水の科学・化学館⑧ 


地球について ちきゅう Earth

 太陽系内の惑星のひとつで、太陽からの距離が3番目、直径の大きさが5番目の惑星。
 太陽から地球までの平均距離は約1億4960万km。生命が存在していることがわかっている唯一の惑星である。 ただし、大気をもっていたり、水をふくんでいる惑星はほかにも存在する。

 地球は完全な球形ではなく、わずかに洋ナシのような形をしている。人工衛星の軌道に生じる摂動(せつどう)をもとに計算すると 地球は赤道のふくらみが21km、北極のふくらみが10m、南極のへこみが約31mの不完全な球であることがわかった。

運動
 太陽系全体とともに、地球は秒速約29.8kmの速さでヘルクレス座の方向にうごいている。
 しかし天の川銀河全体は、秒速約600kmの速さでしし座の方向にうごいている。 地球とその衛星である月はいっしょに太陽のまわりを楕円軌道をえがいてまわっている。
 この軌道の離心率は小さく、円軌道とほとんどかわらない。地球軌道の長さは約9億3890万km。 地球はそれにそって時速10万6000kmでうごいている。地球の自転周期は23時間56分4.1秒である。 したがって、赤道上の点は時速1600kmと少々の速度で回転しており、北緯45度の線上の点は時速約1073kmで回転していることになる。
 これらの主要な運動にくわえて、地球には次の3種類の運動もみられる。春分点の歳差、章動(太陽と月の重力が原因で生じる 地軸の周期的な傾き)、緯度の変化。

組成
 地球は5つの部分からなっている。
第1は気体からなる大気圏、
第2は液体からなる水圏である。
第3の岩石圏、
第4のマントル、
第5の核はおもに固体からなっている。
 大気は、固体の惑星をとりまく気体の外層で、厚さ1100km 以上あるが、その質量の約半分は地表近くの5.6kmに集中している。 つめたくかたい岩石の層からなる岩石圏は、地下100kmまでひろがっている。
 水圏は、海洋の形で地表の70.8%をおおっている水の層である。マントルと核は内部にあって、地球の質量の大半を占めるほど重い。 水圏を構成するのはおもに海洋であるが、厳密にいうと内海、湖、川、地下水をふくめて、世界にあるすべての水をいう。海洋の平均の深さは3794mで、大陸の平均高度の5倍以上もある。海洋の質量は約135京(1.35 ラ 1018)tあり、地球の全質量の約4400分の1にあたる。
 岩石圏の岩の平均密度は約2.7で、質量の99.5%は11の元素でほぼすべて構成されている。 もっとも豊富なのが全体の46.60%を占める酸素で、次が約27.72%のケイ素、8.13%のアルミニウム、5.0%の鉄、3.63%のカルシウム 2.83%のナトリウム、2.59%のカリウム、2.09%のマグネシウム、さらにチタン、水素、リン(3つをあわせて1%以下)とつづく。 くわえて、それ以下に11の元素が0.1%から0.02%を占め、量の多い順に炭素、マンガン、硫黄、バリウム、塩素、クロム、フッ素 ジルコニウム、ニッケル、ストロンチウム、バナジウムである。 岩石圏にふくまれる元素の大部分は単独ではなく、化合物の形で存在している。化合物のほぼすべてが結晶の状態になっている ので、鉱物とよぶことになる。
 岩石圏は地殻と上部マントルの2つの層で構成されており、10以上のプレート(→ プレートテクトニクス)にわかれている。 また地殻そのものも2つにわけられる。大陸を構成している上部地殻のシアル層は火成岩と堆積岩でつくられている。 平均の化学組成は花崗岩によく似ており、密度は約2.7である。海盆の底を形成している下部地殻のシマ層は、斑レイ岩や 玄武岩といった黒く重い火成岩でつくられており、平均密度は約3である。 岩石圏の上部マントルの密度は約3.3である。 上部マントルは、上にある地殻とはモホ面とよばれる地震波の不連続面でわけられ、下にある下部マントルとは岩流圏として 知られる弱い層でわけられる。岩流圏は厚さが100kmあり、部分的にとけているために、大陸は移動し、海洋は開いたり閉じたり する。
 密度の高い地球内部は、中心にある核と、それを厚くとりまくマントルとにわけられる。 マントルは地殻の底から約2900kmの深さにまでひろがっている。岩流圏をのぞけば固体であり、密度は深くなればなるほど高く 3.3〜6である。上部マントルは鉱物の橄欖石のように鉄とマグネシウムのケイ酸塩で構成されている。 下部マントルはマグネシウム、シリコン、鉄の酸化物からなると思われる。 地震波による研究によって、核は、平均密度10、厚さ約2225kmの外核をもっていることがわかった。 外核は液状で、外面には凹凸があるといわれる。凸地は熱い物質があがってくる場所である。 外核とは対照的に、半径約1275kmの内核は固体状になっている。外核も内核もおもに鉄でできており、ニッケルなどがわずかに ふくまれていると考えられる。内核の温度は6650ーC、平均密度は13と推定される。

