水のよそもの館③  


感動のカナダ厨房旅行記

 紅葉の始まりのカナダへ夢見心地で2004年918日出発。

安いツアーのため、一旦デトロイトへ中継しモントリオールへと行った。

添乗員さんが言うには「アメリカへの入国は旅行カバンに鍵を掛けてはいけない。

ベルトでよく締めておいてください。」との事。11時間余りの長いフライトは窮屈だったけれど、これからが始まりと思うとわくわくした。

確かにニュースで見ていた通りアメリカ入国は検査が厳しい。靴、上着を脱ぎセキュリティゲイトを通り抜ける。ツアー仲間の男性は警報が鳴り、ベルトを取り時計をはずして再度やり直し、私は手荷物のバッグで警報が鳴り大男の警官がすぐさまバッグを検査する。

財布、カメラ、ティシュ、ハンカチ何から何まで大きな手でかき回す。最後にバッグの内ポケットから旅行カバンの鍵を見つけて、オーケイと言われた。

一先ずホットして、デトロイト空港の中を歩き回った。ちょうどお昼でフライト時間には間があったので、食事をする事にした。さっぱりしたものが食べたいと友達と意見が合いうどんを食べる事にした。そこはひとつのフロアにいろんな店が入っているところだった。コーヒーやハンバーグに混じって武蔵と漢字で書いた店があった。
 メニューに「すうどん」があったので食べてみたら、細麺につゆはなみなみと、ナルト、モヤシ、刻み葱が入っていた。アメリカですうどんが食べられるとは感激したが、スープのだしが違って美味しいとは言えなかった。でも、巻き寿司もパックで売っていたし、免税店は漢字で看板が出ていて、買い物好きの日本人を待っているかのようだ。
 友達はその作戦に乗りハンドバックを購入。搭乗券があれば免税でしかもクレジットカードならサインだけで物が買える。ちょっと高額でもドルを円に換算してみるがピンと来ないうちにもう買ってしまっている。ついお金の感覚が鈍るような気がする。

モントリオールへは1時間半くらいのフライトであっという間に到着し、バスでロ−レンシャン高原へ向かった。ホテルへ着いたのは8時半頃。長い一日が終わった。

ホテルはこぎれいで部屋は広くベッドはセミダブルで、寝るだけだから充分だった。しかし小腹がすいて何か食べたいと冷蔵庫を開けてみたが空っぽでビールもジュースもない。

カナダの水は飲んでも大丈夫だけれど沸かしたほうがいいと添乗員さんのアドバイスを思い出し水を電子レンジで沸騰させた。インスタントコーヒーを飲んで空腹をしのぎベッドに入った。



さあ観光の初日。素晴らしい快晴だ。残暑のきびしい日本から来たからか15度はむしろ寒かった。ホテルの従業員の方の吐く息が白く見えた。

朝食は皆お腹が空いていたのか予定時間より早く食堂に集まっていた。あまりの混雑に時間をずらして行ったら食パンが数枚、パンケーキにメープルシロップ、バナナと小さなりんごがあっただけ。他の日本人旅行者も一緒だったので早い者勝ちだったようだ。

仕方なくコーヒーと食パンをトーストして食べ一息ついた。りんごをかじった仲間はまずいといいながら食べていたので、リンゴは止めてバナナにした。日本と比べてリンゴは小ぶりですっぱくて実が固いようだ。

バスに乗っていよいよ紅葉のローレンシャンへ・・・・がまだ紅葉には時期が早くカナダ特有の赤く染まった紅葉は見られなかった。でも空は雲ひとつ無く晴れ渡りトレンブラン山の頂上からはいくつもの湖と森が見え飛行機から見下ろしている気分だったが、オプションで飛行遊覧を楽しんだ人達は奥のほうは紅葉が見え絶賛していた。

ちょっとオプション代をケチって飛行機に乗らなかったのは失敗だった。

ここはスキーリゾート地で冬はスキー客でとても賑わうそうだ。無料のロープウウェイに乗ったらとても気持ちよく四度も乗った。日本なら恥ずかしくてできない事も気持ちが開放されて童心に返ったようにはしゃいでしまったのは何故だろう。

午後はトレンブラン湖のボートクルーズ。透き通るような青空でトレンブラン山が紅葉していたら大満足だが、トレンブランの街並はまるで絵画のように美しかった。

待ちかねたお昼は船の中でのお弁当だった。前の日から食事らしいものはしてないので期待が膨らんだ。おかかのふりかけをかけたおむすびとシソのふりかけのおむすび2個に缶詰の焼き鳥と玉子焼きが一切れ、たくわんと芝漬けがついていかにもお弁当だったが、おむすびに味がなく、ごはんが固く握られていてまずくてほとんどの人が残していた。日本人専用に用意したものだろうが、これが日本食と思われたら残念である。

