水の自然環境館①  


自然界におけるの大循環 
地球規模の水移動
    空⇒雨・雪など⇒山・平野・海・地下水⇒蒸発


地球上の水は、固体(氷)、液体(水)、気体(水蒸気)の三態をとりながら自然界を循環しています。
すなわち、地上や海面から水蒸気となって蒸発した水は、雲となり、雨や雪となって地表に落下し、河川水や湖水、あるいは海水となります。また、一部は地下に浸透して地下水となり、一部は直ちに蒸発します。

このように自然界を循環している間に、水はその優れた溶媒としての性質(ものを溶かす性質)から種々の物質を溶かし込み、天然の水源となって我々に接することになります。



天 然 の 水 源 の 分 類 
分類 - 主な性質
気象水 雨や雪など 接触する大気にもよるが、一般に純度が 
高く、酸素が飽和しており腐食性がある
陸水 地表水

地下水
河川水 
湖沼水 
浅所地下水、伏流水
深所地下水 、泉水
硬度、アルカリ度が比較的少なく、濁りや 
有機物は、地下水に比べて一般に多い 
地表水に比較して硬度、鉄分、シリカなど 
鉱物質が多く、有機物、濁度は少ない
海水
鉱物質、特に食塩分が多く2〜3%になる
◎浅所地下水:浅井戸、自由水などとも呼ばれます。30メートルより浅い帯水層から取水する井戸です。

◎深所地下水:深井戸、被圧水などとも呼ばれます。30メートルより深い帯水層から取水する井戸です。

◎伏流水:河川の底部や側部の砂利層に河川水が浸透し、地下水となってなって流れている水です。

◎泉水:地下水が自噴したものです。

地球上の水の循環  
水の循環速度(滞留速度)は
   ○ 水蒸気(雲や霧)で    9日間(  年40回の循環)
   ○ 植物(生物)で     16日間(  年20回の循環)
   ○ 土壌で         51日間(  年 7回の循環)
   ○ 地球上の全ての湖の水が入れ替わるまでに
                400年間(400年1回の循環)
   ○ 地下水は      1000年(1000年1回の循環)
   ○ 海水は       3000年(3000年1回の循環)
   ○ 氷(万年雪、氷山)は  1万年(  1万年1回の循環)と推定されている。
循環の期間が長い「湖沼」や「地下水」は自然回復が困難であり、特に地下水の浄化は手がつけられないため、汚染に対しては最善の注意と配慮をし、汚染防止に努めなければならない。
 ★注意事項 「酸性雨」と「埋め立て有害物質」「農薬散布」等

上水と下水とどう違うの?
 <高度浄水処理>
 取水→沈殿→ろ過という従来の過程に加え、オゾン処理と生物活性炭吸着処理の二段階を加えカビ臭の除去と微生物・吸着活性炭によるろ過を行うもの。
 <公共下水道>
 
市町村がその行政区域内のし尿、雑排水、雨水などを処理する設備。
 <流域下水道>
 
ニカ所以上の市町村と都道府県が、関係する水源流域の総合的水質保全のために共同で設置する設備。
 上水道はもちろん飲用しても良いような水質が確保されているものです。しかし、実際は飲用ほどの品質を求められない生活用水(食器洗い、トイレ、散水など)にもすべて上水が使用されています。これを、いわゆる中水(それほどの浄水処理を行っていないもの)の導入という安易な解決策にすりかえてはいけません。そもそもの問題点は、上水道の水質悪化にあるのではなく、下水道の「悪質な」利用によるものなのです。
 私達が気づかねばならないことに、たとえば東京都の場合を挙げてみましょう。河川の水質の悪化の原因は、生活排水と下水処理水でその96%以上となり、工業排水の3.2%とは比べ物にならないのです。
 私達の台所とトイレから流れていく水は、もう一度蛇口から出てくる水に他ならないということを忘れない事が大切です。

洗濯の水はどうなるの? 
<富栄養化>
 
湖や沼、池などで微生物にとっての栄養分(リン、窒素など)が増加傾向に転じる事。洗剤などの排水が現在の主たる原因。プランクトンが増殖して水質が汚濁する。

 午前中に生活雑排水が流れているドブ川の近くを歩いてみると、小滝になっているところから「白い泡」がボコボコと湧き上がっているのが見えることと思います。しかし、午後には同じ場所にはもはや泡の山は見当たりません。家庭での洗濯は、主に午前中になされるからでしょう。これほどひどい例は減ってきたといえ、直接に家庭排水が河川に流れ込んでいる地域はまだまだ多くあります。
 
