水の歴史館(給水・下水)①-2     海外編


下水道の歴史(世界編) 

年号 主な出来事
(古代)
紀元前5000年頃 バビロン等で下水道ができる。(メソポタミア文明)
紀元前2000年頃 モヘンジョ・ダロの下水道ができる。(インダス文明)
紀元前600年頃 ローマで下水道ができる。
(中世)
1350年頃 ヨーロッパでペストが大流行する。
1370年 パリ(フランス)に下水道ができる。
(近世)
1740年頃 パリ(フランス)の環状大下水道が完成する。(ビクトル・ユーゴ「ああ無情」にも登場)
1760年頃 イギリス産業革命
1810年 水洗トイレがイギリスの都市で使われ始める。
1848年 ハンブルグ(ドイツ)に下水道ができる。
1848年 ロンドン(イギリス)でコレラが大流行する。
1858年 シカゴ(アメリカ)に下水道ができる。
1863年 ロンドン(イギリス)に下水道ができる。
1914年 活性汚泥法(微生物を用いた下水の近代的処理方法)の最初の処理場がイギリスにできる。
今から約4000年ほど前に古代インドの都市(モヘンジョ・ダロ)で下水道が作られています。
ここでつくられた下水道はレンガでできており,各戸で使い終わった水を集めて,川に流す役目をしていました。
その後,地中海沿岸の都市や古代エジプト,古代ローマなどで下水道が作られました。
 中世にはいると,ヨーロッパでは,し尿を農作物の肥料として用いるようになり,農耕の発展をもたらしました。
その一方で,都市人口の増加に伴い,汚物が街路に投棄されるようになり,都市の衛生状態は悪化し、ペスト等の伝染病が流行しましたが,下水道施設の本格的整備には至りませんでした。
 産業革命以後,人々がさらに都市に集中するようになると,し尿の処理に困り,し尿が道路や庭に投げ捨てられるようになったため,都市は深刻な不衛生状態になり,19世紀には各地でコレラなどの伝染病が流行しました。
 そこで、イギリスの首都ロンドンでは,1855年から下水道工事に着手し、それまでテームズ川に直接流していた下水を,下水道を通して,市街地より下流で流すようにしました。
また、ヨーロッパ各国やアメリカなどでも,下水道工事に着手するようになりました。
 その後,微生物を利用した下水処理法が開発され,汚れた水を清浄にしてから河川などに流すことができるようになりました。

◆ 下 水 道 の 歴 史 ◆       
歴史上、最も古い下水道は、今から約7,000年前(紀元前5,000年頃)にメソポタミアのチグリス・ユーフラテス河沿いにあったウル、バビロン、ニネヴェなどの都市に造られ、また、インダス文明の中心地モヘンジョダロなどにも下水道があったことがわかっています。
 これらの古代の下水道は、その末端が都市の区域外まで延びておらず途中に沈殿池を設け、最終的には地下浸透させていたのではないかと言われていますが、この下水道は、汚水を処理するものではなく沐浴などの儀式に使われた水のみを処理する施設ではないかと主張する学者もおり、本当のことはわかっていません。
 一方、日本においては、弥生時代(紀元前300年〜300年)に集落の周りを溝で取りまいた環濠というものがありました。基本的には、集落を守るためのものですが、上流からの水を受けて下流の必要な部分に放流していたと見られており、水田と連結していたと推定されています。
 また、環濠は、治水や用水、さらには雨水を排除するための排水路としての機能をもっていたと推定されます。
 また、し尿については、どのように処分していたのかよくわかっていませんが、大陸の文化の影響により、し尿を農耕に利用していたのではないかと言われています。その影響もあって、日本では昭和30年代頃まで、し尿は農作物の肥料として施肥されていました。
 このため、し尿は「宝」といった感があり、便所はくみ取式でした。これが下水道の発達を遅らせる原因ともなりました。
西暦 元  号 で き ご と
BC5000   メソポタミアのウル、バビロン、ラガシュ等で下水道築造
BC3000   モヘンジョ・ダロ、カーリーバンガン等の都市に下水溝、水洗便所築造
BC2900〜2700   メソポタミアの都市が発達し、下水道築造
BC2000   クレタ島の宮殿に腰掛式水洗便所がつくられ、配水管に接続される
BC2000〜1400   中国河南省淮陽県平糧台で配水管築造
BC1100   中国洛陽近郊の二里類で配水管築造
BC300〜200   秦の都威陽で5角形の管使われる
645 大化1 難波宮に排水溝築造
694 持統5 藤原京に排水溝築造
708 和銅1 平城京に排水溝築造
784 延暦3 長岡京に排水溝築造
1347 貞和1 全ヨーロッパでペスト流行
1370 建徳1 パリに最初の円天井の下水道築造
1583 天正11 大阪城に堀割築造(太閤下水)
1606 慶長11   パリに最初の下水主幹線できる
1728頃 享保13 ベルサイユ宮殿に最初の水洗トイレを設置
1750   セーヌ川に流入する開きょ式下水道築造
1848   ロンドンで便所の下水道への接続を義務とする
1873 明治6 東京銀座に下水管布設(側溝を暗きょ化)
1877 明治10 コレラ流行
1881 明治14 横浜区で下水道築造(石造り馬蹄形管で底部は松板)
1884 明治17 東京府神田下水施工
1894 明治27 大阪市、上下水道改良事業開始
1895 明治28 大阪市、本田抽水所完成
(わが国初のポンプ所)
1900 明治32 下水道法施工規則制定
1922 大正11 東京三河島汚水処分工場運転開始
1930 昭和5 名古屋市掘留熱田処理場運転開始
(わが国初の散気式活性汚泥実用化)
1934 岐阜市わが国初の分流式下水道事業に着手
1948 23 福井市で戦後初の公共下水道事業起工
HISTORY
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2千年前の排水溝、発見 西安

  西安市漢長安城長楽宮遺跡ではこのほど、今からおよそ2千年前のものと思われる、排水溝を発見した。
 これまでの調査により、掘り出された排水溝の長さは57メートル、配水管は五角形。
 当時すでに、排水システムがかなり整備されていたことがわかり、人々を驚かせている。

  「人民網日本語版」2001年3月30日


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