内部の熱の流れ
 内核からの強烈な熱が、地球の固体部分をなす球殻状の層をとおってつねに外部にながれだしている。 熱源としてはウランなどの放射性元素の崩壊によって放出されるエネルギーであると考えられる。
 マントル内での対流が熱エネルギーを地中深くから地表へとはこび、大陸移動の原動力となる。対流が中央海嶺からとけた 熱い岩を放出し、また陸上の火山から噴出する溶岩を供給している。

地球の年齢と起源
 地球の年齢は放射性同位体による年代測定法によって約46億年と推定されている。 測定によると地球最古の岩石の年齢は40億年以下であるが、地球の核と地質学的に関係のある隕石は、約45億年という年齢を しめしている。 また、地球と太陽系が形成されてからおよそ1億年前後くらいに、核と隕石の固化がほぼ同時におきたと考えられる。
 宇宙のちりやガスが重力収縮によって凝縮しはじめたころの地球は、ほぼ均一で比較的つめたかった。しかし、収縮しつづけ 一部の重元素が放射能をだすにつれて熱くなっていった。 次の段階では、重力の影響下で熱くなるにつれて地球はとけはじめ、地殻、マントル、核の分化がおこった。 軽いケイ酸塩は表面へとあがってマントルと地殻を形成し、鉄とニッケルを主とする重い元素は地球の中心にむかってしずみ 核を形成したのである。そのあいだにも、火山の噴火によって軽い揮発性の気体と蒸気がマントルと地殻からもれでていた。 おもに一酸化炭素と窒素からなる気体の一部は、地球の重力にとらえられて原始の大気を形成し、水蒸気は凝縮して世界最初 の海洋をつくった。

地磁気
 地磁気の現象は地球全体が巨大な磁石としてふるまうことでおこる。 これに気づいたのはイギリスの医者・物理学者ウィリアム・ギルバートで、1600年ごろのことである。 しかし、地磁気はずっと以前から、コンパスとしてつかわれていた。

磁極
 地球の磁極は、地軸の極とは一致していない。 北の磁極は現在、カナダ北西準州、ハドソン湾の北西約1290kmにあるバサースト島の西岸近くに位置している。 南の磁極は現在、南極大陸の端、リトル・アメリカの北西1930kmのアデリーランドにある。
 磁極はつねに同じ位置にあるわけではなく、毎年かなり移動する。 地球の磁場の変動には、永年変化とよぶ極の移動が原因でおこる磁場の方向の変化もふくまれる。 永年変化は960年の周期でくりかえされる。 また年ごとの変動も、日ごとの変動もあるが、変動をとらえるには感度のよい装置が必要である。

ダイナモ理論
 永年変化の測定によって、磁場全体が毎年19〜24kmの速さで西へ移動することがわかった。 地磁気は静的ではなく動的な地球自体の状態の反映である。 もし地球の核の鉄が固体で静的に磁化されているとしたら、地磁気も静的であるはずである。
 鉄は540ーCをこえる温度では磁気を永久に維持することはできないが、地球の中心温度は6370ーCにもなっている可能性がある。
 ダイナモ理論は、地磁気の存続の理由を次のように説明する。 地球の核は鉄を主成分とする伝導性の流体であるため、地球磁場の中で自転にともなってこれが対流すると電流が誘起される。 この電流により磁場が発生し、磁場と電流がたがいに維持しあう仕組みとなる。 固体の内核は外核よりもゆっくり回転しており、したがって西向きへの一方的な移動をもたらしている。 外核表面の凹凸は磁場が不規則に変化する原因の1つかもしれない。 磁場の強度 地磁場の強度の研究は科学や工学の発展のほか、鉱物やエネルギー源をみつけるための地質調査にとっても重要である。 強度は磁力計で測定する。磁力計は場の全強度と水平および垂直方向の強度が測定できる。 地磁場の強度は地表の部分ごとにことなっていて、温帯地方では約0.6エルステッドで、そのうちの0.2エルステッドは 水平方向の成分である。