 自分のものが綺麗になればいい、汚れた水は川や海、下水に流してしまえばいい。流れていった先を考えないならそれでもいいかもしれませんが水はもう一度自分のところに帰ってくるのです。
 そのまま飲める状態で排水しましょうとはいえませんが、せめて自然の力に見合った「人間一人一人の汚し割り当て分」だけにしようではありませんか。地球のメンバーの一員として。

湖沼の富栄養化について(詳細)

 水環境は、生物の成育、飲料、産業利水、エネルギー源及びレクリエーションの場として、人類をはじめ生物にとってとても重要なものですが、環境ホルモン等の有害化学物質による汚染と富栄養化の二つの問題に直面しています。
 水の汚濁にかかわる環境基準は、重金属のように人体に有害なものと、有機物による汚濁に関係するものの二つの区分からなっています。人体に有害なものの項目における環境基準の達成率は、河川、湖沼、海域のすべてにおいて九九%以上ですが、有機物汚濁に関する項目の環境基準の達成率は、海域と河川で七十〜八十%台、湖沼では四十%台と低い状況です。
 有機物汚濁に関連する被害として、貯水池における藻類の異常増殖による水道の異臭味、海域における赤潮による漁業被害、農業用水の汚濁による農業被害が挙げられます。特に、水道の異臭味は全国で一千万人の被害があり、異臭味だけでなく藻類が生成する物質の毒性も疑われています。また、カキやアコヤガイ等の二枚貝を死滅させる新種の植物プランクトンによる漁業被害が全国的に拡大しています。
 有機物汚濁の発生源として工場、各家庭のような「点発生源」と、農地や市街地のような「面発生源」がありますが、それ以外に内部生産とよばれる植物プランクトンによる有機物の合成があります。最近の研究では、内部生産による有機物の占める割合が予想以上に大きく、夏期の瀬戸内海では全有機物のうち内部生産による有機物が五十%にも達する海域もあると報告されています。
  湖沼の水や閉鎖性水域の海水は、開けた海の水に比べてはるかに早く富栄養化が進みます。それは水中の窒素やリンの栄養分がより早く増加するためです。
 水中の植物プランクトンは、陸上の植物同様に光合成を行います。そのため水中の窒素やリンは肥料と同じ役割をし、植物プランクトンの増殖繁茂の原因となります。たとえ、CODなどの有機物を削減しても、植物プランクトンの増殖原因である窒素やリンを削減しなければ、植物プランクトンの増殖による内部生産が生じ、CODなどの有機物が増加します。
 そこで、湖沼や閉鎖性海域では、窒素やリンの環境基準設定、排出規制により流入する窒素やリンの削減を行っています。また、流入するリンの原因の一つであった洗剤中のリン酸(水の硬度を下げて泡立ちを良くするための助剤)は使用できなくなりました。
 このように対策は講じられているのですが、その効果は十分に現れていません。実は、富栄養化した湖沼や閉鎖性海域では、過去に流入した窒素とリンが底の泥(底質)に多く含まれています。
 夏季の富栄養化した湖沼や閉鎖性海域では、水温の上昇により、底質中の有機物の分解が促進され、酸素の含有量が低下します。その低下により、窒素とリンは底質から溶け出していき、植物プランクトンの増殖を助ける、栄養分となるのです。
 有機物中の炭素は微生物の分解により、二酸化炭素と水に分解されますが、有機物中の窒素とリンは分解されても、硝酸やリン酸となり、植物プランクトンの増殖のための栄養分となります。
 こういうわけで、一度、湖沼や閉鎖性海域に窒素とリンが流入すれば、窒素とリンはその場で形を変えて循環し、その過程で、アオコや赤潮が生じます。
 富栄養化が起これば、流入する窒素、リンの削減だけでは対処できません。また、自然の持つ浄化能力は窒素、リンに関しては効き目がないのです。このため、いろいろな富栄養化対策が開発され、行われているわけです。
 閉鎖性水域における富栄養化を食い止める対策には、いろいろなものがありますが、大きくいって「水の循環を促進する」、「底質を改善する」、「生態系を利用する」の三種類に分類されます。
 水域内の水の循環を促進する方法としては、空気を送り込む装置(曝気装置)等を用いて水を循環させ、夏季の表層の水温を低下させたり、表層で発生した植物プランクトンを下層に移動させたりします。また、底層に酸素を供給することにより底質からの窒素とリンの溶け出しを防ぎます。対策方法としては実績が高く、湖沼やダムで空気の大きな泡が水面に出てくるのを見られた経験がある方もいらっしゃると思います。
 底質を改善する方法としては、浚渫(しゅんせつ)と覆土が一般的です。浚渫とは、汚れた底質を取り除くことですが、取り除いた底質を埋め立てる場所の確保が問題となります。覆土は、底質の上に数十mきれいな砂や土を敷くことで、底質からの窒素とリンの溶け出しを防ぎます。近年、新たな底質改善技術として酸化剤を底質に注入することで、窒素とリンの溶け出しを防ぐ方法が開発されています。
 生態系を利用する方法は、主に水生植物により水中の窒素、リンを吸収させ、湖沼やダムから窒素、リンを取り除くやり方です。湖沼やダムの水辺に人工の湿地造成したり、いかだや浮島で水生植物を栽培する方法があります。この方法では、成長した水生植物を、それが枯れる前に回収する必要があり、維持管理が問題となります。新たな生態系を利用する方法として、植物プランクトンを捕食する動物プランクトンの増殖可能な環境を人工的に創出することが研究されています。
 このように多種類の富栄養化対策が研究・実施されていますが、主にダムや貯水池程度の狭い水域では有効ですが、内湾のように広い水域で有効な対策は確立していません。また、富栄養化対策には、莫大な費用が必要となります。新たな技術開発を行い環境を回復することは、人類全体の課題といえます。



