管材資料館⑤  


そもそも「住まいの金物」とは?  一口に金物といっても広い
「住まいの金物」の用途別種類
建具金物    開き戸・・・・ドア錠、取手、蝶番、ドアクローザ、その他
引戸・・・・引戸錠、引手、戸車、レール、その他
折戸・・・・吊り車、レール、蝶番、その他
窓・・・・・・ステー、蝶番、その他
家具金物  収納家具・・・(扉)取手、蝶番、キャッチ、(引戸)引手、戸車レール、
(引出し) スライドレール、(本体)締結金具、その他耐震金具など
イス・テーブル等脚物家具・・・キャスター、締結金物、その他
上記以外の
住まいの金物
フック、棚受金具、ねじ、その他


.「住まいの金物」のおもな用途と機能
  用途と機能 金物の種類
戸を手などで開閉するための金物 ドアノブ、取手、引手、その他
戸を円滑に開閉させるための金物 (ドア)蝶番、(引戸)戸車、(引出し)スライドレール、その他
戸を安全に開閉させるための金物 (ドア)ドアクローザ、(引戸)ブレーキ付き戸車、
(引出し)ストッパー付きスライドレール、その他
戸を正常な位置に止めておく金物 (ドア)ドアクローザ、戸当り、キャッチ、(引戸)関止め、その他
振動等によって戸が勝手に開くことを防止する金物 開扉防止金具
防犯等の目的により戸を締めておく金物 ドア錠、ドアチェーン、内掛け金具、その他
椅子や机の使い勝手を向上させるための金物 キャスター、アジャスター、甲板昇降金具、その他
収納、整理、陳列のための金物 フック、洋服ハンガー、棚ダポ、その他
装飾のための金物 和家具の前飾り金具、取手その他多くの金物
キャビネットの中の快適性を保持するための金物 防虫用パッキン、通気孔金物、その他
組み立てるための金具 蝶番、締結金具、ねじ・ボルト類、その他
取り付け作業の向上を目的とした金物 調整蝶番、抜差し蝶番、調整戸車、前板調整金具、その他
戸の反りを矯正する金物 戸の反り矯正金具
安全のための金物 家具転倒防止金具、その他
金物を取り付ける専用工具 スライド蝶番専用工具、その他


亜鉛ダイカストの知識

 鋳造しやすい亜鉛合金を使用し圧力を加えて鋳造した鋳物である。亜鉛合金自身はJIS H2201に規定されたダイカスト用亜鉛合金塊を使用し、JIS H5301の化学成分規定に合格したものを言い、この規格に不合格のものは亜鉛ダイカストとは呼べない。亜鉛ダイカストは正確には亜鉛合金ダイカストと呼ばれるべきであるが、通常はホットチャンパを用い溶湯に直接圧力を加え、その圧力に耐える機構をもつダイカストマシンに目的にする形状・寸法型を取付け、その金型内の空隙に溶湯を圧入してできた製品をいう。


亜鉛ダイカストの特徴

 亜鉛ダイカストは鋳物ではあるが、通常の鋳物とは異なり圧力を加えているため、薄肉鋳物でも十分に溶湯が充填すると、金型成型のため寸法精度が高く、滑らかな表面、微密な結晶組織となり、その機械的性質は高く、鋳物に関わらず曲げ、ねじり、かしめなどの後加工もできる。このためダイカスト法は多方面に利用され、能率的でかつ効果的な生産方法の一つである。亜鉛ダイカストの場合には、他の生産方法が多くの個々の構成部品と生産段階を必要とするのに比べ、いくつかの機能を一つの亜鉛ダイカスト部品で満たすことができる。肉厚0.8mm程度の鋳物を作る事ができるので、鉄板のプレス成形、溶接による組立部品を一工程で鋳造できる。
 このほか広範囲の表面処理(電気メッキ、塗装、化成処理、陽極酸化など)ができるほか、切削も容易であり、おねじ、めねじの鋳造もでき、また種種の模様を経済的にうけうる。しかし何といっても薄肉にして寸法精度が高く、しかも高速度鋳造ができるほか、低融点合金のため鋳造温度が低く、金型寿命が長くかつ省エネルギー的であり、高い生産性を含め経済的利点が大きい事である。

亜鉛合金の特徴(まとめ)