古地磁気学
 古代の火山岩の研究によって、火山岩がひえるにつれて当時の磁場の方向が鉱物にのこされていることがわかった。 鉱床を世界中で測定したところ、地質時代をとおして磁場の方向は大陸とともに変化している。 たとえば5億年前の北の磁極はハワイの南にあり、それから3億年間は磁赤道がアメリカを横切っていた。 地球の自転軸は同じままであるけれども、外側の地殻がしだいにずれていったと考えられる。もしそうであれば、気候帯は 同じままであったが、大陸はことなる「古緯度」をとおってゆっくりとずれていったことになる。

地磁気の逆転
 岩にのこっている磁気と、海底にみられる地磁気の異常に関する最近の研究によって、地球の磁場は過去1億年のあいだに 極性を少なくとも170回逆転させていたことがわかった。 岩にふくまれている放射性同位体により逆転した年代がわかり、大陸移動と海底拡大の理論に大きな影響をあたえた。

地球の電気
 地球内部と大気でつくられる電気系には3つあることが知られている。
その1つは大気中で、もう1つは地球内部で、地表と並行にながれている。 3つ目は大気と地球の間で連続して電荷を移動させる流れで、垂直にながれる。 雲や稲妻にふくまれる電荷にともなう電気をのぞくと、大気の電気は、太陽放射による大気のイオン化と、大気潮汐によって 運ばれるイオンの雲の運動によって生じる。 大気潮汐は太陽と月の引力によって生じ、海洋の潮汐のように毎日あがったりさがったりする。
 大気のイオン化度とその電気伝導率は地表近くでは低いが、高度があがるにつれて急速に増加する。 地表から40〜400kmのところで、電離層がほぼ完全にまるい層を形成している。 電離層は電波信号を地球に反射させ、宇宙から地球に近づく電磁波を吸収する。 大気のイオン化度は、高度によってだけでなく、時間帯や緯度によっても大きく変化する。

地電流
 地電流は、赤道の両側へほぼ均等に分布する8つの電流の輪からなる、世界規模の系を構成し、それにくわえて極近くに小さな 電流の輪もある。 地電流は大気中の電気の変化によってのみ引き起こされるといわれてきたが、短期的な変化は確かにそうかもしれないけれど もっと複雑なようである。
 とけた鉄とニッケルからなる地球の核は電気をつたえることができ、巨大な発電機のコイルにたとえることができる。 核の中の熱対流が、地球内の磁場に対して輪をえがくようにうごいていると考えられる。 その核内での対流パターンを地球内電流は反映しているのだろう。

地表の電荷
 地表は負の電荷をもっている。地表近くの空気の電気伝導率は低いが、空気は完全な絶縁体ではないので、負の電荷が補充 されているのでなければ、即座に流出してしまうだろう。
 晴れたときの測定では、大気から地球へと下向きにうごく正の電荷の流れが観測される。地球の負の電荷が、大気から正の イオンをひきつけるのである。この下向きの電流は、極地域での上向きの正の電流で相殺されていると考えられていた。 しかし、今日では、負の電荷は嵐のときに地球にはこばれ、晴れた日にみられる正の電流の下向きの流れは、嵐になっている 地域での正の電流の上向きの流れによって相殺されると考えられている。
 負の電荷が雷雲から地球へはこばれることと、嵐によって生じる電気エネルギーの割合は、地表の電荷を補充するのにじゅうぶん なのである。嵐の頻度は、地球の負の電荷がもっとも急速に増大する時間帯に最大になっているようにみえる。

地球の内部、なぜ燃える?。

 地球の内部はなぜ、いまだに燃えているのですか。
その高温は、どこに放熱されるのでしょう。また、他の天体の内部の様子は。


 地球の構造はゆで卵に例えられます。黄身に当たるのが地球の「核」と呼ばれる部分で、白身は「マントル」、殻は地面である「地殻」です。マントルや地殻は岩石からできていますが、核は鉄からできています。核の温度は、約6000度もあります。

 46億年前、地球には宇宙からたくさんの小天体が降ってきていて、熱くどろどろに溶けていました。その後地球は冷えて、表面には厚い岩の層(地殻+マントル)、中心には鉄の核ができました。核が熱いのは、こうした地球誕生直後の熱く溶けていたころの名残です。そして今も熱いのは、2つの理由があります。