を流すとどうなるの?
 <BOD(生物化学的酸素要求量>
 
水中の汚染を示す指標の一つ。微生物が水中の有機物を分解するのに必要な酸素の量を、PPM(百万分の一)で表した数値。通常5日間の酸素消費量の平均をとる。有機物が多いほど分解する為に多量の酸素が必要となり、BOD値が上がる。
 濁った水ウニや池に棲んでいるコイやフナはかなりBOD量の高い水中に棲む事ができますが、それでもBOD 5ppmが限度といわれています。5ppmとは1リットルに5ミリグラムの酸素を微生物が分解に使用するという量を指します。
 
 てんぷらを揚げた後の油。油のBOD値は100万ppm前後だといわれています。つまり、20万倍に薄めて、やっとコイやフナが棲んでくれる水になるわけです。20万倍というと、200cc(0.2L)の油を40万Lにするということです。ドラム缶でなんと2千本という物凄い量です。
  
 更に言い換えてみましょう。200ccの油は、それを20万人が分け合って200ccずつに薄めないとコイの棲める水にならないのです。あなたの台所からの「たった200cc」が、20万世帯の水200ccを無駄にしているのです。ここでもやはり「水と油」の関係は続いているのです。

生活排水たれ流し禁止へ   合弁浄化槽設置を義務化

<議員立法で改正案を今国会に提出、会期内の成立を目指す。>

 台所やふろ、洗濯の水などが川や湖に流れ込み、水を汚している現状を改めるため、浄化槽法を改正し、生活排水の処理機能をもつ「合併処理浄化槽」の設置を義務づける案が固まりつつある。対象は下水道の整備予定がない区域で、3600万人。
 合併処理浄化槽は、環境保全の観点からここ10年ほど義務化が求められてきた。義務化されれば、生活排水のたれ流しは実質的に禁止される。

 家庭から出る汚水は、大きく分けてし尿と生活排水がある。浄化槽法は、公共下水道などで処理されない場合、浄化槽で汚水を処理せずにたれ流すことを禁じている。ただ、現状では、し尿だけを処理する「単独処理浄化槽」の設置も認めているため、生活排水が処理されずに流される。
 改正案は、この点を改め、単独浄化槽による処理を認めないことにする。改正後は、下水道の計画がない区域に住宅などを建てようとする人は、合併浄化槽を設置しなければならなくなる。すでに単独浄化槽を設置している場合は、合併浄化槽に取り換えることを努力義務とする。
平成12年3月26日 朝日新聞



国際標準化機構・ISOとは?
 ISO14000を説明する前に、ISOについて簡単に説明します。
 ISOとは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)のことで、国際標準化機構の略称が、「ISO」で通称アイソ、イソ、アイエスオーと呼ばれています。
 ISOは、1947年に設立された世界共通の規格等の設定を行うスイス民法に基づく民間の組織です。
 その設立の目的は、「商品とサービスの国際的な交換を容易にし、知識、科学、技術、経済に関する活動において、国際的な交流を助長するため、国際的な規模の標準化とこれに関するさまざまな活動を発展、促進すること」でした。
 この目的のもと、ISOではこれまでに約1万件近くもの規格を発行してきており、規格の中には、「製品の規格」と、「経営管理組織や管理制度に関する規格」があります。現在、「経営管理組織や管理制度に関する規格」はISO9000シリーズ、ISO14000シリーズのみとなっています。
 1947年にスタートしたときは参加国は15だったISOも、現在は80カ国以上の正規会員、20カ国以上の通信会員が参加しています。規模の大きな機関ですが、各国の政府や国連などは活動には関わっておらず、まったくの民間機関です。