ダイカスト用の合金です。
ダイカストとは溶解した合金を鋳型に流し込んで高圧を加えて成形する方法で、複雑で精度の高い成形品が大量に、高速度に生産されます。

ダイカスト用亜鉛合金は1907年にはじめてつくられました。
その後品質改善がされてZAMAK合金が誕生し、アメリカでは数十年以上前から使用されていました。その後ZAMAK7が作られています。

JIS規格の亜鉛ダイカストにはZDC1とZDC2があり、
特にZDC2は
1.鋳造性がよいこと
2.メッキが容易なこと
3.機械的性質がすぐれ
4.寸法の安定性がよいこと
5.生産性が高いこと
 などの特徴を有し、日本ではダイカストの王者として君臨しています。

亜鉛合金ダイカストの成分表 (JIS H5301) Pb=鉛、Cd=カドミウム
記号 化学成分表
Al Cu Mg Zn 不純物
Pb Fe Cd Sn
ZDC1 3.5-4.3 0.75-0.25 0.03-0.08 残部 <0.007 <0.10 <0.005 <0.005
ZDC2 3.5-4.3 <0.25 0.02-0.06 残部 <0.005 <0.10 <0.004 <0.003
 亜鉛ダイカスト用合金ZDC1とZDC2の差は、銅含有量にあり銅は硬さと強さを向上させるのに役立ちますが経年変化により機械的性質が低下し、寸法変化が大きい欠点があります
 この為日本では銅含有量の少ないZDC2が主力となっています。

アルミニウム合金について

 アルミ合金のうち純度99.0%以上のものを純アルミニウムと呼び、また種々の元素を添加して合金としたものをアルミ合金と呼んでいます。いずれも純アルミニウムにない特性が付加され、様々な分野で活用されています。
 アルミ合金は、最終製品の色々の要求や用途に必要な性質によって、板、形、棒、線、鋳造品に加工する展伸用合金と鋳物、ダイカストなどの鋳造用合金に大別でき、また非熱処理合金、熱処理合金としても分類できます。
 非熱処理合金とは、圧延など主に冷間加工と添加元素の効果によって強度を高める事ができる合金です。一方、熱処理合金とは、溶体化(焼入れ)や(焼きもどし:添加元素による微細な金属間化合物の析出によって材料の強さ、硬さなどが加熱とその時間の経過で向上する)などの熱処理でより高い強度が得られる合金を言います。ただし、熱処理合金も熱処理の後で、強度をより高くするために冷間加工を加えることがあり、非熱処理合金でも、加工ひずみを除去する焼鈍や安定化処理と呼ぶような広義の熱処理を行ったりします。
 これらの合金は、主な添加元素の種類によってさらに数種の合金系にわけることができます。