 1つは中心核が、マントルという岩の厚い層で保温されていること。マントルはまさに、マントという意味です。地面を触ってもあまり熱くないのは、岩は鉄などに比べて熱を伝えにくいからです。紅茶を入れる時に、保温のためにティーコージーという覆いをポットにかぶせます。この時、ポットは熱いですがティーコージーはあまり熱くありません。マントルは中心核にとって、ティーコージーの役割を果たしています。

 もう1つの理由は、中心核自身に温度を下げない仕組みがあることです。中心核は、内核(固体の鉄)と外核(溶けた鉄)に分かれています。核から熱が奪われると、溶けた鉄が固体に変わります。この時鉄は熱を出すので、温度が下がらないのです。この熱を難しい言葉で「潜熱」と言います。コップに水と氷を入れると、水の温度は0度になります。これを冷凍庫で冷やしても、水が全部氷になるまで温度は0度のまま下がりません。水が氷になる時、潜熱を出すからです。

 月の中心核も鉄からできていますが、すでに全部が固まっていて温度は1600度ほどに下がっています。太陽の場合は地球や月の仕組みとは全く違い、中心の温度は1500万度もあります。これは太陽の中心は巨大な水素核融合炉になっていて、ばく大なエネルギーを生み出しているからです。


森林 しんりん Forest 
 おもに木その他の木本植物で構成される植物群落がひろい面積の土地を占めるとき、その植物群落を森林という。
 森林は、自然の状態では、長期間にわたって割合安定した、自己調節された状態で生きつづける。 森林の特徴をなす木の種類は、森林が生えている地域の気候、土壌、地形によってきまる。 それぞれの局地的な環境に応じて、優占種の木といっしょに、一定の種類の低木や草本が生える。
 林床をなす植被のタイプは、それより大きくて背の高い植物の影響をうけるが、一方では下生えが土壌の有機物質 の成分に影響をあたえるので、影響は相互的なものといえる。 山火事や伐採などの妨害の結果、別のタイプの森林にかわることがある。妨害をうけなければ、森林は生態遷移によって 最終的には極相森林群集となるはずである。のぞましいタイプの森林を維持するために 人間が手をくわえることもある。