ここはケベック州になるので消費税が非常に高い(17%)のには驚いた。トレンブランビレッジには軽井沢のようなコーヒーショップやおしゃれなお土産屋など道路の両側に立ち並んでいた。あるお店に日本人の店員さんがいて年が息子と同じといい「母にも送ったんですよ。」の一言についマフラーを買ってしまった。毛布のように厚ぼったくて東京の寒さに向くのかと思ったりもしたが、異国で頑張っているほっそりした小さな日本人の女性に背中を押されて買ってしまった。

それにしてもレシートを見ると商品代金の他に税金が州によって違うため2行も印字されて合計で17%になり日本の5%の消費税は安いと実感した。

その後オタワにバスで移動した。国会議事堂は青空に青銅の屋根が映えまるでお城のように美しかった。また歴代の国会議員の銅像があり、その中の一つに靴を触って願い事を頼むと願いが叶えられるという言い伝えがあるというので、皆で次々に靴を触って願い事をした。   

その後オタワ最大のバイワード・マーケットに行った。野菜、果物、花、メープルシロップ・・・等、生活必需品は何でも揃いそうだ。それに消費税は無し、値段も安かったので皆お土産を買い込んだ。私もメイプルバターとクッキーを買った。お店の人は親切でいろんな試食をさせてくれた。なんとみかん箱くらいのダンボールに一杯お土産を買った人もいた。

夕食はマーケットのそばのサーモン専門レストランでサーモンステーキを食べた。

サーモンはバターでソティしてあり美味しかった。付け合せはバターライスとにんじんグラッセ。それからミネストローネがついてきた。その日初めてアイスワインを飲んだ。シャンパングラスに二口で12カナダドルを支払った。とても甘くて量が少なくて高いと思ったが製造工程を聞いて驚いた。

真冬零下20度くらいの気温で凍ったブドウを搾って出来たのがアイスワインという事だ。

凍ったぶどうは干しぶどうのように水分がなくなっているので、果汁の一滴一滴を搾るのがたいへんな作業なので高価なのだとか。レストランの中は鮭の魚拓、昔の魚とりの道具、いろんな国の国旗など天井に飾ってあり雰囲気がよかった。難をいえばトイレはあまりに簡易で衛生的ではなかった。その日の宿泊はカナダの首都オタワだった。夜9時頃ホテルに着いたので外出は止めたが、元気のある人はオタワの街を散策に行ったらしい。



 観光2日目はオンタリオ湖にバスで向かった。サウザンアイランドのクルーズのため行列で並んだ。並びながらもフランス語、中国語が飛び交い賑やかだった。中国人の親子ずれや、旅行者が目立った。大きな声で話し、大声で笑いとても元気だった。
 世界の大富豪たちが所有する島々、皆がため息を漏らしたヴォルトー城は中でも豪華で美しかった。妻のために建てたそうだが、妻は城に住むことなく亡くなられてしまったとか。少し雲が出て
いたが、ひんやりとつめたい風が心地よくすばらしい島々の景色と建物を一時間ほど楽しんだ。

その後ロックポートと言うレストランで昼食をとった。洒落たフードバーに山盛りのスパゲッティ、サラダ、ローストチキン等がありバイキングスタイルで好きな物を選べるのが嬉しい。クルーズが終わって200人くらいの人がほとんどそこで食事をするようで、山盛りの料理がたちまち空になり次々に新しい料理が湯気を立てた。
 味はそこそこで満腹になってバスでナイアガラへと向かった。ホテルへ夕方到着し初めてツアーお決まりのお土産や巨泉の店に入った。ノータックスと言う店員さんはとてもにこやかで親切だが価格設定が高め。旅も終盤なので皆でお土産を見つけた。 カナダのサーモンなら美味しかろうとスモークサーモンを競って買った。これがひどかった。日本で買うスモークサーモンと違い鮭缶の真空パックだった。お土産として差し上げるには味も悪く、友達は猫の餌にもならないとぼやいていた。お土産の予定がくるったのは言うまでもない。

ホテルからは真下にカナダのナイアガラが眺められ、カジノのネオンも見えた。夜はライトアップされたナイアガラが、赤、青、黄色、・・・・に染められる。雄大な自然というよりもショウアップされた景色だった。

 夕食は滝が見えるレストランでハーブの利いたチキンに生人参の千切りとレタスサラダ。量は多いが繊細さが無く、気になるのは三食必ず入ってくる人参の多さ。しかも生の人参は少し乾いて固い。カナダの人は人参が好きなのか?味はともかく色とりどりに変わるナイアガラの滝を目の前にしての食事はいいものだ。
 カナダビールとアイスワインで乾杯をした。アイスワインは
10カナダドル、ビールは5.5カナダドルくらいだったと思う。夕食の後皆でカジノに行ってみた。天井が高くシャンデリアやオブジェで飾られて美しい。ラスベガスほどの華やかさはないが、カジノが出来て冬場閑散としていたナイアガラは観光客で賑わうようだ。添乗員さんに教えてもらってスロットを楽しんだ。最低1セントからスロットで楽しめる。仲間の一人は1セントで100ドルを出し嬉しそうにすぐホテルへ戻っていった。私もと試してみたがコインはあっという間に底を突いた。