アルミニウムおよびアルミニウム合金
アルミニウムは工業的な製法が発見されてからまだ100年しかたつていないが、現在でばその生産量は鉄に次いで金属材料中で第2位であり、工業的に幅広く用いられている。これはアルミニウムが工業材料として多くの長所を有するためである。
(1)軽い・・・比重は2.7で鉄の7.8の約1/3である.このため航空機、車両での軽量化には欠かすことができない材料である。
(2)強い・・・合金の種類や熱処理、加工硬化によつて最大60kg/mm2までのものが得られ、しかもその選択の輻が広い。
(3)耐食性がある・・・空気中でできる酸化皮膜が内部を保護するため、鉄鋼材料のように赤さびを生じるようなことはない。
(4)加工性が良い・・・展延性に官み板や棒、箔など種々の形状の製品を作ることができる。特に押し出しでは、サッシのような薄肉で複雑な断面形状が容易に得られる。また切削も容易で、鋳造でも生産性が高い。
その他溶接も可能で、熱伝導、電気伝導性にも優れ、鋼のような低温脆性もないなどその工業材料としての長所は多い。
一方次のような短所もある。
(1)剛性が低い・・・縦弾性係数(ヤング率)は、鋼材の1/3の約7000kg/mm2しかない。
(2)高価である・・・合金にもよるが一般に価格は鋼材の約5〜8倍で、またその市場価格は変動が大きい、しかし比重が1/3なので体積あたりでは約2倍程度となる。
(3)高温に弱い・・・融点が鋼材の1/2以下(純アルミニウムで660℃)であり、200℃以上での高温強度はほとんど期待できない。このため使用温度には十分配慮する必要がある。
 このほか安価な表面硬化法がなく耐摩耗性では劣つている。アルミニウムは多くの合金種を持ち、また熱処理と加工の種類によってその性質が大きく変化する。このため使用目的に応じて合金種や製造方法を選定する必要がある。
 アルミニウム合金は圧延、押し出し用の展進材と鋳造用の合金に大別され、合金元素によつて分類される。
 そしてそれぞれ熱処理(時効処理)により機械的性質を調整できる熱処理型合金と、熱処理による機械的性質の改菩ができない非熱処理型合金がある。
アルミニウム合金展伸材の特徴と用途
 展伸材というのは、プレスや鍛造や押出し加工用の材料です。
1000番系から7000番系まで添加元素の違いによって分けられています。
系統 合金系 熱処理 特   徴 用途
1000 純Al 非熱処理型 99.0% 以上の純アルミニウム系合金で、他の合金に比べ一般に軟質である。耐食性良好で、表面処理性・成形加工性に優れている。 装飾品・ネームプレート
反射板・工業用タンク
2000 Al-Cu 熱処理型 熱処理により硬化できる時効硬化型アルミニウム合金の代表で、ジュラルミンとしても知られている。 2017…航空機用材料
2014…高強度鍛造材
2011…快削合金として
     機械部品
3000 Al-Mn 非熱処理型 1000系より強度が幾分高く、成形加工性、耐久性が良好である。 カラーアルミ・電球
口金・アルミ缶
4000 Al-Si 熱処理型 熱膨張係数が小さく、溶融温度が低い。硫酸陽極酸化により灰色に自然発色する。 鍛造用ピストン材料
ビル外装パネル
5000 Al-Mg 非熱処理型 熱処理により強化できない合金であるが、強度があり、成形加工性、耐食性が良好である。船舶によく使用される。 5005…車輌用内装材建材
5083…船舶・車輌の溶接
     構造材
6000 Al-Si-Mg 熱処理型 熱処理型の合金で、強度もあり、耐食性も良好である。 建築用サッシ、機械
自動車部品・船舶
車輌構造組立材
7000 Al-Zn-Mg 熱処理型 熱処理型の高力合金で、高強度材としての構造材、構造部品に向いている。航空機部品、オートバイ部品によく用いられる。 航空機、車輌
スキーストック
8000 その他
Al-Liなど
熱処理型 高強度が得られ、航空機材料などに適用される。
アルミニウム合金の呼び方
耐食アルミニウム合金:1000系、3000系(3003) 、5000系(5052,5056,5083,5005,5154)、6000系(6061, 6063, 6151, 6N01)
耐熱アルミニウム合金:2000系(2018,2019,2020)、4000系(4032)、Y合金、RR合金、SAP
耐摩耗アルミニウム合金:4000系、Al-Si 鋳造合金(シルミンなど)、Al-Sn 合金
高力アルミニウム合金:2000系(2014,2017,2117,2024,2025)、7000系(7075)
ジュラルミン(1907年):2017(Al-Cu-Mg)
超ジュラルミン:2024(Al-Cu-Mg)
超々ジュラルミン:7075(Al-Zn-Mg)
Y合金:AC5A,2018(Al-Cu-Ni-Mg)

