼種とも500度まではかなり高い引っ張り強さを示しますが、
 それ以上は強度の低下が著しくなります。


低温における機械的性質
 18−8系は極低温においてもじん性の低下がきわめて少なく、シャルピー衝撃値も100〜−200度で80〜100ft-1bにあり、SUS304では−269度における引っ張り強さが150kgf/mm2を示し伸びも30〜40%と優れています。


◎ステンレスの加工、表面処理 
 オーステナイト系は伸び値が大きいため過酷な曲げ絞り加工を行っても割れにくいですがフェライト系やマルテンサイト系は割れやすい性質があります。
 切削加工には303などの快削ステンレス鋼を利用します。
 一般のオーステナイト系は加工硬化が激しく、熱伝導が悪いので工具も摩耗しやすく扱いにくいものになります。
 溶接加工では、オーステナイト系では普通鋼よりも熱膨張計数が50%大きく熱伝導率は半分以下ですので、工作物がひずんだり割れができたり内部残留応力が大きくなったりしますので、特性にあった溶接方法をとることが大切です。また、オーステナイトの場合は、450〜850度に長時間さらされるとステンレスの中のクロムが炭素と結合し結晶内からでて、結晶粒の間にたまる性質があり、その部分のクロム量が減ると耐食性が劣化してしまいます。
・耐食性を保つためには、不動態皮膜を保持することが大切で表面を綺麗にすることが必要です。
・ステンレスの研磨には、ベルト、バレル、バフなどの機械による研磨と電解研磨が利用されています。
・ステンレスへの電気メッキは、表面の不動態皮膜を除去する活性化という処理をして、すぐにメッキを施します。活性化処理は10〜30%塩酸に浸ける方法と、20〜50%硝酸を70度に加熱して浸ける方法があります。ステンレス表面に高温で金属または非金属を拡散浸透させる拡散メッキのアルミ拡散メッキは高温腐食にきわだった抵抗力をもちます。また、PVD(物理蒸着)CVD(化学蒸着)といった方法でも表面処理されるようになりました。

◎ステンレスの用途
 ステンレスはネジをはじめ、ありとあらゆるところに使われています。目立つところでは、電車のステンレスカー、タンクローリー車。身近な所では腕時計のウラ蓋、フロや流し台、手すりなど。そして、病院の各器具や施設、工場のプラントや食品設備にも。 その他、焼き入れのできるマルテンサイト系では刃物、タービンプレード、シャフト、ノズル、ベアリング、タッピングやドリルビスの全体、または刃先に利用されています。
 
・ステンレスを上手に使うポイントは 綺麗にしておくことです。サビを防ぐ不動態皮膜を造るためには、表面が綺麗で酸素が供給されていることが重要です。仮に錆びてしまっても、その部分を細かい紙ヤスリ等で削って洗い流せば自身の力で復活させることが出来ます。
さびず、強く、美しく 
ステンレス鋼(Stainless steel)とは文字通り、「さびない、汚れない」という意味です。ステンレスほど急速に近年一般化した素材の例はあまり見当たりません。安定した需要の伸びの理由は、やはり「腐食に強く、外見に勝り、強度に優れる」という三拍子そろったステンレス鋼の持つ特性が広く評価されるようになったからだと思われます。

 ステンレスと言っても実は色々な種類がありますが、大別するとクロム系が2種類、クロム・ニッケル系が1種類の合計3つになります。それぞれの特性はかなり違ったものです。最も標準的なのがクロム18%、ニッケル8%を含む18−8ステンレスです。実はここ数年の傾向として、汎用素材として主流を占めていたこの18−8ステンレスは、むしろ減少の兆しです。その代わりとして最近特に顕著なのが、含有量を変えたステンレス鋼の受注です。

 例えば、典型的なものとして関西国際空港旅客ターミナルビルの「スーパーステンレス」があります。クロムの含有量を30%に高め、モリブデンも2%加えて耐蝕性を強くしたものです。潮風にも負けない耐蝕性への要求からです。千葉県幕張メッセの大展示場の屋根も、クロム22%、モリブデン10%を加えたステンレスになっています。

 平成8年に完成して話題を呼んでいる東京都の臨海副都心の、東京国際展示場でも屋根材はステンレスで施工されていて、いまや臨海部の大建造物はステンレスが主流の観を呈しています。また、私たちの住生活の面でも物干し台、伸縮竿、炊飯器材などヒット商品が続出して、強い、清潔、保ちがよい─というポピュラー材として広く普及しています。

金物分野でもその特性を活かして、積極的に応用しています。以前は普通鋼であったものをステンレスに改善していくものが多数あります。その多くはJIS適合のSUS−304またはSUS−430が用いられています。皆様もお仕事の際一寸細かく観察して頂ければ、取り付けネジ1本に至るまでステンレスが金物部品の分野でも活躍していることがお分かり頂けるものと思います。

 素材の輸出ということは資源に乏しい我国では例外に属することですが、ステンレス鋼の輸出は特筆に価します。鋼鉄大手11社の受注量の筆頭は輸出で、全体の1/4を超えて27.8%に達しています。まさに国際商品と申してよいでしょう。内需分野では家庭用および業務用機械・器具が13.3%を占め、次いで建設用10.2%、産業用機械・器具の5.9%など、言うなれば「使われていない分野は、まず無い」というように考えてよろしいかもしれません。

ステンレスの特性を活かして、私たちの生活全般の機能化が進めば進むほど、1912年に発明された当時の「夢の素材」はまた新しい含有量の研究がなされて、ますます期待される未来素材として発展していくのではないでしょうか。 (吐夢僧也)


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