洋白銀メッキ

Q 洋白とはどんな金属なの?
A 洋白という文字は日本語の辞書にはなく、正式には"洋銀""ニッケルシルバー""ジャーマンシルバー"と言いますが、業界や材料メーカー等も通常"洋白"と呼んでいます。銅、ニッケル、亜鉛の合金です。美麗な銀白色光沢、優れた加工性、耐食性を有します。また比重が大きく、感触が純銀に似ています。(ただし、洋白はメッキなしでは使用できません)代表的な洋白材・・銅62%、ニッケル14%、亜鉛24%

材  質

品  名

表  示(刻  印)

洋  白

洋   銀

ニッケル・シルバー

NICKEL SILVER

       ・E.P.N.S


※ E.P.N.S・・・Electro Plated Nickel Silverの略

Q 洋白銀器の特長は?
A ◇純銀製品と同じくらい品格があり、温かみのある製品になります。
◇銅が主成分の為、柔らかく、成形に自在性があり、細かい装飾も含めてデザインを強調することができます。
◇楽器に使われるほどで、食器、器物を取り扱うときに触れ合って出る音の響きは、快適かつ重厚あります。
◇手触り、口触りも良く、重量感があります。

Q 銀メッキとは?
A 銀の持つ独特の色調は古来より尊ばれ、金とならんで装飾品全般に使用されてきました。今日でも装身具、金属食器、喫煙具、メダル、楽器等に銀メッキが活用されています。フルート等の管楽器に銀メッキを施すと音色が良くなることや、金属食器に銀メッキをすることで水分中の微生物が殺菌され、衛生上きわめて好ましいことなど、銀メッキの目に見えない利点は案外一般の人には知られていません。反面、銀メッキの弱点は大気中の硫化物によって褐色に変色することがあります

Q メッキされる素材によって、銀メッキとの密着に違いは?
A ◇洋白
洋白も銀も非鉄ですから非常に相性が良いです。相性が良いことは密着も良いと言うことです。
◇ステンレス
ステンレス素材上へのメッキは大変難しいです。なぜならば、ステンレスを錆にくくしています不働態被膜が、メッキをする場合邪魔をするからです。それで昔はステンレスにメッキが付かないと言われておりました。しかし、現在ではメッキ技術が進歩し、ステンレスにも洋白上のメッキと差のない位、非常に密着の良いメッキをすることができるようになりました。

Q メッキの厚さについては?
A メッキ厚としましては、業務用製品においてほとんど第3種3.8ミクロンが使用されています。又、メッキ皮膜は使用により磨耗します。そこで、一つの考え方として、1年間の使用に対して1ミクロンのメッキ皮膜が磨耗し、3.8ミクロンの銀メッキが施してある場合は、3〜5年使用で修理をするのが基準です。
参考
銀メッキ厚JIS規格表1μm(マイクロメートル)=o
※1μm(マイクロメートル)=通称1ミクロンと呼ぶ

Q 銀の変色については?
A 銀は大気中の水分とイオウまたは硫化水素により硫化銀が生成し、褐色または黒く変色します。たとえば、卵その他イオウ含有食物やゴム中のイオウ等と作用して変色します。すなわち、マヨネーズ、卵等イオウ分を多く含む食物が付着した場合、なるべく早く洗浄しなければなりません。又、ガスレンジの排気等汚れた空気に触れた場合も変色しますので、保管場所にも気を付けなければなりません。この変色するという性質が最大の欠点と言えるかもしれません。
銀器の変色の主な成因
●「塩素+銀」化合物の生成
塩素系の漂白剤・殺菌剤の中の塩素分によって生成し、変色の成因となり腐食につながります。
●「タンパク質+銀」化合物の生成
魚肉・乳製品などと接触する時に「タンパク質+銀」化合物が銀器の表面に生成され、変色の成因になります。
●紫外線や湿気による化学変化
銀は紫外線や大気中の水分、硫化水素などと活発に化合して変質しやすい性質があり、表面が黄ばんだり黒ずんだりしてきます。
●「手脂などの脂肪+銀」化合物の生成
洋食器の柄の部分は付着した手脂などが除去しきれずに残った場合、変色の成因になります。
●「イオウ+銀」化合物の生成
ガスレンジなどから排出されるガス中や卵・マヨネーズなどに含まれるイオウ分によってイオウ化合物が銀器の表面に生成し、変色の成因になります。
●調味料はすべて化学物質
塩、胡椒、ソース、醤油など、すべて化学物質そのものです。料理には直接・間接これらのものがタップリ加えられています。

Q 変色防止については?
A 昔から銀の変色防止方法は色々考えられておりますが、すべての条件を満たす方法はまだありません。いくつかの方法はあります。
◇銀メッキの上にロジウムメッキを極めて薄くメッキする方法。
ロジウム・・白金族の一つで化学的に安定で、常温では変色することがなく、また非常に固く、変色防止にうってつけである。しかし、価格が非常に高価な点と色合いが冷たい点が欠点です。
◇クロメート処理。
クロム酸塩を主成分とした溶液中で電解処理し、化成皮膜を生成させる方法。安価で簡単だが、皮膜そのものは弱い。
◇透明樹脂塗装(クリアラッカー等)をコーテングする方法。
一番良い方法は、変色防止を施すよりも毎日お使いいただくことです。

Q 宴会用銀器の保管方法は?
A 保管時に布団圧縮シートの要領で大きなビニール袋に入れて掃除機で中の空気を抜けば、ある程度変色防止に役立ちます。その際、乾燥剤を入れればより一層効果があります。

Q 銀メッキ製品はすべて修理できるの?
A 基本的にはほとんどの物は修理可能です。ポットのへこみ、ハンドルの取れ、淵巻の取れ等もある程度修理することができます。ただし、ナイフ等ホーローハンドルに深いキズがつき、小さい穴があいたようなものや、非常に深いキズや穴がある物はできません。又、デザインの模様が細かい物は、研磨の時に模様がなくなったりしますので、修理には限度があります。

Q 変色を防去する方法は?
A なるべく変色させない方法と容易に変色を取り除く方法は次のとおりです。
◇使用後はできるだけ早く洗浄する。洗浄せず一晩中放置しておくことなどは禁物です。
◇良く洗浄し、良く乾燥すること。必要に応じて拭き取り乾燥を行う。水滴が残ったままだと、そのままシミになり跡が残ることがあります。
◇保管に際しては、なるべく空気と触れないようにする。またレンジの近く等空気の汚れているところは避けるようにする。長期間の保管は、ビニールの袋等にいれ、中の空気を抜くことも効果的です。
◇銀磨き剤を使用して、手作業にて拭き取る方法。
確実にきれいにすることはできますが、ひじょうに労力を必要とします。また、模様の中などは除去しにくくなります。
◇浸漬するだけで変色除去ができる洗剤を使用。
非常に良く取れますが、液温度や浸漬時間等の管理が必要となります。なかにはその管理を間違うと、逆に銀にダメージを与える場合もあります。
◇洗剤とアルミ箔を使って浸漬し変色除去する方法。 



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