アルミニウム合金鋳造材
の特徴と用途
 鋳造材というのは鋳造用の材料で、鋳造材についても、鋳造性とか強度とか耐蝕性など求める目的によって多くの種類が揃っています。
おもな用途は、エンジン部品・軸受・ピストン・椅子など。
また、アルミニウムは融点が低いことからダイカストにもよく使われています。
おもな用途は、カメラのボディ・オートバイ部品・自動車部品・産業機械部品など。
記号(合金系)
特性
用途
AC1A・AC1B
(Al−Cu系)
 強度が高くじん性があり電気伝導性もよい。耐食性・鋳造製に劣る。 送電用金具類
自動車部品
AC2A・AC2B
(Al−Cu−Si系)
 Al−Cu系にSiを加えて鋳造性を改善した合金で”ラウタル”とも呼ばれている。強度・耐熱性に優れるが耐食性は劣る。 シリンダーヘッド
クランクケース
クラッチハウジング
AC3A
(Al−Si系)
 ”シルミン”とも呼ばれ、複雑な形状・肉薄の鋳造に適するが、耐力は劣る。 ケース、カバー
カーテンウォール
AC4A・AC4C・AC4CH
(Al−Si−Mg系)
 Al−Si系にMgを加えて、高い強度とじん性を与えた。Cuを含まないため耐蝕性もよい。 エンジン部品
機械構造用部品
AC4B
(Al−Si−Cu系)
 鋳造性・引張り強さは優れているが、伸びは少ない。 クランクケース
シリンダー
AC4D
(Al−Si−CuーMg系)
 鋳造性・機械的性質がよく、耐圧性を要するものに用いられる。 水冷シリンダーヘッド
エンジン用ケース
AC5A
(Al−Si−Cu−Mg系)
 ”Y合金”とも呼ばれ、耐熱性がよい。 空冷シリンダーヘッド
AC7A・AC7B
(Al−Mg系)
 ”ヒドロナトリウム”の名称で耐蝕性・陽極酸化処理性が優れていることで知られている。じん性はよいが鋳造性は悪い。AC7Bは経年変化によりじん性低下。 船舶部品
事務器、いす
取手、彫刻素材
AC8A・AC8B・AC8C
(Al−Si−Cu−Ni−Mg系)
 鋳造性良好、耐熱性、耐摩耗性に優れ膨張係数が小さい ピストン、軸受
プーリー
AC9A・AC9B
(Al−Si−Cu−Ni−Mg系)
耐摩耗性や高温強度に優れ、熱膨張係数はさらに小さい。 2サイクル用ピストン

アルミニウム合金ダイカストの一般的性質と用途
 アルミニウム合金ダイカストは鋳造用合金に比べ、流動性や伸びに優れた性質を有し、一般的には熱処理を必要としません
記号(合金系) 特性 用途
ADC1
(Al−Cu系)
精密で複雑な薄肉の鋳物で、強度よりも耐蝕性が要求される部品に使用される。 カメラボディ
電装部品
ADC3
(Al−Si−Mg系)
鋳造性・耐蝕性・耐圧性のほか、特に引張り強さ・耐衝撃性にも優れている。 自動車の保安部品
(クランクケースなど)
ADC5・ADC6
(Al−Mg系)
非常にに耐蝕にに耐蝕性がよく、適度の強度と高い伸びを持つ。しか し動性が他の合に比べ てかなり劣るため、形状の簡単な製品に限られる。 猟銃引金座
カメラボディ、プロペラ
オートバイ部品
ADC10・ADC12
(Al−Si−Cu系)
鋳造性が良好で生産性が高い。しかも機械的性質の優れた耐圧性のよい製品もできるため、最も一般的に大量に使用されている。 自動車部品、光学部品
産業機械部品
家庭用器具など幅広く使用。

アルミニウムは軽くて丈夫な、省資源・省エネ材料
アルミニウムは、すでに今から5000年前に彩色土器の原料や薬などに使われていたも のの、金属としてはかなり新しく、19世紀になって初めて登場した金属です。
アルミニウムには他の金属に比べて多くの特性があり、特に近年では、省資源・省エネルギーに役立つ金属としてその使用量は上昇一途です。

 アルミサッシは気密性にすぐれているため、冷暖房を効果的にし、灯油や電気の節約に大きな貢献をしています。木製サッシと比べてみると標準的 な耐用年数18年のうちに1窓あたり灯油を1476リットルも節約できるといわれています。

 自動車もアルミニウムを使用することによって車体が軽量化され、その分だけ速度や積載量が増し、燃料の節約が可能になっています。エンジンや トランスミッションやホイールなど至る所に鉄鋼材料に替わってアルミニウムが使用されてきています。アルミニウムの使用による燃料の節約量は、 国内の小型乗用車の総数で計算すると、ガソリンにし1年間で20億リットルにもなる。
 東京の営団地下鉄の車体も、ステンレススチールからアルミニウムに切り替えて、半分以上も軽くなり、10%以上の電力が節約されています。

 東北・上越新幹線は、耐寒・大雪の必要から構体は全てアルミニウムであり、車内設備などの部分にも多くアルミニウムが使用されています。

 合金技術の進歩により、様々な特性を持ったアルミニウム合金が発明されており、将来がますます期待されている金属のひとつです。


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