 カジノの中には高級ブティックやレストランがあり見て歩くだけでも楽しかった。入ってみたいところはすでに閉店していたが、ユニークなファーストハンドという名のアクセサリーの店に入った。値段は割安だが高級感がありセンスもよかったので友達にお土産を買った。ナイアガラは15%の消費税がかかった。州によって税金が違う。


 観光3日目は旅のメインとも言えるナイアガラ瀑布見学。長い列を作り青いカッパを着て霧の乙女号を待った。船が滝に近づくとキャーキャーと歓声が聞こえて来た。待ちながらやはり帆先に行くべきだと思い、幸運にも列の前だったのでいいところを確保できた。味わってみれば一瞬の事だが、霧とゴォーという滝の音のみ聞こえ土砂降りの雨の中といった具合。夢中でカメラのシャッターを押した。とても暖かい日で滝のしぶきが気持ちよかった。

カナダ滝とアメリカ滝はゴート島で分かれている。カナダ滝の水量は多くコバルトブルーの色が美しかった。何人もの人がこの滝に落ちて命を落とし、数人は奇跡的に助かったらしい。

ランチは瀧レストランという名の日本食レストランだった。内装に凝った店で日本画、石仏、大きな天狗のお面・・・等日本を意識して高級感を出していた。障子にまで毛筆で書が画かれ、やや度を越している気もするが久しぶりに美味しいごはんを食べた。日本でなら普通だろうが、カナダなので天ぷらも味噌汁も美味しく感じた。

その後ワイナリーでアイスワインを試飲して自分用にボトルを買った。添乗員さんの計らいでナイアガラオンザレイクを散策した。時間が無いという事で時計を見ながらだったが、グレーブスのチェリージャムを買い(このジャムはお砂糖だけで添加物が何も入ってないという・・・お薦めの一品。ほんとにパンにも紅茶にも合う)、アイスクリームをほおばりながらエリザベス女王が気に入られたというホテルを見た。道路の両側に色とりどりの花が咲き、のんびりと歩きたかったが早足で歩いた。帽子屋、紅茶専門店、インテリアショップ・・・等小さなおしゃれな店がたくさんあったので、もう少し見て見たかったが時間がなくなってしまった。

最終宿泊地トロントへとバスで向かった。トロントの町は車窓から眺め、世界最高の高さを誇るCNタワーは上れず、ガラスの床からの眺望は断念した。

最後の晩餐は中華料理だった。結構大きな中華レストランでスープから始まり、前菜、炒め物、揚げ物、北京ダック、杏仁豆腐まで出てきて味もまあまあだし満足した。

北京ダックはパリットとしていて甜麺ジャンと葱をくるんで久しぶりに食べた。テーブルの傍でコックさんが巧みに皮をそぎ落とす実演も見事だった。

いままででは一番美味しい食事だった。

 最後のホテルはトロント空港に近いラディソンホテルだった。

帰国は朝の5時半集合と言われウツウツしているうちに起床の時間になった。ほんとに駆け足の旅行だった。またデトロイトに飛んで、成田に向かった。


また一日掛けて日付変更線を通って一日分余分に年を取った。カナダに着いたときは一日若返ったのに。11時間あまりの飛行機は足の短い私でも足の置き場に困るほど疲れた。

ただ、隣の席にアメリカ人のハンサムな22歳の背の高い青年がお行儀良く座っていたので、あまり動くのも気が引けた。彼はノバの英語教師になるために日本に向かっていた。とても笑顔が素敵で親切だったのでノバで人気の先生になるのではと思った。

降り立った日本は依然として残暑が厳しかった。短い間なのに無性に蒸し暑さと人ごみが懐かしかった。

このツアーの感想としては改めて日本のよさが見えた気がした。日本食の食器の選び方や料理の美しさは私が行った所のカナダには見られなかった。勿論安いツアー旅行なので、高級なレストランも行ってないし初めての旅で経験も無いから決め付けるつもりはもうとうない。

朝食はソーセージ、フライドポテト、スクランブルエッグは定番のように出てきた。しかもたっぷりの量と大きさで、少食の友達はいつも食べ切れなかった。

別にこの朝食が嫌いなわけではないが、これが毎日続いたら体重増加間違いなしだ。

仕事柄さすがにキャンブロの商品は目についた。ジュースディスペンサー、トレイ、ケーキカバーなど。レストランやホテルでつい食器やカトラリーに注意が向いた。

カナダの広大な自然と青空の美しさ、人懐こく親切な人々はとても印象的だった。水が豊富であろうにミネラルウオーターは以外に高く、清涼飲料水やジュースは安いのは疑問に思った。

日程にあと2日余裕があったら、本当はバンクーバーからエドモントンに立ち寄りたかった。

 シンコーの厨房用品を御鮨や開店のため何から何まで購入していただいた奥宮さんのお店に行ってみたかった。船便のコンテナに積み込んだ食器や座椅子またいろんな電気製品・・・などなど。長い船旅で無事にカナダの地でお役に立っているところをそっと覗いてみたかった。

 いつか機会があったら是非奥宮さんの握りを食べに行こう!! (貴美子)


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