分類  森林は、葉の特徴と気候にもとづいて、一般的には次の8タイプにわけられる。
(1) 温帯の落葉樹林。アメリカ合衆国東部で典型的にみられる森林構成である。このタイプの森林は、さらに2つのタイプに 区別される。同じ緯度でも、北半球と南半球では森林のタイプがまったくことなるからである。 この違いはおそらく、北半球の大陸性気候と南半球の海洋性気候からくるのであろう。
(2) モンスーン落葉樹林。ベンガルとミャンマーにみられる独特の森林で、東南アジアとインド全土でもふつうにみられる。メキシコと中央アメリカの太平洋海岸沿いの地域にもみられる。気候の面では、毎日雨が大量にふる雨季の間に、周期的にはっきりした乾季がおとずれるのが特徴で、乾季に木は落葉する。
(3) 熱帯サバンナ森林。ブラジルのカンポのような、森林と草原がであう地域にみられる。 アフリカと南アメリカに広大にひろがるサバンナはイネ科とカヤツリグサ科の草本におおわれ、その間に木々がまばらに ひろく間隔をおいて生えている。木はとげをもつことが多い。火事でやけたり、哺乳類に草や木の葉を食べられたために   サバンナにかわることがある。
(4) 北方の針葉樹林。北半球の亜寒帯と高山地帯にひろく分布する森林である。高木限界線の北部と山頂では、幹が ごつごつした低木が優占する。トウヒとモミは北部の針葉樹林帯によくみられ、南部ではマツ、カラマツ ベイツガが優占する。これらの森林はふつう、かつて氷河地帯であった地域を占め、湖、沼沢地、川にともなって分布する。
(5) 熱帯降雨林。中央アフリカとアマゾン流域にみられる独特の森林である。植物の成長がはやく、また落葉と 葉の再成長が年間を通じて徐々におこるので、森林は常緑である。樹種は多様であるが、樹皮がなめらかで直立した幹と 大きくて形の単純な葉をもつ木が多い。大きなつる植物がふつうにみられるが、植物が密にからみあったジャングルが みられるのは、通常の森林地帯がいためつけられた場所や川べりだけである。
(6) 温帯常緑樹林(照葉樹林)。温暖な海洋性気候をもつ北アメリカの亜熱帯地方やカリブ海の島々にみられる森林である。 メキシコ湾沿岸とフロリダのエバーグレーズ湿地でもっとも繁栄している。特徴をなす木はカシの仲間や、モクレン、ヤシ パイナップル科の植物である。
(7) 温帯降雨林。降雨量が少ないときもあるが、海でひやされた空気は湿気をふくんでおり、霧も多い。アメリカの温暖な 西海岸の降雨林は、ベイツガ、シーダー、トウヒ、モミ、レッドウッドが優占する。
(8) 熱帯低木林。多雨林と境界をなすが、降雨量の少ない地域にみられる森林である。
アメリカ合衆国の森林   
 アメリカ合衆国には3つの森林地帯がある。ロッキー山脈と太平洋岸に分布する西部の森林は針葉樹林で、アメリカトガサワラ ポンデローサマツ、モンチコラマツ、エンゲルマントウヒ、ベイモミをふくむ。アメリカで産出する軟材の50%以上は、北西部 の太平洋岸の生産性の高いアメリカトガサワラ森林のものである。その他の軟材のほとんどは大西洋側の南部とメキシコ湾岸 諸州から産出する。これらはおもにダイオウショウ、テーダマツなどである。
 材木生産全体の約4分の1を占める硬材は アメリカの東側半分から産出する。とくに立木が密生しているのは、ミシシッピ川とオハイオ川流域をかこむ地域である。 硬材はさまざまな広葉樹からとれる。おもな木にはオーク(コナラ類)、クログルミ、ユリノキ、サトウカエデがある。 アメリカの森林地帯の4分の1以上が森林保護局の管理下にある。1891年にワイオミング州内のたった1カ所の地域で はじまった国有林制度は、1980年代終わりまでには44の州、プエルト・リコ、バージン諸島の7700万ha以上の面積にまで ひろがった。 保安林とよばれるもっとも初期の国有林は、公有地の保留によって確立された。
 現在の国有林の境界は連邦議会 によってさだめられる。国有林にはまだ個人の私有地が17%ふくまれているが、こうした土地は現在、連邦政府によって徐々に 買いあげられている。ほとんどすべての州には州有林がある。州はこれらの森林地帯の管理と保護の義務をおう。

カナダの森林  
 カナダの森林地帯は幅800〜950kmの帯をなして、大陸を横断している。
 材木を産出する森林は、約300万km2におよぶ。 全体の5分の4は針葉樹林で、残りが落葉樹林である。大西洋岸から西と北にアラスカまでのびる針葉樹林帯はトウヒ バルサムモミ、モミ、マツなどからなり、これらにポプラやシラカンバを代表種とする落葉樹がまじる。 この針葉樹林帯の南側に、五大湖とセント・ローレンス川とアカディア地方の混合林がひろがる。 ここの主要な針葉樹はストローブマツ、アカマツ、カナダツガ、トウヒ、シーダー、モミである。 これらに、キハダカンバ、カエデ、オーク、シナノキといった落葉樹がまじる。
 カナダ全体で1年に伐採される木の4分の1は 西海岸のブリティッシュ・コロンビア州に生える大きな針葉樹である。もっとも重要な木はシーダー、ベイツガ、トウヒ モミ、アメリカトガサワラである。
 生産性の高い森林地帯の90%以上は公有の森林である。管理と保護の大きな権限が各州政府にあたえられており 州政府は森林を民間の企業に賃貸する。しかし、海に面した3つの州(ノバ・スコシア、ニューブランズウィック プリンス・エドワード・アイランド)では、森林地帯のかなりの部分が私有地である。連邦レベルでは、 カナダ環境省森林保護局が森林資源の管理改善と生産性向上を振興するとともに、州の森林管理局に助言をする。

病気と害虫
 害虫と病気は、森林にとってたえることのない脅威である。マイマイガ、ドクガ、ハマキガの幼虫など、さまざまな昆虫が 木の葉を食べて、広大な地域の森林を荒廃させる。森林を破壊する病気の病原体保菌者としてはたらく昆虫もある。 バクテリア、菌類、ウイルス、線虫の寄生、あるいはヤドリギやネナシカズラのような寄生植物によって木の病害が おこることもある。伝染性のない病気としては、日焼け、干ばつによる被害、根ぐされ、発育阻害、栄養過剰または欠乏 冬枯れ、煙やガスや火事による被害などがある。



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