ISO14000シリーズとは?
ISO14000シリーズの体系
14001 環境管理システム 仕様及び利用の手引き
14004 環境管理システム 原則、システム及び支援技法の一般指針
14010 環境監査指針 一般原則
14011 環境監査指針 監査手順
14012 環境監査指針 環境監査員の資格基準
14031 環境パフォーマンス評価の指針
14040 ライフサイクルアセスメント 一般原則と枠組み
14041 ライフサイクルアセスメント ライフサイクルイベントリー解析
14042 ライフサイクルアセスメント ライフサイクル影響評価
14043 ライフサイクルアセスメント ライフサイクルインタプリテイション
14020 環境ラベリング 全ての環境ラベリングに対する基本原則
14021 環境ラベリング 自己宣言による環境主張(用語と定義)
14022 環境ラベリング 自己宣言による環境主張(記号)
14023 環境ラベリング 自己宣言による環境主張(試験と方法)
14024 環境ラベリング 指針の原則、実際及び認証プログラム
 1992年6月、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで「環境と開発に関する国連会議“地球サミット(UNCED)”」が開催されました。この会議で「人類は持続可能な開発の中心にあり、自然と調和しつつ健康で生産的な生活を送る資格を持っている」とする第1原則をはじめとした「リオ宣言(27原則)」ならびに行動計画「アジェンダ21」が採択され、これによって環境問題に地球的規模で取り組むことが国際社会で確認されたことになります。
 これを機に、世界各国の産業界で環境管理についての関心が高まり、企業経営者も環境保全と経済発展を同時に達成する環境管理システムの構築を検討し始めました。とくにヨーロッパでは、1995年4月にEC環境管理・監査規則「EMAS(Community eco-management and audit scheme)」の登録体制が整い、声明書の登録も始まっています。
 同年6月、ノルウエーのオスロ市において、第3回TC207環境管理の総会が開催され、環境マネジメントシステムに関する国際規格の最終案(ISO/DIS14001)が固まり、ISO加盟国の間で投票にかけられた後、1996年9月に国際規格として発行されました。
 ISO14000シリーズは環境保全に関連する規格の総称です。内容ごとに「14001」「14004」など様々な規格があります。それを総称してISO14000シリーズと呼んでいます。

ISO14000の内容
 ISO14000シリーズの内容は、まだISO検討中のものもありますが、次の7つに大きく分けることがでさます。

1.環境マネジメントシステム

 環境保全に取り組むときの社内のシステムのあり方を定めた規格です。「環境方針を立てる」「計画を立てる」「実施する」「実施状態や結果をチェックする」「方針や計画を修正する」という4つのステップで環境保全するシステムが求められています。
 これはシリーズの中で最も重要な項目で、その中のISO14001は1996年に発効されました。

2.環境監査
 自分の会社の取組みについて環境監査するときの原則や監査員の資格などを定めた規格です。

3.環境ラベル(エコラベル)
 環境ラベルの原則などが定められています。

4.環境パフォーマンス評価
 環境などに関してその企業がつくった基準の達成度を測って分析し、報告するプロセスを規格にしたものです。

5.環境ライフサイクルアセスメント(LCA)
 原料から製品が生まれ、使われ、捨てられるまで、つまり「製品の一生」の間に環境に与える影響の調査、それを最小限に抑える方法などのガイドラインが書かれています。
 原料を得る段階から捨てられた後まで一貫して環境保全を考える、という非常に重要な考え方が示される予定ですが、そのような取り組み方は世界的にまだ例がなく、内容もまだまだ検討投階です。

6.用語と定義
 文字どおり、環境保全と環境監査の用語がまとめられたものです。

7.製品規格の環境側面
 これは規格ではなく、ISOの規格をつくるためのガイドです。ISO14000シリーズ以外のISOの製品規格を、環境保全の観点から見直すときの指針になります。この内容もまだ検討段階にあります。


ISO14001の審査の仕組み
 ISO14001は、企業にアドバイスするものではありません。企業がこの規格にそって環境保全に取り組んでいるのかを、専門家が審査するためのものです。
 世界各国には、企業がISO14001にもとづいた環境保全をしているかチェックする機関があります。ISO14001の場合、まず各国に1つずつ「認定機関」があります。日本では「財団法人日本適合性認定協会=JAB」がそれになります。この認定機関は、「審査登録機関」を認定します。

この審査登録機関が企業のISO14001に適合しているかどうかを審査します。日本には現在、株式会社日本環境認証機構などの審査機関があります。
 企業が審査登録機関に認められることを「認証を受ける」といい、認証を受けた企業は、認定書をもらいます。ISO14001にそった環境保全を立派にやっている企業ということになります。
 ISO1400シリーズが世界中の企業に普及すれば、地球環境の汚染はもっと減らすことができるはずです。
ちきゅうにやさしい
“エコマーク”


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